第二章 ぼくらが旅に出る理由
賑やかに、力強く、復興への歩みを進めるエルフたち。
しかし…………
前向きな笑顔あふれる住民たちの影で、人知れず犠牲になる少女の存在を知ってしまった健太郎とキィロ、
果たして、彼と彼女の選択とは?
☆ ☆ ☆ ☆
翌日。
僕とキィロはリープフラウミルヒの村を離れた。
「聖ミラビリス王国は大きな国です」
「広大な版図には様々な事情を抱えた地域が混在し……その実態は現地へ赴かないと分からない」
朝の凪を狙って、日も明けきらぬうちからガレ場を登り、イゼルロンの稜線へと出る。
「だからこそ、実際に見た窮状を僕が説明するんだ! 王に直接!」
直談判しよう!
それこそが僕の為すべきことだ! 僕にこそ出来ることだ!
稜線から振り返れば、遠くにエルフの村。
今はまだ、炭化した建物も多く残るリープフラウミルヒの村。
「必ず戻ってきます!」
とびきりの朗報を携えて!
だから見送りなんて要らない。
エルフ村の実情を訴えて、支払い猶予を呑んでもらうか、
それとも人身御供の供与以外の年貢支払方法を認めてもらうか、
何らかの方法でラタトゥイーユさんを救わなくては!
「なぁに、話せば分かってくれるさ!」
だって王様は【僕】だもの。
僕は合理的な説明に耳を傾けられる男だ。そういう性格だと自分が一番よく分かっている!
「ケンタロウ様はお優しい方ですから」
面と向かって言われると恥ずかしいぞ、キィロ。
「――必ず届きます」
添乗員さんの心強い言葉に、僕は決意を新たにする。
やるならやらねば。
僕は僕のやれることをやる。
それは、無責任な部外者としてリープフラウミルヒ村の被災を嘆くことじゃない。
僕は僕の責任を果たすんだ!
「いざ、帝都へ! 行こうキィロ!」
「もんじょわ!」




