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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第123話 第二次地球防衛戦 前編

 6月8日。

 シトシトとした梅雨の雨がどこか遠くに行っているこの頃、黒島は家で受験勉強をしていた。

 そんな中、黒島のスマホが鳴り響く。

 警報音にも近いそれは、白の艦艇群の出現を意味する緊急速報メールだった。


「今度はどこだ?」


 そういって通知内容を確認する。

 すると、世界各地の地名がコンマ数秒のうちに切り替わっていた。

 そして最終的には、その通知は次のような言葉を残す。


『出現箇所:地球』


 これには思わず、黒島も首をかしげてしまう。

 一体地球のどこに出現したのか分からないからだ。

 すると黒島のスマホに、トランスが出てくる。


「大変だ、不味い状況になった」

「どういうことですか?緊急速報メールも変な通知残してますし……」


 その瞬間、耳に残るような甲高い音が鳴り響いた。

 思わず耳をふさぐ黒島。


「起動したか」

「起動したって、何がですか?どういう状況か教えてください」

「緊急速報メールは何も間違ってはいない。白の艦艇群は、今まさに地球を取り囲むように出現している」

「……まさか!」


 黒島は外の様子を見る。そこには、電磁場のようなものが空を覆いつくしていた。


「今、惑星バリア装置群が作動している。これでしばらくの間は問題ないはずだ」

「とにかく対応しないと!レイズさんは!?」

「ここにいます。梓ちゃんには連絡しました」

「それじゃあ行きましょう!」


 そういって黒島たちは紅の旗艦にワープする。

 そして新ISSのそばに出現した。

 すると、そこには、地球を覆いつくさんとする白の艦艇群が大量に存在していた。


「すっごい景色だね……」


 後藤が息を飲むように言う。


「どこから手をつけていいのか分からないな……」


 すると、そこに聞き覚えのある声が降ってくる。


「まだ生きていたのか。ずいぶんとしぶといねぇ、君たちも」

「その声……、フリット!」


 レイズが反応する。すると新ISSのそばに、白の旗艦がやって来ていた。


「相変わらず反応が早いねぇ、レイズ。今日もお楽しみだっていうのに」

「お楽しみ?これのどこがお楽しみなんですか?」

「これから地球を無茶苦茶にするというお楽しみだよ!」

「そんな事はさせません!」

「本当にできると思っているのか……?ならやってみるといいさ!」


 白の旗艦は一斉に主砲を展開すると、そのまま新ISSと黒の旗艦もろとも紅の旗艦のことを攻撃しようとする。

 そこに蒼の旗艦がやってきて、防御に回った。


「フリットの自由にはさせない」

「ジーナ、君だけは私に従順だと思っていたのに……。どうしてそちら側についてしまったんだい?」

「その選択が賢明だと判断した。それ以外には何もない」

「悲しい、悲しいよジーナ。俺のことを裏切るなんてなぁ!」


 そういうと、近くにいる白の艦艇群をこちらに向かわせる。その数、たったの数百。


「その程度、簡単に墜とせるぜ!」


 颯爽とロビンが出現し、白の艦艇群に攻撃を加えてくる。

 たったの一回の交差で、白の艦艇群は簡単に墜とされた。


「ちっ、やはり性能差は埋められないのか……」


 そんなフリットのつぶやきが聞こえてくる。


「まぁいいや。今この地球には、白の艦艇群が1億2000万隻いる。現状差し向けられる限界の数だ。全部対処しきれるかな?ふはははは!」


 そういって紅の旗艦へと突撃してくる。黒島はとっさに回避した。

 ギリギリのところで回避に成功する。

 その時だった。

 レイズは、自身の深層意識に何かが介入してくるような感覚を覚える。

 そして、その深層意識から何者かに呼び出されるような幻聴を聞く。

 それは何を言っているのか分からなかったが、言っていることははっきりと分かった。


『目を覚ませ』


 そのまま白の旗艦は黒の旗艦も新ISSも無視して、ワープして去っていった。


「何なの、今の……」


 レイズは誰にも聞かれないような小声で、ボソッとつぶやいた。

 しかし今は緊急事態の真っ最中、レイズはすぐに頭を切り替える。


「先ほどフリットも言った通り、白の艦艇群は1億2000万隻いると考えられます。その中には戦艦級もいるはずです。攻撃は大胆に、しかし繊細にお願いします」

「大丈夫だ。ここには紅の旗艦の他に、蒼の旗艦、翠の旗艦、黒の旗艦、そして橙の旗艦までいるんだからな」


 そうトランスがいう。

 実際その通りで、新ISSの周辺には密集するように紅、蒼、橙、翠、黒の艦艇群が勢ぞろいしていた。


「確かにそうかもしれませんね。それじゃあ行きますか!」


 レイズは気合を入れ直す。


「レッド・フリート、出撃!」


 地球存亡の命運がかかった戦いが、今始まろうとしていた。

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