忘年会の帰り
俺は今、いわゆる異世界に居る。
どうしてかって?
会社の忘年会の帰り、先輩達とピンク系のお店に向かってたんだけどね。案内されたお店でいかにも筋骨隆々で強面の兄ちゃんに変な因縁つけられて先輩ともども殴られたのさ。
「てめー、亜理紗ちゃん指名してんじゃねーぞ!俺が指名すっから別の女にしろや!」
「いやいや、こういうのは順番ですからw いい大人なんですから順番くらい守りましょーねw」
先輩は軽くお酒で出来上がってたもんだから、変に気持ち大きくなっちゃって強面の兄ちゃんを軽く挑発してしまっていた。
「せっ、先輩まずいですって...他にもいい娘いますよ。ほらっ、この子なんかJカップですよ。こっちにしましょ?先輩おっきい娘好きじゃないですか?ねっ? 顔も童顔の色白ですよ。俺が狙ってましたけど先輩にお譲りしますよ!」
「うっせー翔太!俺はこの娘がいいんだよ!この、あ・り・さ ちゃんがな!なんてたって顔がマジタイプなんだよなー、めっちゃ楽しみにしてんだよ。わざわざ金払ってんのになんで遠慮しなきゃなんねーんだよ!余計なこと言ってんじゃねーぞ!!!」
「ホウ、えらく強気だな。しょぼいリーマンのくせしやがって。もういい、邪魔だ!」
一瞬だった。
先輩が宙を舞った。それはもう高く舞っていた。
「せ、先輩っ!」
「おい、てめー。このゴミ野郎を連れて店から失せろや!」
「なんだと、ふざけんな!血が出てるじゃねーか、頭から!こんなことしてタダで済むと思うなよ。今から警察呼ぶから.ブッ...」
舞った。それはもう高く舞ってしまった。
しかも着地と同時に固い床に頭から着地してしまった。
俺の頭からも盛大に血が流れていた、薄れゆく意識の中で、強面の兄ちゃんと案内所のおっさんが青い顔をしているのが見えたが、俺は意識を手放したのだった。
「これはやばいですよ。お客さん、この出血の量はかなりまずい。救急車呼びます。あっ警察も!」
「お、おいっ!ま、待て。おれは悪くねー、こいつが俺のいうこと聞かねーから!チッ、クソ!亜理紗のことで血がのぼってたぜ、クソったれ...」
こうしてあっけなく俺の人生は終わった。享年25だった。