合わせ鏡の噂
子供の頃なら1度は聞いたことない?
合わせ鏡に写すと自分の死ぬ時が見られるって。
そんなわけあるかって僕はずーっと思ってたんだ。だけど合わせ鏡だけはしたことがない。正直ビビってるところもある。臆病だからね〜。
結婚して妻ができ、部屋に三面鏡が置かれた。
妻は毎日鏡の前に座って化粧をしている。
その姿が気になっている僕は妻に合わせ鏡の事を話して聞かせた。どんな反応をするのか気になっちゃってね。
妻はたいして気にもしていないようだ。
それはそうだ。妻はその手のは信じてないから。
それである日、妻は合わせ鏡の事を笑って試してみるって言い出した。どういう心境の変化だ?
そりゃ試してみたかったけど、怖くないか?
実際何が写るかなんて誰も知らないしわからないから。
妻は上手いこと三面鏡に鏡の角度を変え合わせるように作った。あとは鏡の中に自分を写すだけ。
鏡の中をのぞいた妻は特に何も変わらなかったと言う。僕は覗いてないからね。分からないんだ。だって自身が写ったら怖いじゃないか。
「つまらないわ。何かあったら面白かったのに…。」
「そんなこと言うなよ。何かあったら大変じゃないか!」
「そんなのただの作り話ね。あくまで覗いたけど、特に変わってなかったもの。」
「ホント?僕ものぞいてみようかな?」
「貴方はやめときなさいよ。もし何か写ってたら怖くて何も手につかなくなるじゃない。」
確かにそれもそうだなと思い、見るのをやめた。
それからひと月ほどたったある日の事、妻が事故にあったと会社に電話が入った。
僕は慌てて会社から病院までタクシーで向かったよ。でもね、妻はそのまま帰らぬ人になってしまった。
泣く事が出来なくなるまで泣き明かしたよ。
でね?遺品を整理してたら妻の携帯にメモ書きが見つかったんだ。それにはこう書かれていた。
【あの合わせ鏡、見なきゃよかったわ。あの黒い塊は一体何?私にへばりつくようにくっついてる。怖いわ。こんな事あの人には言えない。言ったらきっと恐怖で寝られなくなりそうだもの。私も人のことは言えないわね。信じればよかった…。今更かもね。でもね、もしこれを主人が読んでるなら合わせ鏡は見ないでね?あれはきっと…。】
そこで終わっていた。
なんだったんだろう…。
でも妻の言う通りだ。
僕はきっと見ない。




