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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第20話 観光

 日本時間10月9日。

 いまだ夏の暑さが残っている沖縄県那覇市。

 人々はいつもの日常を過ごすために、各々が自身の行くべき場所へと向かっていた。

 そんな朝の時間。

 突如として、首里城上空に異変が起きていた。

 ある通行人がふと空を見上げると、首里城上空約1000mのところに、空間がねじれているような異常が発生したのだ。

 その空間異常はものの数秒で大きくなっていき、やがてあるものを顕現させる。

 紅の旗艦だ。

 突如として現れ出た艦に、那覇市にいる人間は様々な対応を取る。

 ある者はその場から逃げ、ある者は現実が受け入れられずに体が硬直し、またある者は興味本位でその姿を写真に収めようとしていた。

 しかしながら、人々の反応をよそに、紅の旗艦は何もしない。

 それもそうだ。


「皆さん、おはようございます。私は現在、沖縄県の那覇市上空にお邪魔していまーす。御覧ください。眼下には有名な首里城も見えていますよー」


 紅の旗艦の内部では、レイズが広報目的の動画を撮影していたからだ。

 レイズはモニターをキャプチャしながら、外の様子を撮影していく。

 後ろには、撮影監督と自称しているトランスも乗り込んでおり、レイズがきちんと撮影を行っているかを監視していた。


「さて、空からの観光も一息つきました」


 そういった所で、モニターに警告が表示される。


「あらら。どうやら私のレーダーに、アメリカ海兵隊のF-66が映りこみました。どうやらここまでのようです。それではまたお会いしましょう。ばいばーい」


 そういって、紅の旗艦はその場で上昇を始め、そして上空10kmに到達した所でワープする。

 この間、10分にも満たない時間だ。

 それから数分後、黒島は学校に行く前に、ツイッチューブでエゴサをしていた。

 内容はもちろん、紅の旗艦に関する情報が出ていないか確認するためである。


「お、あるある。みんな見てるなー」


 いろんな方角から、紅の旗艦の動画や写真がアップロードされている。

 それを見ていると、レイズがスマホの中に入ってきた。


「レイズさん、お疲れ様です」

「もー。なんで私がこんなことしないといけないんですかぁ」

「そりゃ我らがレッド・フリートの大将ですからね」

「やっぱりやめません?そのレッド・フリート」

「だめです。言い出したのはレイズさんなんですから」

「むぅ」

「とにかく、動画取ってきたんですよね?すぐツイッチューブに上げちゃってください」

「はいはい、分かってますよ」


 そういってレイズは、黒島のスマホに標準装備されている編集機能を使って、慣れた手つきで編集していく。

 ものの5分足らずで動画が完成した。


「いやー、さすがはレイズさんですね。こんな短時間で動画を仕上げるなんて」

「余計な所をカットしただけですよ。さて、これを上げますかね」


 レイズは編集した動画をツイッチューブにアップロードする。


「あとはどれだけ反応がもらえるかですね」


 それから数時間後、とんでもない場所でこの動画が取り上げられることになる。

 それは、国連の軍事参謀委員会であった。


「諸君。本日、このような動画がネット上に上げられた」


 そういって、一人の男が映像を再生する。

 それはもちろん、那覇市上空で撮影したレイズの映像そのものである。


「先に現れた紅き艦、その内部から撮影されたと思われる映像だ」

「……これは本物なのか?」

「現状は、といったところか。これより前の動画では、自身をレイズ・ローフォンであると名乗っている動画がある。またモスクワ上空に落とされた爆弾を破壊していると思われる映像も確認できた」

「しかし、この映像がフェイクでない保証はどこにもないぞ」

「そうだ、そこが問題なのだ。これらの映像が本物であるか否か、我々には見当もつかない」

「それなら、フェイクか判定するプログラムを走らせたらどうだ?国連本部にも一つや二つあるだろう?」

「すでに試行済みだ。結果はノットフェイク。つまり本物だ」

「しかし敵の技術は未知数だ。もしこれが敵の工作活動の一環だとしたら、我々は敵の手中に嵌っていることになるぞ」

「しかし、先の会議で紅き艦は味方として考えると結論を出したではないか」

「ふむ。ここは一つ、恥を忍んで行動に出てみるというのはどうか?」

「行動だと?第6次攻撃のことを言っているのか?ならまだ作戦立案中だが……」

「いや、そうではない。このツイッチューブのアカウントにDMを飛ばし、我々の元に来てもらえないか確かめるのだ」

「……正気か?」

「もちろんだ。現状、正気を失っていないと人類を救うことはできないからな」

「……仕方あるまい」

「広報担当を呼んできてくれ」


 しばらくして、軍事参謀委員会に広報担当の人間がやってきた。


「こんな所に、一体何用でしょうか……」

「簡潔に言おう。ツイッチューブを使っているこのアカウントに接触してほしい」

「とは言いましても、広報のツイッチューブのアカウントは東京にありまして……」

「そうなのか?ならすぐに話を通してくれ。詳細はこの紙に書いてある」

「はぁ」


 そういって、広報の人間は紙を受け取り、部屋をあとにした。


「あとは予想通りになってくれるかだな」


 軍事参謀委員会は、気を揉むような時間を過ごすこととなる。

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