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書架の魔道士  作者: 綾 翠
序章
1/13

プロローグ

  我が家に戻る帰り道。

  人通りが多い大通りから離れた路地裏。


  そこで奇妙な者を見つけた。

  まだ若い男、いや男の子だ。

  あの歳で治安の悪い路地裏を歩くのは危険だ。

  けれど男の子はフラフラと歩いている。

  周りをキョロキョロと挙動不審に見渡し

 ながら彷徨っている。


  (さては、迷子か。)


  気になったが、見ず知らずの男の子に声をかける義理はない。それにあのような子供を囮に使ってその子供に寄ってきた大人を標的にする悪党どももいる。

  さっさと路地裏を抜けた。が。


  「最近、子供の誘拐が多いんだよなぁ」

  「ああ、近所の子供が路地裏に入ったところでやられたんだってな。」

  「ひゃー、あぶねー。きぃつけねぇとな。」


  大通りへ出たところで商人達の話し声が聞こえた。


  さすがに心配になった。

  すぐ路地裏に引き返す。


  案の定、男の子はガラの悪い男どもに囲まれていた。

  男の子は抵抗してるが、男どもが服を乱暴に引っ張っている。

  1人の男が拳を挙げた。

  あんな歳幅もいかない子供を殴るつもりなのか。


  「おい、悪党ども。その子から離れなさい。」

 

  声をかけて様子を見てみる。

 

  男どもはギクリと身を固めたが相手が女だと分かると途端に横柄な態度で近づいてきた。


  「いや〜ねぇーちゃん。見ちゃったかぁ?見ちゃったなぁ?ゴメンなぁ、見ちゃった奴は無事に帰すわけにはいかないんダァ。」


  ダミ声で話しかけてくる1人の男。

  ニャァっと品の悪い笑みを浮かべ、そのままこちらに手を伸ばしてきた。


  (手を出してくるのなら、仕方ないか。)


  くるりっと指を回す。すると、男の伸ばしてきた腕が指の動きを真似るようにくるりっと回転した。


  「ウォウ⁈」


  男は戸惑いの声と同時に回った腕の勢いに負けて尻餅をついた。

  後ろにいた男たちは度肝ぬかれたようで、さっきまでガヤガヤとうるさかった空気がシーンと静まり返っている。


  「お、お前、魔女か!」


  尻餅をついた男が情けなく叫ぶ。


  (魔女ではないが...その方が都合がいいな。)


  「そのとうりだ。私はま...」

  「「「「「デタァーーーー⁉︎⁉︎⁉︎」」」」」


  男たちは相手の話を最後まで聞かず、我先にと尻尾を丸めて逃げていった。

  しばし唖然とする。が、すぐ気を取り直す。


  (厄介払いはできた。さて、あの子は。)


  男の子は呆然とこちらを見ていた。

  よくみると、ここらでは見慣れない格好をしている。


  (異国の地から来たのか?)


  疑問を抱きながら怯える男の子に手を差し伸べて、声をかけた。




  「大丈夫かい?」



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