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魔法使いのお友達  作者: 雨夜 海
34/65

私にできること

更新が滞ってしまい申し訳ありません。

いつも読んでくださる読者様、本当にありがとうございます!

5,6発魔法が飛んでくるのを確認。避けきれるかどうかは分からないけど、とりあえず私は前に出て時間を稼がなくちゃ。


飛んで来た1発目を屈んで避けると、2,3発目は転がっていた兵士の盾を拝借して受け流した。

『ヒヨリ!手を伸ばしてください!!』

咄嗟に手を伸ばすと、冷たいセルの手が私の手をしっかりと掴んだのを感じた。体がふわりと浮かび上がって、突っ込んで来た魔法は私の下を通過した。

「ありがと!」

返事もそこそこにセルの手を離すと、真上からフィーに一発叩き込む。当たらない。何か、見えない壁みたいなものがある。手を影で鋭く覆ってからまたフィーに向かって何発か叩き込んだ。結局そのどれもは当たらないけれど、それは別にいいのだ。


所詮、私は時間稼ぎなのだから。


「ヒヨリ!もういいぞ!」

了解です。と心の中だけで呟いてその場でくるりと回る。ドレスの下で私の影が波打った。フィーが反応するよりもずっと早く影の中に飛び込むと、熱が頭上を通過するのを感じた。オズワルドさんの詠唱するための時間を稼ぐのが私の役目だったけれど、上手くいったようだ。

そろり、とオズワルドさんの影から顔を出した。上手くいったと思ったのに、オズワルドさんは苦々しい顔をしてる。炎の魔法を飛ばしたようで、床が真っ黒に焦げ付いていた。

失敗してしまったんだろうか?


「あいつ。どこにあんな防御魔法隠し持ってたんだか」

「ほんと、あれ固すぎて一発入れる度に手がしびれそうになるんですけど」

防御に守られて、フィーには傷一つ付いてない。私達の火力が足りないのか。それとも私達に本気でフィーを傷つける勇気なんてないのか。


私はきっと、8割型後者だけど。

全然、力が出せない。というか出せるわけない。目の前に最強の魔法使いであるトキが居て、そんな彼に私の攻撃なんてものが通じるわけないって頭では分かっていても。きっと私はトキに全力で攻撃する事はできない。

きっと、それと同じ事。そういう事なんだ。


「・・・どうしたら、いいのかな」

私の力を、今引っ張りだせばフィーを正気に戻せる?正気に戻すにはどれほどの力が必要なの?そしてあの防御がなくなった時、攻撃がフィーに当たらないなんて確証はあるの?

もしかしたら、フィーに致命傷を与えてしまって、正気に戻す以前に・・・・殺してしまうかもしれない、なんて。

そんな嫌な予感が頭を掠めて、少しだけ顔をしかめた。頭の中がごちゃごちゃして、シャンデリアの光にめまいがした。


もしもこの戦いが長引けば、フィーの魔力はなくなって捕まえることはできるかもしれない。でも、その時フィーを捕まえるのは私達だとは限られない。兵士達が乗り込んでくるかもしれない。そうすればフィーは処刑されてしまう。死んでしまう。

ずっと会えなくなるなんて、死んでしまうなんて嫌だ。助けたいから私は今ここに居る。


だったら殺す気で攻撃しなければ、彼を助けることなど不可能だ。

「”仕方ない”か・・・・・」

確かトキが嫌いだった。自分に力がないからとか、世界はそんなものだからとか、そう言って諦めるのが嫌いな人だった。私がフィーを殺す気で攻撃できないのは、元の世界ではあまり人の命を奪う場面に遭遇しないからで。要は私には慣れてないことで、それはトキの嫌いな”仕方ない”ことなのかもしれない。


本当に?


違う。自分の問いにはっきりと私は答えた。本当は、分かっている。

私は臆病で、自分の手を汚したくないだけなんだ。フィーじゃなくても、誰かの血で自分の手を汚したくなくて、覚悟が決めれないからだ。誰かを殺してしまえば、きっと人として大事な何かを失ってしまう気がする。それが怖くて、私は1人踏み出せないでいる。

「そんなの、駄目だよね」

もう一度右手を強く振れば、さらに影で作った即席の剣が尖る。魔力も限られてて、相手には触れられなくて。そんなセルが頑張ってるのに、私が頑張らなくてどうするの?もうここは元の世界じゃない。あの優しくて平和な国じゃない。


