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新解釈童話・昔話シリーズ

乙姫の策略

作者: イソジン

乙姫目線で自分の想像だけで書きました

乙姫は結婚に焦っていた。もう少しで30歳になってしまうのだ。(実際は人間世界とは時の流れが違うので人間の時間で1歳年を取るのに10年かかる)

「早く結婚しなければ…一人老いぼれ魚になるのは嫌ですわ…」

乙姫は美人で性格もよい。だが魚人種(魚っぽさが強い一般種)の親や兄、その他貴族とは違い、人魚種(人っぽさが強い希少種)に産まれたばっかりに結婚の申し込みもなければ乙姫は自体も同種にしか愛を感じることができないようでなかなか結婚できなかったのだ。

「乙姫様も魚人種だったらね…きっとおモテになられたのにね」

世話係のカサゴ・マキがフォローのつもりでそういうのだが言葉にトゲを感じ余計辛くなる

「はぁ…いい殿方いらっしゃらないかしら…」


「それなら…。乙姫様!知っていますかこの海の外側に陸地があるのを」


「それくらい知ってるわ。航海書に陸地とかいう水のない場所があるって書いてあったもの」


「さすが乙姫様。博識でらっしゃって。でしたら知ってる話かも知れませんが…陸地に人族という見た目は乙姫様のような人魚種に似てる種族がいるようですよ。」


「人族は知っていますがやつらは我らの仲間を取っては食らう悪の種族だと聞いていましたから…見た目は知りませんでした。ですがそれがどうしたというのです」


「わかりませんか?乙姫様。海のなかで人魚族、それも殿方を見つけるのは非常に難しいではないですか」(人魚族自体が珍しいがオスはもっと珍しく現代でいう三毛猫のオスみたいなものだ)

「ふむ。それで」

「人族から殿方を見つけてこちらに呼べばいいと思うのです。」

「なるほど。でも人族はエラ呼吸ができないのですよ?」

「それはあの薬を飲めば大丈夫ではないですか。」

「ああその手がありましたわね。エラ促成薬を使えばいいのね」

(エラ促成薬とは老魚などエラが傷んでしまったものを治す薬だ。)

そう決まればはやい。その日のうちに乙姫は使いを陸に送った。

使いに送られたのはタートル・カナメ。亀である。陸でも行動ができるため選ばれたのだ。

「なんでいっつも私がこういう大変な仕事を…」

「乙姫様のためよ。頑張ってねカナメ」

「マキ先輩ひどいよ…」


一時間後、カナメは砂浜についていた。太陽が真上である。

「暑い…」

カナメが海に戻ろうとすると

「あれ亀じゃね?」

「あ、マジだ。」

子供が2・3人集まってきた。

「これ食べれる?」

「どうだろうな。」

「とりあえず捕まえようぜ!」

カナメは捕まってしまった、

「ひゃ…食べられてしまう。」

ジタバタしてももう遅い。なすすべがない。


「こら、カズ。キスケ。ジロウ。亀は食べれません。離してあげなさい」

スラッとしていかにも優しそうな青年がやって来てカナメを助けた。

「うちの村の子たちが悪かったな。ほら海に帰るんだよ。」

「太郎にーちゃん。魚とりいこうぜ!」

「わかったよ。」


「太郎っていうのか。」

海に戻って浅瀬から青年を少し観察したあとカナメは帰路についた。


「乙姫様!よい知らせが!」

「帰ったかカナメ!」

「よい殿方がいました!太郎と言う漁師です!」

「さっそく連れてまいれ!」

「え…今帰ったのにですか…」

「はやく!」

「はぁ…」

カナメはすぐに太郎の元へ行くことになった。


「たぶんこの当たりだったと思うんだけど。あ、いた」

「あれ、この前の亀さんだ。なんで戻って来てしまったんだい?」

「竜宮城に…あ、日本語に切り替えないと。うっん、竜宮城に行きませんか!乙姫様がお呼びです!」

「しゃ、しゃべれるのか…行ってもいいが竜宮城とはどこの城だい?」

「あっちです」

カナメは海をさす

「海の上に城があるのか」

「いいえ、海の下です」

「息できないけど…」

「沈む舟を持ってきました!中では息ができると思いますよ?」

海面から舟が現れる

「お、おう…すごいな」

カナメは太郎を舟にのせると竜宮城に急いだ。


「乙姫様!お連れいたしました!太郎さんです!」

「かっこいいわね。でかしたカナメ」

ひそひそと話す

「太郎さん、いらっしゃいませ。私はこの城の姫。乙姫と言います」

「あ、あなたが乙姫様ですか。僕は浦島太郎。漁師をしているものです。なぜ私をお呼びに…もしかして魚を取っているからでしょうか…」

「いいえ。この前カナメ…亀を助けてくれたようで。お礼にと。」

「そうでしたか。たいしたことはしていないですがお言葉に甘えて」

乙姫様は太郎を宴会ホールに通す。


前にもいったが乙姫は結婚に焦っていた。そのせいか今日すぐ披露宴をあげようと貴族や家族に結婚するとすでに伝えてしまっていたのだ。

「こ、これはどういう…」

「私たち結婚するのよ」

「え、ちょっと…」

「私では不安ですか?」

「不安と言うか出会ってまだ5分…」

結婚式の音楽が流れ始める。みんなが拍手をする。


太郎の思いとは裏腹に強引な結婚式は滞りなく進む。

「誓いのキスを」

「さぁキスを」

「もう…どうにでもなれ…」

太郎はもう諦めていた。結婚式は無事終わり。晴れて乙姫は結婚することができたのだ。


めでたしめでたし


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「お母さん。これお母さんの話?」

「そうよ。」

「かなり強引だったのね。」

「そうでもしなきゃあなたは生まれなかったのよ?」

「ありがとうっていうべきなのかしら…」

「言うべきよ。」

「ありがとうお母さん!」


「おーい。乙ー!幸。ご飯ができたから本読むのやめてこっちにおいで」

「はーい。」

「今日は何を作ったの太郎さん!」



乙姫と太郎の間には幸姫(人魚種)がうまれ。幸せに暮らしていた。


太郎が乙姫と大喧嘩をして記憶を消す道具・秘宝玉手箱を持たされ地上に帰されるのは、ずっと後のことである。


そして記憶を消され、歳だけ取っている彼が残っている記憶で書いた話がみんなが知っている浦島太郎であることは誰も知らない…



浦島太郎は何をしてそんなに怒られたんでしょうね。

ひとつ言えることは竜宮城には美しい女の人が一杯いるんです

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