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彼女はかく語らず竜は囁く  作者: たけすぃ


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 クエルは現在、フレイの秘書を自任していた。

 これはテツのフレイは仕事をする人間を無碍にはしない、という言葉を受けてのクエルの答えだった。

 彼女は次の日からさっそく行動を開始した。

 フレイの部屋の前に机と椅子を勝手に設置するとそこに座り、フレイ宛ての諸々の招待状や手紙を受けそれを重要度に分けてフレイに渡した。

 フレイは王位継承権第一位にしてその美しさは帝国内で並ぶ者なしとすら言われる美姫である。更には公爵領を持つ歴とした侯爵である。

 毎日のように夜会の誘いやご機嫌伺いのていをなした恋文、公爵領に置いた代官からの報告書といった、多々の手紙が届けられる。

 読む前に必ず読まなければならない物を選別するだけでも手間な程の量であった。

 クエルはそれらを重要な物、そうで無い物、重要では無いが手紙として返事は必ず出した方が良い物、と手早く分けてみせた。

 フォーセス家に産まれた者として教育された各貴族家の諸々の力関係や領地の立地や血縁関係、それら複雑怪奇な繋がりから紡がれる微妙なバランスからの押し引き。

 クエルはそれらを踏まえた上で完璧に手紙を分けて見せた。

 また面会を求める貴族の遣いをクエルはフレイの意を汲んでバッサリと全て断った。

 普通の侍女であれば出来なかっただろうが、彼女はフォーセス家令嬢である。そこらの貴族の遣いをさっさと帰す程度は簡単だったのである。

 また彼らもフォーセス家の令嬢に強く出る事も出来なかった。

 クエルにとっては、まだ兄にお菓子をねだる方が難しいぐらいだった。

 断るどころか面会すらさせなかったのである、毎度律儀に自分で断っていたフレイにとってそれは想像以上に楽だった。

 フレイは何か妙な事をしている女がいる、程度だった認識を半日で改め、昼食後には明日も頼めるかとクエルに訊いた。

 クエル嬢の答えは勿論、はいだった。

 そんなクエルが今日当然のように一緒の馬車に乗り込むにあたり、さしものフレイも困惑気味にこう問うた。

 私は戦場に行くのだが付いてくる気か? と。

「私はフレイ様の秘書で御座いますので」

 その答えを聞いたフレイはそういう物かと納得した。


 ピレの事情はクエルに比べれば素朴な物であった。

 自身が頼んだ事である、近衛兵団の働きを自身の目で見る事が責務である。そう思った彼女は王妃にそのむね相談した所、フレイに話を通しておくと快諾されての事だった。

 まさかフレイと同じ馬車に乗ることになるとは思っていなかったが。


 竜骨街道はローマ街道を参考にして造られた帝国東西を貫く巨大な街道である。

 街道の大きさは参考にしたローマ街道をしのぐ物で馬車四台が並んで通れる程である。

 車線などは書かれていないが右側通行が定められており馬車道の外側に歩道があり、歩道側つまり端側の馬車道が走行車線、中央側が追い越し車線となっている。

 コンクリートで舗装された馬車道は帝国内の流通を支えるに十分であり、まさに帝国という船を支える竜骨キールであった。

 王都はまさにその竜骨街道の中央に位置していた。立地としては最高の場所であり、それはクロファース王家が帝国の剣と呼ばれる由縁である。

 帝国内で何かあればクロファース王家はこの竜骨街道を使い真っ先に駆けつける役目を負っているのである。

 そんな竜骨街道は昨今例を見ない程の馬車が走っていた。

 その光景は人々についに東西に分かれた帝国がぶつかり合うのだ、と思わせるに十分な物だった。

 そんな竜骨街道を人々の常識を覆す速度で疾走する集団がいた。

 テツ達近衛兵団である。


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