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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第117話 地球防衛戦 後編

 月にいたレッド・フリートは、一路地球へ向けて航行する。


「ワープアウト装置が破壊されるまでに出てきた白の艦艇群は約30万隻だ。これまでになく多い数になっている。注意して攻撃されたし」


 そうトランスが忠告する。

 すでに地球に向かっている白の艦艇群の後を追いかけるような状態のレッド・フリート。


「これ、正直ボーナスステージじゃん」


 そんなことを黒島はぼやいた。


「ボーナスステージですか?」


 レイズが問う。


「えぇ。後方から白の艦艇群を攻撃できるんですよ。今までの経験則から、後方に向かって撃つような武装は存在してないですし、こちらは前方に武装が集中している。となると、こちらが有利に戦えることになるじゃないですか」

「確かにそうかもしれませんが、念には念を入れてください」

「りょーかい」


 そういって黒島は前を見る。

 そこに、ワープアウト装置破壊直前に出てきた白の艦艇群を掃討してきた翠の艦艇群が合流した。


「いやー、久々にマックス寸前まで速度出したわー。爽快爽快」


 ロビンはなんとも満足そうな感じで合流する。さらに橙の旗艦とその艦艇群も合流した。


「では、そろそろ掃討戦を始めるとしよう」


 そういって各員、前を向く。


「敵は一定速度で地球に向かっている。こちらはマッハ5程度で巡航すれば、地球到達前後には白の艦艇群を掃討できるはずだ。撃ち漏らしは厳禁、以上」

「要は片っ端から破壊していけばいいんですね」

「まぁ、簡単に言えばそういうことになる」

「けど30万かぁ。今までで一番多いんじゃない?」


 そう後藤が言う。


「そうだ。30万というのはこれまでで一番多い数になる。よって撃ち漏らしたり、攻撃に遅延が生じたりすると、文字通り、地球が危ない」

「全力で攻撃を仕掛けるってわけですね」

「あまり全力を出しすぎても、今度は機関の出力が追いつかなくなるから要注意だ」

「了解」

「では掃討戦、開始」


 その直後、黒島は二重銃身回転式狙撃銃ダブルバレルスパイラルスナイパーライフルを展開し、チャージを始める。


「さっきの話聞いてたか?」

「最高火力は最初に叩き込むべきだと思うんですよ」

「まぁ、それは同意するが……。レイズも何か言ってやってくれ」

「最高火力叩きこむのは正しい判断だと思うんですよ」

「こっちもダメだったか……」


 そうトランスが頭を抱える。

 そしてライフルのチャージが完了した。


狙撃銃(スナイパーライフル)発射!」


 そういって砲撃する。

 その砲撃によって射線上で密集していた白の艦艇群は、まるで風船のように誘爆していく。

 そしてその砲撃は、地球でバリアを展開している蒼の艦艇群にまで届いた。そのころにはビームは拡散され、艦艇でも簡単に防げるほどであったが。

 レッド・フリートは、そのまま後方から勢いよく白の艦艇群を追いかける。


「レイズさん!機関出力上昇願います!」

「仕方ないですねぇ……。機関出力解放!」

「機関出力258%!」

「おりゃあ!」


 主砲をすべて展開し、最大火力で突っ込んでいく。

 その攻撃はまさに鬼神の戦いのそれに匹敵する。

 一射撃すれば簡単に白の艦艇群は墜ちていき、通った跡には残骸が幾重にも重なっていた。

 白の艦艇群もレッド・フリートの意図に気が付いたのか、何百という艦艇がこちらにやってくる。


「そうはさせねぇぜ!」


 ロビン率いる翠の艦艇群がそれに対処する。

 翠の艦艇群は、その圧倒的な機動力をもって白の艦艇群を翻弄し、そして撃破していく。

 橙の艦艇群も負け時と、白の艦艇群に向かって攻撃を仕掛ける。

 最近はネット上で、白の艦艇群を効率的に撃破するための方法が議論されているようで、その成果が出ているようだ。

 そうして地球に向かうまでの間、白の艦艇群を撃破し続けるのであった。

 その時、ジーナから連絡が入る。


『トランス、予測時間だとあとどれくらいで地球に到達する?』

「そうだな、計算だとあと92時間程度だが?」

『すでに白の艦艇群が到着している。まだ数は少ないけど、着々と到着してる。急いで』

「もう到着している艦艇がいるのか?さすがに早すぎる……」

「とにかく早く殲滅しないと!」

「そうだな。だが、艦隊速度はそう簡単に上げられない。今は速度を維持したまま、白の艦艇群を殲滅することが最優先だ」


 そういってトランスは黒島に冷静になるように諭す。

 そうして数時間をかけて、白の艦艇群を1隻残らず殲滅していく。

 すると、ある場所で白の艦艇群が激減する。


「何があったんだ?」


 そういってトランスは各種計器類を確認する。

 そしてあることに気が付いた。


「これは……地球に向けて短距離ワープしているのか……!」

「それじゃ、今ごろ地球は……」


 黒島の想像通りで、地球は白の艦艇群によって襲撃を受けていた。

 しかし、予防線として蒼の艦艇群を配置していたことが幸いし、地上に悪影響は出ていない。

 だが時間がないのは確かだ。


「とにかく急がないと!」

「そうだな。この周辺の白の艦艇群はあらかた片づけたことだしな。こちらも短距離ワープして白の艦艇群を追いかけよう」

「橙の艦艇群は追いつけるの?」

「大丈夫だ。そのコマンドも実装している。操作さえまともにできるなら、問題はないだろう」


 そういってトランスは目標値を確認する。


「この座標に飛べば問題ない。行くぞ」


 そういってレッド・フリートは全員ワープして地球周辺に行く。

 そこでは、白の艦艇群が蒼の艦艇群のバリアを突破しようと、攻撃を仕掛けていた。


「総攻撃だ、総員全力で白の艦艇群を撃破せよ」


 そういってトランスは全員に発破をかける。

 そこからはレッド・フリートの攻勢一方であった。

 翠の艦艇群が攪乱のために白の艦艇群の周りを周回しつつ攻撃していく。

 白の艦艇群がまとまったところを紅の艦艇群と橙の艦艇群によって撃破する。

 こうして白の艦艇群はほぼすべてが破壊され、残骸は宇宙空間に浮遊することになった。


「地球に飛来した白の艦艇群の99.87%を駆逐することができた。残っている白の艦艇群もそのうちどこかに消えるだろう」

「それじゃあ、今回の作戦、成功と言っても大丈夫ですね?」

「あぁ、そうだな」


 そういうと、黒島は肩の力を抜いた。


「ふぅ。ずっと緊張状態だったから、疲れた……」

「そうだな。こんな長時間作戦を継続しているのもなかったからな。今は十分に休め」


 そういってトランスは事後処理に入る。今回の作戦における消耗率やら、キルレートの数値を確認する。


「今回は橙の艦艇群は活躍していなかったようだな」

「そりゃ、地球と月の間を通信するんですから、1秒もの誤差ありますって」

「それもそうか。今後の作戦立てるのには重要な情報だ」


 こうして、地球規模の防衛作戦はひとまず終了したのであった。

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