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異次元無双の紅き艦  作者: 紫 和春


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第102話 翻訳

 それから翌日の午後。学校で授業を受けているときに、黒島と後藤は学長先生から呼び出しを受けた。


「何かやらかしたかな?」

「もしかしたらレッド・フリート関連かもしれないよ」


 そんなことを話しつつ、黒島たちは学長室に向かう。

 学長室に入ると、そこには学長先生と副学長先生、それに深い緑色の服を着た男性がいた。


「黒島さんに後藤さん、急に呼び出してすまなかったね」

「いえ、大丈夫です。それで、どうして呼び出したんですか?」

「それはね、この人から話を聞いたほうが早い」


 そういって男性のことを紹介する。


「こちら、国防軍茨城地本の笹原さんだ」

「笹原です、よろしくお願いします」


 そういって笹原は礼をする。


「その地本の方がどうして学校に?」

「実は、八十野少将からじきじきに連絡が入りまして。現地には行けないだろうという判断から私が派遣されてきたということです」

「八十野少将が?一体なんの用事です?」

「伝言を預かっているんです」


 そういってスマホを取り出し、メディアを再生する。


『あー、八十野だ。このような連絡になって申し訳ない。何しろ急用だったもので。話というのは、例の拿捕した白の艦艇から回収された人型生命体、識別番号WAY-01、通称「フー」のことだ。フーは内容液をこぼさないようにしたまま、神奈川にある研究施設に送られた。そこで内容液の検査と、フーの意識回復のための処置が行われた。結果、あの培養液のようなものはアミノ酸を中心とする有機物質で構成されていることが分かった。そしてフー自身も、意識を取り戻しつつあって、現在監視下に置かれている。今、その研究施設に向かっている所だ。君たちの所に地本の担当者が行く頃には、到着しているかな?到着したら再度連絡するよ。そこでお願いなんだが、フーから聞きたいことは山ほどある。そこで、レイズ・ローフォンに通訳を頼みたい。お願いできるかな?まぁいいや。とりあえずこの辺で』


 そういってメディアは終了する。


「とまぁ、こういったことなんで、そろそろ八十野少将から連絡が入ると思うんです」

「となるとレイズさんが必要ってことですか」


 幸い、黒島のポケットにはスマホが入っている。

 黒島はポケットからスマホを取り出し、電源を入れると、直後に電話がかかってきた。


「はい。もしもし」

『私だ。八十野だよ』

「少将」

『伝言は聞いてもらえたかな?』

「はい。それで今どちらに?」

『フーの目の前にいるよ。レイズ・ローフォンはいるかな?』

「ここに」

『それなら話が早い。こっちのパソコンに来てもらえるかな?今パソコンで電話かけてるから』

「分かりました」

『黒島君も、テレビ電話モードにすれば、こっちの様子を見られるけど』

「ちょっと待ってください」


 そういって黒島はスマホをテレビ電話モードにする。

 すると、仕切りの向こう側に防護服を来た看護師のような人が複数人いた。

 レイズの指示通り、無菌室に入れられているのだろうか。誰もが厳重な装備でいる。

 そして部屋の中心には、地球人類とそう変わらない男性が横たわっていた。若干痩せて見えるのは気のせいだろうか。

 そんな男性は目を半開きの状態にして、浅い呼吸をしていた。それと同時に、小さく唇を動かしているのも見える。


「……って近づきすぎですよ」


 いつの間にか、黒島の周りには興味津々に横から見ている後藤、後ろに学長先生、副学長先生、広報官の笹原が見ていた。


「異星人との邂逅だ、興味がないわけではない」


 そう学長先生が言う。それに同意するように副学長が頷いた。

 まぁ、黒島のスマホは画面が大きいタイプであるから、少しは問題ないだろう。

 そのまま中継は続けられる。


『それじゃあ、レイズ君。何か話しかけてみてくれ』


 そう言われたレイズは、フーに向けて話しかける。


『Aa… Kukaomusekei?』


 流浪の民共通の言語と思われる言葉で話しかけるレイズ。

 その言葉に、フーはピクッと反応した。


『Keinkote Nu Kukumuse. Anutei Na Shumou Hu?』


 レイズは何かを聞いたようだ。

 それに対して、フーが何かを答えようとする。

 そして、ありったけの声量で言葉を紡ぐ。


『Shumou Hu Nukenuttei. Imu Hu mourou Wa Hutuse Taku』


 それから心肺の様子がおかしくなり、看護師が慌てて容体を確認する。


『それで、話は聞けたかい?』


 八十野少将がレイズに尋ねる。


『使命はどうしたのかと聞いた所、「使命はなくなった。今は命令を果たす時」との回答でした』

『使命?白の艦艇の使命ってなんだね?』

『白の艦艇の使命は、白の旗艦への絶対服従。どんな命令を下されようと、その命令通りに動くことが使命なんです』

『使命がなくなり、命令を果たす……。少し言葉の意味を考えないといけないね』


 そんな会話が電話越しにされる。

 黒島は正直、話の内容についていけなかった。

 このことに関してはレイズやトランスが考察するのが一番早いから、それに任せようと黒島は思った。

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