第106話 北京の戦い
数日が経過した5月11日。この日は土曜日。
本来なら休みになるところだが、黒島たちは3年生ということもあって、午前中は補講が入っている。
そしてそれが終わり、家への帰路についているときだった。
そんな時に緊急速報メールが入ってくる。
「なんで授業で疲れている時に緊急速報メールが入ってくるんですか」
そんな愚痴を言いつつ、黒島は場所を確認する。
場所は北京であった。
人口の多い北京では、初動の対応の遅さが、被害者の数に比例する。
そしてこれまで以上に、白の艦艇群が北京上空に押し寄せてきていた。
早速蒼の艦艇群が北京上空に展開し、人々や建築物を保護する。
しばらくはこれで持ちこたえられると思われた。
その時である。
白の艦艇群から何やら巨大な砲のようなものを積んだ4隻の白の艦艇、そしてそこにワイヤーのようなものが複数隻の白の艦艇に繋がれていた。
すると、巨大な砲は砲口部分から光を発し、何かチャージしているようにも見える。
そしてそのまま極太のビームを発射した。
それは蒼の艦艇群のバリアに阻まれるものの、展開していたバリアは砕け散り、そして地上に影響を与える。
この攻撃で、地上に展開していた蒼の艦艇群は約3割が蒸発、約4割ほどが何かしらのダメージを負った。
「い、今の攻撃は……」
「あれは二重銃身回転式狙撃銃に匹敵する攻撃力を有しています!」
北京上空に現れた紅の旗艦。タイミングよく、その攻撃を見ていた。
その攻撃を見てあっけにとられる黒島たちと、冷静ながらも驚いて分析をするレイズ。
並の艦艇であれば、一瞬で蒸発してしまうだろう。
「これは面倒なことになりましたね……!」
そういってレイズは冷静に分析を続ける。
「あの主砲のエネルギー量を見れば、周辺にいる白の艦艇群から供給されているようですね。見たところ、砲を支える4隻とその周囲にいる複数隻の艦艇で一つのシステムをなしているよう状態です。となると、あの周辺にいる白の艦艇群を1隻でも墜とせば供給は不可能になり、無力化できるはずです」
「なるほど、それなら俺の出番だな」
そういって出てきたのはロビンである。
「ですが、大丈夫ですか?」
「何、あの砲撃型の白の艦艇の動きなんて、俺の艦艇に比べたらあくびが出ちまうほどトロいさ。幸いバリアもそこまで強力なものを展開しているわけじゃねぇ。翠の艦艇が何隻かいれば、簡単に墜とせるさ」
「ではお願いします」
「よっしゃ、任された!」
そういって翠の艦艇群を召喚し、砲撃型の白の艦艇へと突撃した。
それをアシストするように、紅の旗艦や紅の艦艇群は白の艦艇群に攻撃を加える。
「まずはぁ……、そこっ!」
そういって交差するタイミングで、エネルギーを供給していると思われるパイプのようなものを砲撃で切断する。
そのまま直進し、交差した。
交差後は一度距離を取り、反転して再攻撃を加える。
そして残りのパイプ状のものを切断していった。
「さすがロビン。俊敏ながらも正確な攻撃ですね」
「こっちも大変なんですけど!」
レイズの言葉に、黒島が反論する。
現在紅の旗艦は押し寄せてくる白の艦艇群を相手していた。そのため、縦横無尽に北京上空を駆け巡っていた。
「しかしこれで砲撃型はエネルギー供給能力を失いました。無力化成功です」
そういったのも束の間、砲撃型の白の艦艇の砲口が紅の旗艦へと向く。
そしてエネルギーを充填し始める。
「なっ!?さっき供給パイプは切ったはず!」
「とにかく攻撃来ますよ!」
そういっている間にもチャージは完了し、そして発射された。
それはまっすぐ、射線上にいる白の艦艇群も巻き込んだ攻撃だ。
そして紅の旗艦に命中する。
はずだった。
「まったく、あなたたちは一体何をやっているの?」
そこにいたのは、蒼の旗艦、ジーナであった。
蒼の旗艦は紅の旗艦の前に現れ、ビームの直撃を肩代わりしてくれている。
蒼の旗艦の防御力があるからこそ、なしえる芸当だ。
こうして砲撃型の攻撃を回避することに成功した。
「ありがとう、ジーナ」
「別に、これは当然のことだから」
そういってジーナは蒼の艦艇群を引き連れて、地上へと向かっていった。
地上では白の艦艇群が残り少ない蒼の艦艇群を攻撃しているとともに、蒼の艦艇群がいない場所を狙って地上に攻撃を仕掛けている。
「このままじゃいけませんね。我々も出力を解放しましょう」
そういって機関のリミッターを外す。
「機関出力220%!」
「主砲、一斉射!」
主砲ごとの砲撃が、重く白の艦艇群にのしかかる。
一本のビーム砲撃で、何隻もの白の艦艇が墜ちていく。
翠の艦艇群は、砲撃型を支える4隻の白の艦艇を完全に解体し、そして爆散させる。
こうして、新しく出現した敵を破壊し、北京上空での戦闘は終了した。
「今回は被害が大きいですね」
「あの砲撃型とかいうやつが厄介だな」
「あれを防げるのは、蒼の旗艦くらいの防御力がないと防ぐことは困難だと思う」
「しかし、毎回ああいう戦闘を強いられるのは艦艇の消耗に繋がるぜ?」
今回、新しい脅威がやってきたということが全世界に共有されたのだった。
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