2 彼氏はジャニーズ系?
友達は隣のオッサンに伝票を飛ばしたが、オッサンは私達の、眩い体に見とれていて、気付かない。
「あれ~っ、もー帰るの?彼女達ぃ、悪い男に気をつけるんだよぉ」
オッサンこそ気をつけなと、あたしは思った。
「あんたさ~っ」
店の階段をバタバタ下りながら、残り少ない優等生のあたしの血が騒いだ。
「あ~ゆことすんの、止めなよ!」
「平気だよ、後で神様に懺悔して許してもらえば、スッキリするよ」
友達はぶっとい体を揺らして、スキップしながら先へ先へと、商店街を飛んで行った。
あたしは、オッサンが追いかけて来るとマズいから、一緒に逃げた。
あー、もう、こんな友達の紹介する彼氏ってマトモなのか?
マジでジャニ系?
あたしには一抹の不安がよぎるのだった。
途中ですが皆様、
これは私が17歳だった頃を書いているので、皆さんもご一緒にプレイバックしてください。
だいたいこの頃は、いかにヤバい男にはエッチをやらせず、適当に危険を乗り越えて遊び、いい男をgetするかに命を削っていたのです。
これは初めて男子と出会い(女子校育ち)
デートしたアホな女子高生の・・抱腹絶倒の記憶なんであります。
※※※※※
さて、オヤジに伝票を飛ばした罪深き友達と、あたしが辿り着いたのは夜の教会でした。
「舞子ー、ここ入ろうよ」
「教会に?」
「うん、あたしはね、自分が嫌な子だと落ち込んだら、教会を見上げるんだよ。
人間てのは、悪いことをしたら良いこともする、バランスが大事なんだよ」
何訳わからん事言ってるんだ。
カクテルでラリってる酔っぱらいのくせに・・・
あたしは友達に引っ張られて、明かりの灯る教会の中に入った。
そこには、三、四人ぐらいの大人がい居て、にこやかに迎えてくれた。
「相談があるんですー」
友達は深刻な顔。
私もつられて神妙なフリ。
「あたしたち…繊細な年頃なので、今の学校とか大人や社会が信じられないんですぅ~」
えっ?あたしはあんたが信じられないよ。
「だから、どうやって、人を信用して生きていったらいいんですか?」
人を騙すのは、どうみてもあんたですけど・・・
私服だと17歳にして水系の友達。美人じゃないけど、エロさは全開。
こんな胡散臭い奴だと言うのに、教会の人達は、人を見た目では判断しませんよ的な?ひどく真面目で真剣な対応をしてくれた。
「人間は、正しくもあれば、悪に染まる時もある、弱い心の持ち主ですよ。だから神様に祈るのです。貴女方は今日それに気がつき、そして教会のドアを開けたのですね。
なんて素晴らしい!
なんて素敵な出会いを、神様は用意して下さったのでしょう!感謝です』
「お祈りしましょう』
「さあ、ご一緒に」
「貴女方の為にイエスキリスト様にお祈り致します』
教会の人は(オバサンと若い男女とオッサンの組み合わせ)
目を閉じて何か唱え出したので、私と友達もかしこまった。
今日迷える、私達の神の姉妹がなんたらー
いや、あたしこいつと姉妹じゃないし・・・
このか弱き乙女にぃ。
(ぶっといです)
・・・アーメン。
汗が出る…あたしは居心地が悪く、何かがこそばゆい。。
しかし友達は、すごい、今感動しましたーとか、言って目をウルウルさせた。
白々しー。
帰りは皆さん、ゾロゾロ玄関の外まで見送りに来てくれた。
「またいつでもいらっしゃいね。神は貴女方を見ています。守っていらっしゃいます」
見つめるその目が、汚れなき童女。
あー、なんかごめんなさい!
いつまでも手をふる教会の人達。
「ほーらなっ」
友達は叫んだ。
「気分がちょ~リセットするだろ?!心がマジ綺麗になったぜ!!一回はいって見たかったんだよなー!」
詐欺に遭っているみたいなのは気のせい?
どーでもいーけど男子は?
ジャニ系は?
どこで会えるの?
どうせならイケメンと会えるよう神様に頼みたかった。
外は冷たい花冷えの夜。
あたしの世界に暖かな光が射すのはいつだろう・・・
※※※※
「舞子すまねえ、グループ交際になっちまったよ」
「グループ?」
ここは学校の屋上。
三時間目で、すでにランチ気分の友達とその仲間が、散らばって好き勝手に和んでいた。
牛乳の回し飲みする奴等。
えんえんと髪を撫でつける奴。
眉毛の処理。
まるで猿山の集団のようだね。
「あっちが三人なんで、こっちも三人用意してくれってさ」
仕出し屋か?
「それで、テル子と松子が捕まったよ、 ふふ」
テル子と松子!?
あたしは頭がクラクラした。
あの二人、
せめて名前だけでも、何で可愛くないんだ?
