キャラクター解説とあとがき
【中村宗次郎】
本作の主人公です。
細かくは設定していませんが年齢は20代中盤。
大学を出て、不動産関連の仕事をしていました。
社会人2~3年目のときにエルフの国に異世界転移します。
臆病者で、決して他人に本音では喋りません。
作中で彼のセリフが一切ないのと、異常に丁寧に喋っているのはそのためです。
読者にすら本音では語っていません。
なので、彼の本当の喋り方は不明です。
意外とヤンキー口調だったり、ベタベタの関西弁で喋っているのかもしれません。
終盤に一人称が「オレ」から「俺」に変わったところから、少しずつ彼の本音が現れ始めます。
【お姫様】
本作の出落ち偽ヒロイン。
作品説明のあらすじ部分だけ見れば、彼女がヒロインだと万人が勘違いするでしょう。
しかし中村の人生は冒険譚ではありませんので、都合よくお姫様とのラブストーリーは始まりません。
大人ならばなおさらです。
中村の好意には気がついていますが、当然友達としか見ていません。
【テリトラ】
豚人族のインテリエリート高級官僚。
作中の世界観を端的に表すために第一話で登場しています。
つまり、分かりやすい悪人などおらず、種族間のいさかいもない、真面目に努力すれば普通に生活出来る世界です。
もっとも彼は作中の世界で“勝ち組”であることは疑いようがありません。
【ボノボム、バレナ夫妻】
エルフとセットでお馴染みのドワーフです。
前述のオークのテリトラと違い、こちらは典型的な創作物のドワーフです。
樽のような体型、手先が器用、豪快、です。
なので、余分な説明は敢えて入れず、テンプレのドワーフとして描写しています。
【ニレルナ】
耳ブス女子です。
エルフ=美形というのが、ファンタジー小説のお約束です。
しかし、いじめや差別のない社会はありません。
絶対にブス扱いされる女の子はいるはずです。
ちなみに彼女の結婚相手は特に描写はありませんが、俗にいう『ブス専』です。
でも、本人が幸せならば問題ないでしょう。
【ナスティフ】
せっかく異世界なのに魔法要素が一切ないテコ入れのために登場したキャラクターです。
また中村のキャラに厚みを持たせる狙いもあります。
ただし、狙ったほど魔法感は出ませんでした。
作中で出てくる彼の作曲した曲は、まんま『FLY ME TO THE MOON』です。
歌詞は少しだけ変えています。
【ルナラナ】
本作の真ヒロインです。
第一話の冒頭で中村の失恋は決定しています。
そのまま出すと面白くないので、話が進むことに外見や性格が小出しにされています。
種族を小人族にしているのも、創作物では比較的マイナーでイメージしにくいからです。
ただし、髪の色、性格、設定は、創作物のレプラコーンとは一切関係ありません。
終盤までセリフがないのは、中村が彼女の好意を意図的に無視していたからです。
≪あとがき≫
なろうユーザーなら、みんな大好き異世界転移ものです。
もともとは別の作者さんが異世界転移の耳かき小説をやっていたのを見て、面白そうだと思って書いてみました。
前作の『耳かきをする妹の受難』が群像劇だったので、今回は一人称視点の語り手が同じ場所(店内のみ)でひたすら説明し続ける、というスタイルをとっています。
俗にいう『神の視点』である三人称視点ではありませんので、セリフ以外の文章は全て中村のフィルターを通しての説明です。
前作も一人称視点を採用していますが、前作の素直な姉妹と違い中村は嘘つきです。
本当は帰りたくて仕方がないのに自分に言い訳するようにエルフの国のいい点を挙げようとしています。
そんな牧歌的な世界の中の気持ちの悪さが少しでも伝われば良かったかなと思います。
中村は臆病な男なのでラストも煮え切らないものとなっていますが、帰れない彼の人生が少しでもマシになったはずです。
きっとルナラナの尻に敷かれながらエルフの国で力強く生き抜いていくことでしょう。
最後に次回作のために、ブックマーク登録や、ポイント評価で感想を教えていただけると幸いです。
拙作お読みいただきありがとうございました。




