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限りなく馬鹿だった頃  作者: 京香
5/13

5 あたしは男を殴る!

小池精気君 。


通称ドンケ。


鈍いからそう呼ばれている男の子が、あたしを好きなのは知っていた。


だって彼は、あたしが飯田君に対する様に、ぎこちない態度になってしまうからだ。

だからそれを見ると、イライラする。

あたしも飯田君の前で、こんなにかっこ悪いのかと思うと、ぶん殴りたくなる。


そして本当に殴ってやったのだた。

どこで?

夜 。

クリスマスイブに・・・


あたしたちグループ交際六人組は、「クリスマスパーティしよう」て、飯田君の声かけで、集合した。

茅ヶ崎に小さな民宿兼、コーヒーショップがあって、そこのオバサンに頼んで、台所ごと借りた。

そこはドンケの親戚らしかった。


でも、なぜわざわさ作ろうとしたのかな?


しかも、料理の経験がゼロのあたしだよ。

テル子が意外と手際が良いので嫉妬した。

※ポテトサラダ※


大変だったよー。手作りって、やっぱり、愛の証だったのかな?

男の子達がそーしよって、言い出して、テル子が本領発揮とばかりに、張り切ったのだ。

今日こそ主役だ!テル子!


みんな 可愛かった。

男子に好かれようとけなげだった。


あたしは、何とか楽することばかり考えていたけど、松子は小泉 達也君に、手編みのマフラーを渡していたもんね。

熱い筋肉少女は、心も熱かったのだ。


それに春先から付き合ってきたので、 流石この頃は、多少全員が打ち解けていた。


でも、肝心の飯田君とあたしはちっとも進展していない。

あたしが好きなのか嫌いなのか、さっばり分からない。


テル子とどうにかなったのか、さっぱり読めない。

だって馬鹿だった。

自分の気持ちを素直に出せばいいだけなのに、色々こじらせる。


それで、いろんな事がもどかしくイラついて、

あたし、あたしはドンケを・・


殴りました。

意味もなく・・・


殴ったのは帰り道。

駅までの10分間ぐらいの間。


クリスマスパーティで、あたしは酔っ払ったのです。


飯田君がビールとシャンパンを買って来て、小泉達也君がケーキを抱えてやって来た。

ビール飲むのは初めてじゃない

けど、あたしは実は弱かった。

あったり前ですね。


なのに強いフりした。

飯田君に心配してもらいたかったからだ。


あたしたち、テル子と松子とあたしは、

民宿の台所で、サンドイッチ&ポテトサラダを作り、鳥肉も焼いた。


とにかくイブの夜だから、それなり盛り上がったのは、間違いありません。


今までの集会での快挙。

そんな、おめでたい夜だと言うのに、あたしの心は、どーんよりしていた。


てゆーか、あたしはこの辺で、もっと目立ちたかった。

テル子は料理で松子は手編みのマフラー。


じゃあ、あたしも存在をどうにかしたい!その方向がとんちんかんに向かうのだ。


フラフラしている、あたしの腕をつかんだのは、飯田君では無く・・

真っ黒な顔のドンケ。

白いブイネックのセーターの縁に赤いストライプ。

「舞子ちゃん、大丈夫?」


ああ気に入らねえ。

あたしはドンケの着る物全てが嫌い!

「小池君ってさ」

あたしはかったるそうに、ドンケに突っかかった。


「草の匂いがするー」


「はぁ?」


「そんでもって小泉君は石ぃ~」すっごい適当だ。


「飯田君はぁ・・・」

飯田君。


(大好きだよ!飯田君!)

体の中から飛び出して来そうな言葉を押さえる為に、

あたしはドンケのほっぺたを殴った。


全力で、

身体ごとねじって、

卑怯なあたし。


殴った瞬間、ドンケの顔があっち側に向いたので、確かに手応えがあった。

男を殴るのは幼稚園以来だ。


けど、あの頃と違ってあたしの手が痺れた。

殴っておいて、フリフリするのはカッコ悪い。


あたしは耐えた。

ドンケはほっぺたを擦った。

特に驚いた様子でも無い。


しかし、飯田君がびっくり・・

かなりショックを受けた顔で、あたしを見つめた。

目が合った。


やっとあたしを見つめてくれたよ!

でも何かもっと・・・違うまなざしを向けられたかった。

その目じゃなくてさ。


「舞子ちゃん・・」

一番クールで大人っぽい小泉君が、あたしをよしよしして、ドンケからさり気なく引き離しながら言った。


「酒癖悪いね・・」

涙があふれた。

何だか分からなくなったら、取りあえず泣いとけ!!と思った。


飯田君に危ない奴と思われる前に・・・


泣いとけ~っ!


結局あたしは、女の子の生理前って、陸上女子松子の説明で、

ドンケへの理由無き暴力を、無理矢理強引に納得させたのだった。


アホなあたしはドンケに

謝らなかった。




続く



けっこう性格の悪かった作者ですが、今は更正しております。


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