第133話 計画
そして地球に帰還する。
すでに時刻は夜の11時を回っていた。
「ほう、ここが人類の居住区か。古い文献に書かれているような感じだな」
「そんなことはないと思いますけど」
話の事情を聞くために、後藤も黒島の家にワープさせてもらった。
「それで、レイズさんの最後の仕事ってなんなんですか?」
「それはすぐに分かるだろう」
「そのすぐに分かるとかじゃ分からないですよ。具体的な話はないんですか?」
「テリーはこういう独りよがりな所がある。すまないが、しばらく付き合ってくれ」
「それって中二病ですよね?」
「そう言ってやるな。まぁ、本人は自覚がないようだがな」
そんなことをトランスがいう。
しかし具体的な時間が分からないのなら、どうしようもないというものだろう。
その日は仕方なく解散として、黒島は布団の中に入った。
翌日、6月14日。
朝、起き上がった黒島に飛び込んできたのは、衝撃的なニュースであった。
『地球軌道上に謎の構造物を発見。流浪の民のものか?』
ニュースサイトによると次のように書いてある。
『昨日、米国の天文学者が太陽の観測を行っていた所、太陽の向こう側に何かが存在していることを発見した。詳しい調査のため、ウェイブスリープ望遠鏡による観測を行った所、太陽の反対側の地球軌道上に、謎の物体が存在していることが判明した。この場所は、太陽と地球のラグランジュ点と呼ばれる場所で、安定的に物体が存在できるポイントであり、SFの舞台の一つとしてたびたび登場している。このラグランジュ点に存在する物体は、推定で直径10000kmを超えると推定されており、これだけの巨大な構造物を建造できるのは流浪の民ではないかと考えられている。この事態に国連安保理は、「緊急を要する事態であることは間違いない。レッド・フリートとともに、状況把握に努める」としている』
このように書かれていたが、黒島は察していた。
「あれは流浪の民のものだ……」
「その通りだ」
そこに、テリーがスマホ越しに現れる。
「しかし、白の旗艦を撃破してるんですよね?なのにどうして流浪の民のものが残っているんですか?」
「あれはフリットが残していった置き土産だ」
「置き土産?」
「すべての艦艇の情報を保管すると同時に、何人も受け入れないように堅固な装備をしている、まさに要塞とも呼べる代物だ」
「すべての艦艇の情報……?」
「そうだ。俺もトランスもロビンもジーナも、そしてフリット自身もバックアップが取られている」
「そんなものがあそこに……?」
「それって本当なんですか?」
先ほどまでの会話を聞いていたのか、レイズが出てくる。
「一つだけ例外がある。それはレイズ、お前だ」
「私?」
「レイズは俺が作った人工知能生命体。フリットに真の計画がバレないように雲隠れの一つとして作ったものだ。俺はこの計画をサンダルフォン計画と呼んでいる」
「そのサンダルフォン計画というのがどういうものか知りませんが、レイズはただの雲隠れとして作られたんですか?」
「いや、違う。レイズは重要な計画の要だ」
「……あぁ、もう!分かんなくなってきた!」
「ここまで出ている情報を簡単に整理しよう」
そういってトランスが出てくる。ロビンやジーナも一緒だ。
「いや、そうしたいのは山々なんですが、今日は学校があるので」
「そうか、学生なのか。それじゃあ学校にいったほうがいいな。そのあとならいくらでも対応できるだろう」
そういって、黒島は学校に行く。
その日の放課後。シトシトと雨が降るなかで、近くのファミレスで後藤と合流し、サンダルフォン計画について要点をかいつまんでトランスが説明する。
「まずフリットのやっていることに対してテリーは反対していた。これを止めるためにはフリットを止めるしかない。しかし大っぴらにやるのは自分に危害が加わる可能性がある。そこでレイズを生み出して自分自身を封印することにした」
「それがどうしてフリットの目を欺くことになるんですか?」
「何も知らない純粋無垢な存在を生み出したかったからだ。それがあるだけで、フリットの警戒心は解かれる」
「それによって、レイズは艦艇総洗脳を免れ、テリーの意思を保持することになった。やがてそれは、テリー覚醒のために動くことになる」
「それが、白の旗艦の撃破というわけですね?」
レイズが確認するように言う。
「そうだ。結果、レイズは艦艇総洗脳にかかった旗艦級メンバーの洗脳を解くことに成功する。そして計画は順調に進んでいき、結果として白の旗艦を撃破することに成功した」
「それで万事解決じゃないの?」
後藤が聞く。
「今日のニュースは見たか?太陽の向こう側に謎の巨大構造物が発見されたものだが」
「うん、見たよ」
「あれはフリットが建造した、すべての生体艦長の意識をバックアップしたものだ。ついでに外部装甲をたっぷり貼り付けて、主砲をハリネズミのように搭載したものだがな」
「それがなんだっていうんですか?」
「あれが、本当の最後の敵、流浪の民の総旗艦だ」
「総旗艦……」
「総旗艦にはフリットの生体が存在している。白の旗艦には、フリットのコピーされた意識が乗っていただけだ」
「それじゃあ、総旗艦に乗っているフリットを倒さないといけない?」
「それがサンダルフォン計画の最終目的だ」
とんでもない状況に巻き込まれていると、黒島は感じた。
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