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夢リーゴーランド  作者: 佐渡惺
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プロローグ


 兄弟姉妹がいらっしゃる方にお(たず)ねしたいことがあります。一人っ子の方にもお訊ねしたいことがあります。家族同士、どんな感じでしょうか。




 私が暮らしている浜坂家(はまさかけ)姉弟(きょうだい)は、弟の方が姉にイタズラをすることが多いといったところです。




 姉は小学五年生の芽衣亜(めいあ)、弟は小学三年生炉駈哉(ろくや)と言います。




 そろそろ、私の自己紹介をします。私は芽衣亜の部屋で暮らしている茶色い馬のぬいぐるみのマイリーンです。この名前の「マイ」ってところは、芽衣亜の友だちの名前からきたものになります。




 姉弟の話に戻りますが、炉駈哉が芽衣亜にするイタズラは、姉の物を例えば教科書をどこかに隠したり、甘い果物のジュースに塩をかけて(しょ)っぱくさせたことです。




 また、炉駈哉は自分の飲み物をわざとこぼして芽衣亜のティーシャツにかけたり、芽衣亜がトイレへ行きたいところを横入りして先に入ったり、芽衣亜が自分の部屋でパズルゲームで遊んでいるときに話し掛けて邪魔もしていました。途中からパズルのピースをはめるところが芽衣亜は分からなくなってしまったのです。




 芽衣亜は弟のイタズラに気づいていないのでしょうか。彼女は弟のイタズラのせいと思わず、教科書を隠されたことは自分がいつもと別の場所に置いてしまったせいだと思っていました。




 ジュースが塩っぱかったわけは賞味期限が過ぎていたからだと芽衣亜は思っていたようです。炉駈哉が飲み物をわざとこぼしたイタズラについて、芽衣亜は飲み物のシミがシャツの花柄模様になっていると考えが前向きでした。




 弟のトイレの横入りの件は、よっぽど我慢が出来なかったのだと芽衣亜は笑っていました。パズルゲームをしているところを邪魔してきた炉駈哉については、自分の集中力が足りないせいだと言っていました。そして、何と芽衣亜は、はめていたピースを全部バラバラにしてしまい、初めからパズルゲームをやり直したのです。




 炉駈哉はそんな姉の芽衣亜にいつも苛立(いらだ)っていました。彼が苛立っている様子は、私の目に、はっきりと映ります。私は炉駈哉の芽衣亜にするイタズラがあまりにひどいと思い、懲らしめる方法を考えます。そのとき、




 「マイリーン」

 と、黒ネコが話し掛けてきたのです。黒ネコの名前はクログーと言い、芽衣亜がよく面倒を見ている飼いネコでした。芽衣亜が寝たとき、クログーは私のところに来ました。




 「クログー、何か用?」




 「あたし、さっき、芽衣亜たちのおじさんが独り言を言っていたのを聞いちゃったのよね。明日、遊園地行くってさ。出掛けるみたいね」




 「明日、芽衣亜たちは学校休みか。炉駈哉を懲らしめるにはちょうどいいね」




 「あんた、遊園地行ってどうあの男の子を懲らしめるつもりなの?」

 と、クログーが言ったちょうど、少し離れたところで聞いていた黒い馬のぬいぐるみが高らかな声で笑い出し、口を開きます。




 「はっはっはっ、オレたちが遊園地のアトラクションになって懲らしめればいいんじゃないの。炉駈哉を懲らしめてやろうぜ」

 そう言った黒い馬のぬいぐるみの名前はリードルです。彼はそんな無茶苦茶なことを言っていました。ちなみにリードルは私の兄のような存在です。彼も芽衣亜の部屋で私と暮らしています。




 「うーん、遊園地のアトラクションって、私、よく分からないな」

 私が天井を見てうなっていると、クログーがしゃがみ込みながら、




 「あたしが遊園地まで乗せて行ってあげるよ」

 と、私とリードルを背中に乗せてくれました。




 そうして、私たちは遊園地へ向かったのでした。

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