「”仕方ない”って諦めてフィーを助けられないよりは、自分の手を汚す方がましね」


そう自分に言い聞かせてから、勢い良く地面を蹴る。突っ走るなと叫ぶオズワルドさんの声が聞こえる。

砂埃の中から飛び出るようにしてフィーの死角に回ると、真上から手を振り下ろす。

止まる事なく次の攻撃を仕掛けては砂埃の中へと姿を消す。

一瞬影の中に身を沈めると、手近な影を選んで飛び出る。

そこはフィーの背後に位置する影で、すぐに剣を尖らせてフィーに振り下ろした。


それでも、割り切れなくて。

「なんでっ!」

きぃぃん、と嫌な音が響く。フィーの防御魔法と私の剣が互いに拒絶してるみたいに、悲しんでるみたいに泣き叫ぶ。

「なんで、!こんなになっちゃうの!?」

フィーが何かに引っ張られそうになっているのは、一緒に踊る前から気がついてた。もう少しでもいいから、耐えて欲しかった。自分の無力さが悔しかった。力を得てもどうにもならないことがあるなんて、そんなの知らなかった。


ねぇトキ。力があるからこそ、こんなにも悔しくなるんだね。苦しいんだね。私、知らなかったよ。


それでもね、

「負けるなフィー!帰って来い!」

防御魔法の中で、フィーが呆然と私を見つめる。突き立てた剣が少しだけ防御魔法に突き刺さった。

「まだやりたいこといっぱいあるのに!こんな所で居なくなるなんて許さないから!正気に戻ってよ!!」

フィーがかたり、と首を傾げると人差し指をまっすぐ私に向ける。

直後、急に現れた鎌鼬に背中から襲われた。

「っっ!」

集中力が途切れて、剣が影に戻って布散した。それでも立ったまま、力任せに防御魔法を殴りつけた。

「フィー、っ戻って来て、・・・・!」

少しだけ、手を強く握りしめた。フィー、ごめんね。後で何でもして謝るから。許して。


覚悟を決めろ。


その一瞬の後、風でふわりと持ち上がったドレスのスカートを勢い良く殴りつける。ドレスから影が溢れるように零れ落ちた。それはみるみるフィーの防御魔法ごと覆うと、すっかり丸い球体になってしまった。真っ黒なそれを前にして、少しだけ息を吐く。落ち着いて。


少しだけ軽く上げた手を、力なく振り下ろす。

手が、尋常じゃないくらい震えていた。


私の手が落ちた瞬間、フィーの入った影に何本もの影の剣が突き刺さる。確かな手応えが私にはあった。

「・・・・ごめん」

フィーと戦ってるうちに気づいた。フィーの防御魔法があそこまで固い理由。フィーの周りをふわふわと舞っている礫達を見ていて気づいた。きっとあれが魔力と言われるものなのかもしれない、と。でもフィーのそれは防御魔法の上でせわしなく動き回っていた。

まるで、防御を強くする場所を指定しているみたいに。だからフィーの視界を覆ってから、全方向から剣を突き刺した。

見えなかったら反応できないはずだし、私が全力で刺した全ての剣をフィーが防げるわけないって分かってたから。


「ヒヨリ、大丈夫か・・・?」

「おず、わるどさん」

『ヒヨリ、あの影を解いて頂いてもいいですか?』

強ばった私の前に2人が駆けつけてくれた。セルが優しく私の手を握って諭すように語りかけた。無言で頷くと少しだけ手を振って影達に命令する。



しゅるりと解けた影の中に血溜まりができていて、そこにフィーが倒れていた。

「ふぃー、っ」

『大丈夫ですわ』

セルが頷いて私の手を握りしめたままフィーに歩み寄る。ふらふらとした足取りでセルに引かれるままフィーに近づくと、そのすぐ傍まで行って座り込んだ。


「・・・・・フィー?」

触れた手は、暖かかった。

「・・・・・・・ヒヨリか?俺は、一体」

その口調はセルの記憶で見た懐かしい少年のもの。フィーの本当の言葉。咄嗟にセルを見上げれば、彼女は幸せそうに笑っていた。私はそれを見て笑みを返すとフィーの横をセルに譲って立ち上がった。

金色の礫達を動かして、セルに僅かに振りかける。

「オズワルドさん」

あなたは傍に行くべき人だ。そっと背中を押せば、少しだけ複雑な顔をしたオズワルドさんが崩れ落ちるようにフィーの傍にしゃがみこんだ。


「おず、わるど・・?と、・・・・・・・セル、!?」

顔を驚愕に染めたフィーを見て、自分の姿が見えることに気づいたセルが私を見て笑みを零した。霊送りの時に使った魔法。少しの間だけ姿を普通の人にも見せて上げられる。


『フィー、貴方にはいっぱい謝らなくちゃいけなかったの。許してくれないかもしれないし、もう遅いかもしれないけれど貴方は真実を知るべきだと思ったから』

「一体何の話をしてるんだ?てか、何でセルがここに居るんだ?」

痛む体を無理矢理動かしてセルに触れようとするフィーに、セルは優しく笑いかけた後その頭に手を翳した。


『思い出した後、選んでほしいの。ここに残るのか、外に逃げるのか』


それが、私達が考えた最善の選択。

セルの掌が優しく光って、フィーが一瞬固まった。その頭の中にはきっと、あの悲しい出来事が流れているんだろう。セルの掌の光が収まって来た頃、フィーが静かに涙を零した。ぼろぼろ、と止めなく溢れてくるそれをフィーは拭おうともしない。


