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限りなく馬鹿だった頃  作者: 京香
7/13

7 解散しよう

これは作者の体験をもとにしています。かなりな自意識過剰と勘違い、恥ずかしくなるような自惚れが引き起こす、スクールライフです。

君達の学校は

馬鹿揃い…


悲しいがそれは本当のことだった。

えんじ色のネクタイは馬鹿の旗印。

この制服で街を歩くと、スレ違った中学生に馬鹿と囁かれ、底意地の悪い商店街のパン屋のオバチャンは、ワザとおつりを間違える。

でも、それを飯田君が言うなんて・・


だったら小泉君にも、ドンケにさえも、あたし達は馬鹿って

最初から嘲られていたの?


「てめ、ざけんなよ!」

陸上女子、松子がいきなり立ち上がった。


「こっちは加部に頼まれて、嫌々集まってやってんだよ!」


キュロットからのぞく筋肉の縦筋が怖い。

今にも飯田君に殴り掛かりそうだ。


(やめて)


あたしはドンケを殴っておきながら、松子が飯田君を殴るのは嫌だった。

ってか、彼は殴れないよ。

彼はドンケとは違う。

SMAPでたとえるならキム○クだ。

キム○ク 殴れますか?


相手を見ろよ松子。

小泉君は、吾郎ちゃんで、


ドンケは?

誰もいないが無理矢理作るなら中居君が、マー坊になった時だ。

「こっちだって」


飯田君が言い返す。

「加部に頼まれて、仕方無くだぜ」

ドンケの顔が青ざめ、汗が流れていた。


松子は千円札をバシッとテーブルに置くと、カラオケルームを飛び出した。

テル子もそうしたので、

あたしも仕方なく千円出した。

この千円が妥当かどうかの意味はともかく、


松子 カッコいい!



カラオケルームを飛び出して、

あたしとテル子は、陸上女子松子の後を、必死で付いて行った

町田の駅前広場。

三人無言で立ち止まる。

夕暮れが迫り、雪がちらついている。

家族連れや幸せそうなカップルが、目の前を流れてゆく。



心がヒリヒリする。


「もう・・解散しよう」

白い息を吐きながら松子は続けた。

「けど、あたしは小泉君とは付き合うよ。彼は無口だけど良い人なんだ」


それは分かる。

松子と小泉君は何となく最初からいい感じだったのだ。

「小泉君と居る時は楽しいのに、みんなで集まるといつもこうだよ。

だから、バラけようよ」


「うん」

素直に同感するあたし。

しかし、テル子が意外な言葉を発した。

「待って、飯田君だって二人きりならすっごく良い子なんだよ!今日どうかしてるんだよ」


そう、悪い子にしたのはあたしの悪口が原因なんだが、多分。


てゆーか、

今? なんていった、テル子?

飯田君と二人ぃ?

二人って?


「あたし、実は飯田君と内緒で会ってたんだよね~」

テル子はニンマリして鼻の穴を膨らませた。


「げっ!アイツあたしとも会ったんだよ」


松子がキョトーンとして言った。

「小泉君に悪いからって断わったのに…しつこいからさーっ」


ふっ、2人とも、何言ってるの???

☆この物語の主人公であるはずのあたし、舞子は、馬鹿なので、状況が飲み込めなかった。


「あたしなんてさ、公園で飯田君が作曲したって歌を聞いたよぉ」

テル子は調子に乗った。松子も負けない。


「なんだよ~アイツ!

あたしん時も、詩とか見せてくれたぜっ!うぜえ」


あぁ!・・

もお・・

熱が出そうだー。

あたしの体から寒さが吹っ飛んだ。

全てが吹っ飛んだ。


飯田君は三人と別々にデートしたのだった。


この時、あたしは知ったのだ。


あたしには飯田君は特別な人。


でも飯田君にはそうじゃないって。




続く


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