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エピローグ クーデター始末記

挿絵(By みてみん)


というワケで、後日談……というか、六章で描けなかった=健太郎の視点では見えなかった部分を補足する感じで。

もうしばらくだけ、お付き合いください m(_ _)m

 ……と、いうワケで。

 『大賢者のプランB』ここに完遂です。


「肩の荷が下りたよ……」

 取り敢えず、国政を掌握した僕は……

 【粛清王】の不満分子狩りでガッタガタになった宮廷を、【賢王】時代の状態へ戻した。有能な官吏たちが実務を取り仕切れば、もうしばらく、この国も持ち堪えることができるだろう。

 半ば言いがかりで捕縛された貴族たちも、密告社会のトバッチリを受けた庶民も、即刻釈放。それぞれ家族の元へ返された。

 当然、キコンデネルのお祖父ちゃん――賢者協会関係者も無罪放免である。


 そして、僕らのクーデターの、そもそものきっかけ――

 年貢の代償として後宮で囲われてたエルフたちも、解き放たれた。

 リストにはリープフラウミルヒ村のラタトゥイーユの名も有り、

 僕もキィロも胸を撫で下ろした。


「落ち着いたらまた、ご案内します」

「そうだねキィロ」

 またあの断崖通路を渡らねばならないのか? と思うと、ちょっと尻込みしそうになるが、

 リシリー湖産のボンゴレビアンコは忘れられない。

 是非また食べに行かないと。

「次は、あたしたちもご相伴に預からせて戴くわ」

「辺境のエルフ村にも賢者協会を再興せねばならんしな」

 少尉もキコンデネルも行く気満々だ。



 さて、

 クーデターの最終局面、僕らは影武者(同じ顔)という立場を利用して、【今回の騒動には二人の王が居た】という筋書きで混乱を収束させたワケだけれども……

 宮廷の幹部が見守る前で、魔法ビジョンで全国臣民に生中継されている中で。


 表向きは、

 ・爆殺未遂事件に遭った賢王は、実は無事ではなかった。療養を余儀なくされ、しばらく政務を執ることは叶わなかった。

 ・その王の不在につけ込んで、宮廷は(同じ顔の)偽王に乗っ取られ、傍若無人の恐怖政治が横行してしまった。


 ということになった。

 高札と瓦版で、全国の臣民にも説明された。


 嘘だけど。

 ――完全に僕らのデッチ上げだけど。


「じゃが、コレで辻褄は合うじゃろ?」

 キコンデネルは、いつもの小憎らしい顔を浮かべながらうそぶく。

「そりゃまぁ……」


 誉れ高き「賢き王」が何故、突然、乱心したのか?

 【悪魔に魅入られし偽王】が本物に成りすまし、国政を壟断ろうだんしていた、という筋書き自体は悪くないと思う。

 しかしフラムドパシオン帝が無責任な王だとしても、あっちの方が正統な王だよ。僕よりも。

 こんな汚名を着せるのは、マッチポンプにも程がある。

 まさに「死人に口なし」じゃん。

 死んではいないとは思うけど。どこか平行世界の彼方へ飛ばされただけで。


「でもね陛下ユアハイネス……一つの嘘で何十人もの人の命が救われるのよ?」

 グリューエン少尉は潔く嘘を肯定する。

「それは……」


 暗殺への猜疑心から証拠もなく処刑される――王の一存で――申し開きの機会すら与えられず。

 そんな、専制国家の最もむごい部分を止められたのは良かった。

 そこは良かったけれど……


「間違ってません、ケンタロウさまは」

 キィロは澄んだ瞳で微笑みかけてくれる。

「キィロ……」

「だってネルちゃんのお祖父さんを助けられたのは……ケンタロウさまのお陰です」

 それは違うよ、キィロ。

 今回の計画を考えてくれたのも、達成に至る仕事をこなしてくれたのも、みんなの成果だ。

 ――キコンデネル、グリューエン少尉、キィロ。

 僕は、上司として皆の仕事を見守っただけで……


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