7 解散しよう
これは作者の体験をもとにしています。かなりな自意識過剰と勘違い、恥ずかしくなるような自惚れが引き起こす、スクールライフです。
君達の学校は
馬鹿揃い…
悲しいがそれは本当のことだった。
えんじ色のネクタイは馬鹿の旗印。
この制服で街を歩くと、スレ違った中学生に馬鹿と囁かれ、底意地の悪い商店街のパン屋のオバチャンは、ワザとおつりを間違える。
でも、それを飯田君が言うなんて・・
だったら小泉君にも、ドンケにさえも、あたし達は馬鹿って
最初から嘲られていたの?
「てめ、ざけんなよ!」
陸上女子、松子がいきなり立ち上がった。
「こっちは加部に頼まれて、嫌々集まってやってんだよ!」
キュロットからのぞく筋肉の縦筋が怖い。
今にも飯田君に殴り掛かりそうだ。
(やめて)
あたしはドンケを殴っておきながら、松子が飯田君を殴るのは嫌だった。
ってか、彼は殴れないよ。
彼はドンケとは違う。
SMAPでたとえるならキム○クだ。
キム○ク 殴れますか?
相手を見ろよ松子。
小泉君は、吾郎ちゃんで、
ドンケは?
誰もいないが無理矢理作るなら中居君が、マー坊になった時だ。
「こっちだって」
飯田君が言い返す。
「加部に頼まれて、仕方無くだぜ」
ドンケの顔が青ざめ、汗が流れていた。
松子は千円札をバシッとテーブルに置くと、カラオケルームを飛び出した。
テル子もそうしたので、
あたしも仕方なく千円出した。
この千円が妥当かどうかの意味はともかく、
松子 カッコいい!
カラオケルームを飛び出して、
あたしとテル子は、陸上女子松子の後を、必死で付いて行った
町田の駅前広場。
三人無言で立ち止まる。
夕暮れが迫り、雪がちらついている。
家族連れや幸せそうなカップルが、目の前を流れてゆく。
心がヒリヒリする。
「もう・・解散しよう」
白い息を吐きながら松子は続けた。
「けど、あたしは小泉君とは付き合うよ。彼は無口だけど良い人なんだ」
それは分かる。
松子と小泉君は何となく最初からいい感じだったのだ。
「小泉君と居る時は楽しいのに、みんなで集まるといつもこうだよ。
だから、バラけようよ」
「うん」
素直に同感するあたし。
しかし、テル子が意外な言葉を発した。
「待って、飯田君だって二人きりならすっごく良い子なんだよ!今日どうかしてるんだよ」
そう、悪い子にしたのはあたしの悪口が原因なんだが、多分。
てゆーか、
今? なんていった、テル子?
飯田君と二人ぃ?
二人って?
「あたし、実は飯田君と内緒で会ってたんだよね~」
テル子はニンマリして鼻の穴を膨らませた。
「げっ!アイツあたしとも会ったんだよ」
松子がキョトーンとして言った。
「小泉君に悪いからって断わったのに…しつこいからさーっ」
ふっ、2人とも、何言ってるの???
☆この物語の主人公であるはずのあたし、舞子は、馬鹿なので、状況が飲み込めなかった。
「あたしなんてさ、公園で飯田君が作曲したって歌を聞いたよぉ」
テル子は調子に乗った。松子も負けない。
「なんだよ~アイツ!
あたしん時も、詩とか見せてくれたぜっ!うぜえ」
あぁ!・・
もお・・
熱が出そうだー。
あたしの体から寒さが吹っ飛んだ。
全てが吹っ飛んだ。
飯田君は三人と別々にデートしたのだった。
この時、あたしは知ったのだ。
あたしには飯田君は特別な人。
でも飯田君にはそうじゃないって。
続く




