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3 ファーストダンス

 ファーストダンス


 小鳥遊音 人間の少年


 大切なこと。それってなにかわかりますか?


 ……君は誰のこともきちんと見ないんだね。友達も、家族のことも、そして自分自身のこともさ。それってさ、すっごく悲しいことだよ?


「やった! 私は、自由だー!!」

 大きめの青色のパーカーに黒のハーフパンツを着て、足元に白いスニーカーをはいたユニは、その白い両手を大きく広げて、青色の空に向かって掲げるようにして、とても嬉しそうににっこりと笑って、そう叫んだ。


「私は自由になったんだ〜!!」

 本当に嬉しそうな顔でユニは夏の大きな白い雲の浮かんでいる、すごく綺麗な青色の空に向かってそう大声で叫んでいる。


 そんなユニの背中を、小鳥遊音はユニのいる場所から、少し遠くにある公園のベンチの上に座って、ぼんやりと一人でなにをするわけでもなくただ、じっと眺めていた。


「ねえ、音! 私、自由だよね? 誰も私に、もう命令したり、どこか狭いところに閉じ込めたりしないよね?」

 くるりと音のほうを見て、ユニは言う。

「うん。もう誰もそんなことしないよ。ユニ」にっこりと笑って音は言った。


「本当! すごく嬉しい!」

 その言葉通りにまるで夏の太陽のような笑顔で笑ったユニは大地の上を駆け出すと、そのままベンチの上に座っている音の体に(まるでダイブするように)抱きついた。

「ユニ。恥ずかしいよ」と音は周囲に人がいないことをもう一度確認しながらそう言った。

「だって嬉しいんだもん」と子供のようにユニが言った。


 二人は今、大きな川の横にある誰も人がいない古い小さな公園の中にいる。

 そこはこの巨大な都市の中でぽっかりと、あるいはうっかりと、みんなに忘れ去られてしまったかのように、あるいはこの場所だけ時間が止まっているかのように、放置されている、誰も人がいない、不思議な場所にある公園だった。(音はこの場所を見つけたとき、穴場を見つけたと思ってとても興奮した。それ以来、この場所は音の秘密基地のような場所になった)

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