7話
「では皆様、馬車へお乗りください」
屋敷の入り口へと集まった俺たちは、6人一組へと分けられた。
ここから城までは、馬車で行くらしい。
入り口の前には、2頭の馬が繋がれた幌馬車が8台、生徒数31人分と魔法師団の人達の分だ。
さらに別に、馬に跨った護衛が8人と、結構な大所帯だ。
この屋敷から城へは直路で行けるとのこと。
屋敷は普段王家が管理しているようで、俺達がこれから通る道はただの近道などではなく、もし何かあった時の緊急時に、城から屋敷への逃げ道として使う為、通常王家以外の人間は通れないらしい。
(普通に凄い道通るんだな、俺達)
ちなみに御堂のあの衝撃の発言は、ギリギリのとこで御堂に追い付き、あれは返事じゃなくなんか勝手に出ただけと言ったが通じず、面倒臭くなって諦め、皆の前では絶っっ対、言わないようにだけ頼んだ。
その際何を勘違いしたのか、「あ、そうだよね、わかったっ……流石に皆の前じゃ、恥ずかしいもんね……へへへ」と赤面しながら言ってきた。最後の方は声が小さくて聞き取れなかったので、聞き返したが、何でもないと濁されたのでそれ以上は追及しなかった。ただ、凄く締まりのない笑顔をしていた。
まあ、女子に自分弱いからって手伝ってもらうとか助けてもらう、みたいな感じは確かに恥ずかしいけどさ〜、1番の問題は高橋なんだよな〜……はぁ。
本当ならクラスのアイドルどころか学年一可愛いと言われている御堂にあんな事言われたら飛び上がるくらい嬉しいことなんだろうけど、やっぱり素直には喜べない、何とも複雑な感じだ。
これも全部あの暴力馬鹿のせいだな。
そしてさらに俺の不幸は続く、どういうことなのか、6人一組、メンバーは俺、久山、小菜、雲之、東条、そして、御堂。
何これ? 新手の嫌がらせ? 俺からしたらこれ軽く暴力なんだけど?
これは別段御堂に誘われたりしたわけじゃない、本当に偶然たまたまだった。
でなったらなったで御堂とはさっきの事もあって若干気まずいし、他の四人とは一度も話したことないし、そして久山何故か俺をジッと見てくるし。
やっぱり俺みたいないなのが一緒だなんて嫌ですよね、本当すいません。
で、1番問題なのが高橋と他3人なわけで、今現在もこっちを睨み付けている。
特に高橋はいつも以上に視線が鋭い気がする。
「はぁ……」
バレないように溜息を漏らし、既に五人が乗っている馬車へ乗り込む。
◇◆◇◆◇
「「「…………」」」
案の定、凄く気まずい。
馬車が動き出して数分経っているが誰も口を開かない。久山と雲之、小菜は外の景色に視線をやり、東条は目を閉じ、両手を膝の上で重ねて、静かに座っている。
やっぱり絵になるなぁ……。
そして御堂は何故かあわあわと視線をあちこちに移し、口が時折パクパクと開いては閉じ、話すタイミングを探していた。
俺は顔を下に下げて、たまに皆の様子を目だけでチラ見して窺っている。
席は、奥から久山、雲之、俺、向かいにまた奥から小菜、御堂、東条の順だ。
端っこで良かった、もし挟まれてたら軽度のパニックを起こしていたかもしれない。
結局、俺含め6人は、一言も話さぬまま城へと到着、馬車を降りた俺はなるべく自然に五人から距離を取り、人の視線が向かないであろう集団の後方へと移った。
その後爺さんを筆頭に、人気の少ない城の裏口から、俺達は本城へと入った。
この国の王様と御対面するそうだ。
もう1話投稿予定です。
お気に入りと評価ありがとうございます。
今回評価が付けれていたので、後書きを書かせてもらいました。
基本前書きと後書きは、無い方が良いと思っている読者様の方が多いかな? と思っているので書いてないです。
投稿する度に増えるお気に入りとPV、ユニーク、とても嬉しいです。
今後もよろしくお願いします。