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限りなく馬鹿だった頃  作者: 京香
6/13

6 美しき天使より

ドンケはあたしに殴られたとゆーのに、てんで気にしてないみたいに、新年の年賀状を寄越していた。


あけおめ~!

又遊びにいこーね!


ある意味マジおめでたい奴。


今思うと、凄い人だ。

まるで何も無かったかのように、こんな年賀状を寄越す心の広さつーか、鈍感つーか、流石ドンケなのだ。


小泉君は、真面目そうな固い文面。

彼とはお互いのタイプが違うと、ハッキリしていたので、

友達感覚で居られた人だ。

しかも、クールなイケメンで爽やか。将来は自営業を継ぐと、しっかりしたビジョンがある。



しかし、肝心の飯田君からの年賀状・・・


年賀状が無い。

私は彼には、一番力を入れたイラストを入れのだ。


なのに、

なぜ一番欲しい相手が寄越してくれない?悲しいよー。

元旦から最大マックス盛大に落ち込んだ。


そこへ、家の電話が、新年二日目にして鳴った。


(飯田君だ)

あたしは何故かそう思ったので出るのを…溜めた。

馬鹿だねさっさと出ろ、あたし。

「もしもし」

お~っ、あたしは霊能者か!

それとも恋の力?


「俺の年賀状届いたかな?」


「ううん、まだだよ」

わくわくする。

さっきまでの落ち込みが一気に晴れた。

「あのさー、俺」


「な、何?」


「年賀状に凄い変な事書いちゃってさ、その、お母さんとかに見られたら、君が恥ずかしいかと、心配で」


え?

見られたら恥ずかしいことを書いた?!


ドキドキした。

「な、何を書いたの?」

それって愛の告白!?


「届くまでのお楽しみだよ」


ぎゃーっ!

天に昇る気持ちって、きっとこれだ。

幸せ!幸せ!幸せーっ!

三日目。飯田君と明治神宮に初詣でデート。

これでハッキリした。

飯田君はあたしを選んだのだ。

彼はベージュのコートに、バーバリーのマフラーをしていた。

今までで一番大人っぽくて、素敵だった。


あたしはバイトして買った、お気に入りの赤いコート に黒のブーツ。

襟が白のフサフサ。

ちょっとサンタさんみたい。


会った時も、飯田君は年賀状の事を気にしていた。

時々うつ向いて、書くんじゃ無かった、などと哀愁を帯びた目をする。


「いや、いいよ、大丈夫だってば」

頭の中で文字が躍っている。

君が好き。大好き。love・・・


公園におでんの屋台が出ていた。

「彼氏と彼女!サービスするよ!」

元気なオジサンの声につられて、飯田君とあたしはおでんを食べた。

超絶美味!


正月で閑散とした東京を、飯田君と歩く。

まるで、街全体が二人の為にあるように錯覚する。

ウインドに写り混む、飯田君とあたし。

飯田君はあたしの肩を抱きよせて歩いた。

新宿で、お茶をしてそれから・・・それから大人だとこの流れはホテル・・・?

待て、心の準備が・・・

「俺、こっちに友達がいるからこれから泊まりに行くんだよね」妄想が壊れる一言を飯田君からくらった。


「そっか」


「帰り大丈夫?」

「うん、大丈夫」ちょっと寂しい。


別れ際、新宿駅の改札で、

「じゃあ、年賀状楽しみにしててね」と又言われ、あたしは満面の笑みで飯田君と別れたのだった。


飛ぶようにして家に帰ると、年賀状があった!

あたしは期待した。

震える指でテーブルにあった年賀状の束をめくり、飯田君を探した。


明けましておめでとう、舞子ちゃん


今年は


あんまり



飲み過ぎたら


駄目だよ


美しき天使より


はぁ?

あたしは思い切り遠くへ投げ飛ばされた感じになった。


これだけぇ??

衝撃だ。

あんなに気を持たせて・・

信じらんない。


凄い事って・・

飲み過ぎるなってメッセージ?

それとも、


美しき天使の方?何?美しき天使って!?


何これーっ!!?心がヤクザに変身しそうだった!


※※※※※

「だから言ったじゃん、舞子」


新学期がはじまり、あたしは頭に来ていて、悪友加部 水絵に洗いざらい話した。

「飯田は究極のナルシストだよ、だからアタシはあの時・・・」


「あの時?」

「いや、何でもねえ」


加部水絵は、何か言いかけて、慌てて牛乳を飲み込んだ。

「ちっとあまった。舞子飲め 」

「いらん」

あたしは友達同士の、牛乳回し飲みの技がどうしても出来ないのだ。


何故皆平気?

弁当回し食いと訳が違うだろ?


友達何を言い掛けた?そもそも友達と飯田君の繋がりは何?

新学期早々、男子の話題に熱中の二人。


でも学校では、あたしはテル子と松子とはあまり話さなかった。

クラスが違うからだけど、これが六人集会の際に盛り上がらない原因でもあった。


だからデートじゃ無くて、『集会』と呼んでいるのだ。


デートと呼ぶのは飯田君の時だけ。


(カラオケ行かない?)

ドンケからの電話で又しても集会だ。


しかし、飯田君がカラオケルームで、この日超不機嫌!

あたしは初めて男子の裏の顔を知った。

男子にも生理が来るのか?


だから違うって、飯田君は加部水絵から、あたしが飯田君の悪口をガンガン話した事が伝わっていたのだよ。馬鹿だから気がつかないのだ。

だからあたしは今、美しき天使のフレーズを大笑いしていた女、と言う立ち位置に居るのだ。かなりヤバい。

飯田君が、終止ムスッとしてるので、ドンケか痛々しく気を使い、小泉君は知らないフリでやり過ごしていた。


だいたいさ、

あたしは思った。

だいたい何であたし達集まるの?

無理して笑って、ぎこちない空気にいつも負ける。

飯田君がリードしないと、あたし達まるで・・


その時、飯田君が口を開いた。

「君達の学校ってさ」

あたしは期待した 。

この空気を一変させられるのは、飯田君しか居ない!


『…馬鹿ばっかって評判だよね』

確かに、一変した。


皆 固まった。


馬鹿ばっかり…?


飯田君の言葉が、あたしの頭の中でガンガン回った。


確かに彼等は、野球の名門男子高。

それに比べて、

あたし達玉姫女子高は、県外にも有名な馬鹿揃い。

有名デザイナーが作ったとゆー、えんじのネクタイは馬鹿の旗印だ。


続く





お読みいただきましてありがとうございます。



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