「・・・・・そう、だ・・・俺が、殺した」

その顔は、絶望に満ちていた。まるでこの世の終わりが来たようなその顔に、セルが少しだけ表情を陰らせた。

「助けられるなんて、勝手に驕って・・・、セルを・・・殺した」

セルに手を伸ばしかけていたフィーの腕が力なく地面に落ちる。違う。



「違うだろ」

すぐに私が思っていた言葉を引き継ぐように、オズワルドさんの言葉が響いた。

「守ろうとしたんだろ。生かしてくれようとしたんだろ・・・・全部、知ってる」

「おず、わるど」

力なく呼ばれた名前にオズワルドさんは頷くと、どこからか取り出したハンカチでフィーの顔を容赦なくごしごしと拭った。けれども、やんわりとその掌は光っていて治癒術を掛けていることは一目瞭然だった。

『オズ兄様、フィーが痛がってますわ』

「駄目だ。大事に大事にしてた妹に手を出されたんだ。これぐらいやらないと気がすまない」


3人よりも一歩引いたところでそれを見ながら思った。私はちゃんと、正解を選べたのかな。フィーの記憶を戻した事も、殺す気で攻撃した事も。手の震えは少しだけ弱くなっていた。


でも、ちょっと寂しい。


私はあの3人の中には入れない。私は、あそこには混じれない。そんな絆みたいなものが彼らにはある。他所から来た私の入り込む隙なんてないのだ。

少し。ほんの少し寂しいなぁ。それに疲れてしまったからだろうか、どうも涙腺が緩くなってしまいそうで3人から静かに離れた。私は居なくてもきっと大丈夫だから。


ふらり、と背を向けた私にオズワルドさんの声が聞こえる。

「フィン、決めろ。このままここに残れば処刑されてしまうかもしれない。だから、俺達としては外に逃げてほしいんだが・・・・・お前はどうしたい?」

「・・・・・俺は、」

ここに残る事でフィーに何のメリットがあるのか。そもそも選択肢なんてあるようで答えは決まっている。勝手にそう予測していた私は、フィーの言葉に耳をすませた。


『フィーっ!』

けれども聞こえて来たのはフィーの声なんかじゃなくて、悲痛に満ちたセルの悲鳴。どうしたの、と振り返らせた体を固まらせる。

「っ、」

声が、出なかった。


ふらり、とその場に崩れ落ちるように膝をついた。セルの叫び声が尚も続いていた。そんな私の腕を、誰かが掴む。

「大丈夫ですか!?助けに参りました!ご安心ください!さぁ、こちらへ避難を!」

鎧を来た騎士達がぞろぞろと入って来て、私の周りを囲みはじめた。聖女様のご友人が見つかった、と報告する声が耳に届いた。


でも、それに大して意識を向けられないくらい、今の私は動揺していた。騎士達に囲まれて見えなくなったけれど、確かに私は見たんだ。


「フィンっ!!」

フィーの胸に深々と突き刺さった弓矢を。じわり、と服に血が滲んでて、確かそこは心臓の真上だったはずで。フィーは刺さったそれをゆっくりとした動作で見つめた後、糸の切れた人形みたいに。そう。さっきまでしゃべってたのが嘘みたいに。ぱたり、とその場に倒れて動かなくなった。

オズワルドさんが何度も何度も名前を呼んで、フィーに治癒魔法を掛けようとするのを他の騎士達が戸惑ったように止める。こいつは逆賊だからと、すぐに離れなければ危ないと。

私の腕を掴んだ騎士もなんだか同じようなことを言っていた。頭の中では理解できているのに、体が動かなくて。ただ、一つはっきりと分かる事といえば。


私はまた、助けられなかったということだろうか。


「離して!!」

騎士の腕を振り払おうと暴れる。誰か早く治癒魔法をかけて。

「離してったら!」

フィーの胸からどくどくと溢れているその血を、誰か早く止めて。じゃないと、死んじゃう。せっかく助かったと思ったのに、フィーが私達の傍からまた居なくなっちゃう。


『・・・なん、で・・?』

セルがその顔を歪めて、小さく肩を震わせていた。離してよ。早くあの子の傍に行かなきゃ。じゃなきゃ、今すぐにでも消えてしまいそうで。騎士達の手を払いのけるようにして必死に暴れた。