かおりちゃんとか、りえちゃんとか。
テル子はオバサン化している、生真面目な風紀委員だし、
松子はバリバリの屈強な陸上女子だよ。
この二人とあたしがくっついたら?一体どーゆー感じのトリオ?
てか友達じゃないし!
「だからさー、お前が一番可愛く見えるようにセッティングしたんだよっ」
「そっそか」
あたしは友達の嬉しそうな顔を見た。
何か嫌な予感が、暗雲のように小さな胸に広がるのだった 。
※※※※※※
予感的中。
約束の茅ヶ崎駅に現れたテル子と松子。
松子はキュロットで、彼女のキャラと合っていたからほっとした。
しかし、大股からのぞく、たくましすぎる褐色の筋肉に、男子がびびりそうだよ。
テル子・・・
あー。
テル子は・・・真っ白なレースの襟の、光沢のある黒のワンピース。
靴下もレース。
まるで冠婚葬祭だ。
ここは茅ヶ崎だぞ。
海で浮く、公園でもアイスクリーム屋さんでも浮く。
それにテル子からはどーしても、PTAのオーラが立ち上っている。
もぉ どうでもええ。
あたしさえ可愛きゃいいのだ!
ヤケになって改札を出た。
どこに居る?ジャニ系?
目の前に…
色黒の男の子が立っていた。
友達が「小池くーん」と呼んだ。
え?こいつ?
ピンクのシャツにネクタイ、
ピカピカしたグリーンのスーツ
これは…
テル子以上の…
メガショックだっ!
何だかタイの人みたい?
それが真っ黒な顔の小池君の印象。
あっ、人のセンスけなしておいて、お前はどうかって?
あたしは計算したよ、
男の子が好きそうな清純で可愛い系。
それでいて、あまり気取っていないように、
上が淡いブルーと白が重なった、長めのカットソーで、胸から裾までギャざーが入ったフリル。
それにジーンズのショーパンをあわせたの。
フリルの下からショーパンがチラチラ見えるって訳だね。
あとはナマ足サンダル。
トップで可愛らしさをアピールして、下半身は風通しを良くしてみた。
こんな細かい事にこだわるなんて、単細胞の男子には理解不能だろうけどさ。
あたしたちは、取りあえず自己紹介した。
「僕、小池 精気って言うんだ」
?…小池…せ・せいき、君?
はっ、せいき?
別なせいきが頭をめぐり、ドン引きした事を忘れない。
「でも鈍いから小池じゃなくて、鈍池、ドンケって呼ばれている」
「ど、鈍池・・・ふーん」
あたしは友達に確かめたくてウズウズした。
精気って何?
あ、駄目だ 妄想が・・・
教えて~っ、
この子の親は、どうして性・・・器って名前を付けたの~っ!
※※※※※※
小池 精気。
と言う名前を聞いて、
私の頭はよけいな不純物であふれた。
そう言えば近所に万子ちゃんと言うオバサンがいた。
廻 宗治君や
地主の運地〇為造さん
でもここまで立派な名前は初めてだ。
「じゃ、後はよろしくな」
友達はあたしをこずくと、テル子と松子を押し付けて消えた。
残り二人の男の子は遅れるらしい。
「き、君達、先に海の方へでも行かない?」
私達は一同うなずいた。
本日デート相手の男子達は、雲海高校の生徒で、あたしの友達とは文化祭で知り合ったらしいのだ。
ただ友達には、彼氏が七人もおるので手一杯。
交際を断ったらしいんだね。
友達の余裕にムカつくあたし。
商店街から砂浜へ出て、ゾロゾロと歩く。
会話が弾まない。
当然だ。
あたしはテル子も松子も、友達ではなかった。テル子も松子なんて、見たことも無いんじゃないかな?
ただ、(男の子とデートしてみない?)の友達の誘いに興味本位で乗ったのだ 。
ドンケ…
いや、小池君は二メートル先を歩いていた。
ちょっと離れすぎだろ~っ?!
かと言って、隣に存在しているのもイヤだし。
「おいお前っ!!」
それは突然だった。
どこから出てきたのか、男の人がこっちへ来る。
あの人が二人目?
すぐに違うと分かった。
フラフラした足取りで、目がヤバい!
男はドンケに何かを言いながら、いきなりドンケの腹を蹴り上げた。
『ぐふっ!』
前屈みに崩れるドンケ。
あたしたち三人は、一瞬固まってしまった。
「女をゾロゾロ引き連れてあるいてんじゃねーよ‼」
完全無欠なヤンキー男は怒鳴った。
こっちは完全無欠にパニックだ。
心臓がビョンビョンしている。
テル子も松子も青ざめた。
人間本当に怖いと声も出ない・・・
しかし、さらなる窮地がやってきた。
大きな岩の陰から、
10人ほどの男達が、バラバラと飛び出して来たのだ。
あたし達は後退りしながら、顔を見合わせた。
ど、どーする?
するとドンケがこっちを向いて大声で叫んだ。
「逃げなっ!!」
続く




