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リリーナ
私は、リリーナ=ルーカット。
母さんが騙されてできた借金があって、公爵家でメイドとして働いている。
そして私は、今子育てに励んている。
その子の名前は、アリス様…、いいえアリスと言います。
本当は、公爵家の由緒正しい娘である、エリアーラ様と婿養子である現公爵様のお子様で、本来こんな所にいてはならない方です。なのに…。
エリアーラ様が体が弱いのもあって、アリスを産み落として亡くなられると、現公爵───アルゲート様が離れに勝手に住まわせていた、妾とその子供達を連れて来られました、その子供の一人はもう9つで、まだエリアーラ様と婚約していた時に既に生まれていた事になります。
しかも、妾達家族は傲慢で、身勝手でした。
まず、本来産まれた御子である、アリスに渡したり、然るべき処置をすべきである、エリアーラ様の私物を自分達のものにし、あろう事かエリアーラに色味が似ているのが原因か、アリスを追い出し、使用人として育てると言い出したのです。
他にも、エリアーラ様と仲が良かったり、反論した者は、全員解雇されてしまいました。
私には借金があるので残りましたが、僅かな支給額で、時間もないのにアリスが預けられました。
私は、子供は好きだし状況が違えば、なんの憂いもなく喜んで預かりますが、今はお金も時間もありません。
子供を育てるのに環境が不充分すぎます。
もっとも、使用人にする為だけに育てるのだって、ありえない。
でも、断る事はできませんし、私が育てなければ、アリスがどうなるか分かりません。
そんなこんなで、私がアリスを育てる事になりました。
そして、アリスはどんどん育っていきました。
私の事をママと呼び、笑顔を向けてくれます。
私は、朝と夜の僅かな時間しか側にいないというのに…。
一年が立つ少し前に私は、病にかかってしまいました。
アリスを抱き上げて歩くと落としてしまう可能性があるので、苦肉の策でアリスの椅子にはしごを付けました。
しかも、育ちざかりなのに食事が子供では特に食べ辛い黒パンと#ライ__ヤギ__#のミルクと#ルシ__ウシ__#のミルクのみです。
本来ならもっと栄養のある物とかを食べさせなければならないのに…。
でも、それでもそれしか知らないアリスは、美味しいと言ってくれます、それが心苦しくて…。
「はぁ、おはようございます」
アリスは、寝ているようですね。
「これは、何でしょう、手紙と…ハンカチ?」
机に置いてあったので、手紙を手にとって読んでみます。
❝リリーナ様
お誕生日おめでとうございます。
プレゼントにハンカチを刺繍しました。❞
「この文字、焼付けてある…。
すごいです…」
「あ、ハンカチ…」
ハンカチを広げて見ると、金の糸で綺麗な刺繍してあって、青い糸で私の名前と家名の頭文字が刺繍してありました。
「綺麗…、これはペンダントに入れて大切にしましょう」
私は、アイテムボックスになっている、ペンダントにハンカチをしまい、片付けました。
「どなたか知りませんが、素敵なものをありがとうございます」