二度目の旅 - シッカリと準備しましょう
「賢者の知恵を拝借しよう!」
帝都の街角、偶然見つけた張り紙を頼りに、方針を決めた健太郎とキィロ。
溺れる者は藁をも掴む、じゃないけど、
もはや手段を選んでいる場合じゃないし、
一人のエルフの人生が掛かってるんだ、
頼むよ、賢者さん!
極上の解決策を、Teach Me Please!
…………っと、その前に準備は忘れないで。
「あ、ここですここですケンタロウ様」
「ほう……」
今後の方針が決まった帰り、キィロは僕を馴染みの店へ案内してくれた。
表からは何を売っている店なのか、サッパリ分からない外観だったが……
一歩中に踏み込めば、一目瞭然。
綺麗に陳列されたカード群は、見覚えのあるデザインばかり。
そう。
ここはリマンシール屋だ。
魔術回路がプリントされた、シール状の使い捨てマジックアイテムが所狭しと並んでる。
(いやー、壮観壮観!)
何千、何万枚、在庫があるんだろう?
床から天井までビッシリと陳列されたシール。
「これ、一枚一枚、用途が違うんだよな?」
「コレクターは朝から晩まで、珍品やレアものをディグるそうですよ?」
尤も、レジの奥には頑丈なガラスケース。特に細密な魔術回路のシールがシッカリと確保されている。
リマンシール屋も商売だもんね。抜け目ないはず。
「とりあえず、旅で使えそうなのを見繕って行こうよ」
先日の温泉探索では酷い目に遭った。
イゼルロンの稜線渡りで、使える魔法が全然見当たらなかった時は、本当に肝を冷やしたよ…………
二度と、あんな失敗はゴメンだ。
(今回こそは、ちゃんとセレクトしていかないと……)
なにせ、ここは異世界。携帯一本で救助隊が駆けつけてくれる現代日本とは、勝手が違う。
最悪、死の危険すら伴う異世界ツアー、
準備は万端にね!
「今度はバッチリ選びますから! 任せて下さいケンタロウ様!」
プロは同じ間違いは繰り返さない。大船に乗ったつもりで……とキィロは胸を張る。
実に頼もしい、僕の専属添乗員さんだ。
「もんじょわ!」