「やだ、嫌だっ!触らないで!!」

最初に腕を掴んだ騎士の手を、無理矢理引きはがした。私の周りを囲んでいた騎士達を強く睨みつけた。

「し、しかしっ早く離れねば危険です!」

御託を並べ始めた騎士に怒りが湧いた。影が感情に呼応してゆらゆらと揺れ始める。私は早くフィーのところへ行きたいのに。そう思って足を踏み出した時。


世界が、歪んだ。


ぐらり、と傾いた視界。咄嗟に体を支えられて、目眩を起こしたんだと悟った。貧血とかもなったことない健康体だったのに。何でいきなり。と、視線を彷徨わせた時だった。


「・・・・、しろ」

白。いや、銀色。視界に割り込んで来た、私の髪色じゃない、けれどもこれは私の前髪。髪の毛が変色した。いや、これはエリオスが言っていたやつだ。

「・・・力、使いすぎた、から・・・?」

エリオスの力を使いすぎた反動で髪の毛に現れるムーンストーンの色。見たのは契約の時以来だったけど、こんなにも早く見る事になるなんて。

でも髪の色が変わっているのはほんの一部で、騎士達も気づいていないようだった。それよりは本気で私の体調を気にしてくれているらしく、私を背負おうとする人まで現れ始めた。

「だ、大丈夫です・・・それよりも、彼を・・・フィーを」

セルがフィーの傍でうずくまってた。早く、行かなきゃ。オズワルドさんがぶち切れて何かの魔法をぶっ放した。止めなきゃ。力の入らない腕で騎士達を押しのけようとすれば、声が聞こえた。


「何をやっている貴様ら!!」


戻ってくるなんて、思わなかった。

「お、王子!ご無事だったんで「何をやっているのだと聞いている!」

怒気を含んだアシルさんの声が耳に届いたけど、体が重くて思うように動かない。アシルさんが、どこに居るのかも分からない。


段々と近くなる声に騎士達がビシっと敬礼をとる気配がした。それくらいにアシルさんの声は迫力があって、怒ってるんだなって分かる声だった。

けれども、騎士に支えられてやっと立っていた私の足は、騎士が敬礼して手を離したことによっていとも簡単に崩れ落ちる。フィーの傍へ行くチャンスなのに。


顔面打ち付けるかも。と思ったその時。体が、支えられた。騎士達の冷たい鎧じゃなくて、暖かい腕だった。


「ヒヨリ!」

ちゃんと戻るって、言ったじゃないですか。迎えに来てしまうなんて、我慢のない人だ。そう思って笑みを零せば、アシルさんがほっとしたように息をついた。

「・・・アシル、さん・・・フィーのとこに連れてってください。助けなきゃ」

「そんな体で何を言ってるんだ。第一治癒術なんて使えないだろう?」

確かに私はこれ以上かげの力を使ってしまえば、エリオスの力が露見する可能性が高いし、治癒術の使い方も分からない。でも、オズワルドさんはさっきまで大規模魔法を使ってたから、あの状態のフィーを回復させられる程の治癒術を使えるとは思えない。


「大丈夫です、・・・私、とっておきが。あるんです」

力が入らなくてふらふらとする私に、アシルさんがため息をついたのが分かった。

「無理をするな。エルラードは急所を打たれたんだ・・・・きっと、ヒヨリが俺なんかが今さらどうしようと、何も」

悲しげに言葉を切ったアシルさんに疑問に思う。

「・・・・アシルさんは、フィーのことを殺そうとしないんですか・・・・?」

「とりあえず今はヒヨリのあの時の言葉を信じることにした。それに、エルラードとはこれでも長い仲だ。死んでほしくないに決まっている」

私を支えるアシルさんの手が、震えている気がした。それは怒りなのか、失うかもしれないことに対する悲しみなのか。


「だいじょーぶ、です」

へらっと笑って見せればやっぱりアシルさんにはあきれた顔をされた。アシルさんに言ってセルの傍まで連れて行ってもらう。



「セル」

『っ、ひ、ヒヨリっ・・フィーが、フィーがっ』

名前を呼べば、酷く狼狽したセルが顔をあげた。ただでさえ青白いその肌はさらに血色が悪くて、不安げにフィーへと伸ばす手は尋常じゃないくらいに震えていた。来るの、遅くなってごめん。


「だいじょーぶ」

ぺちん、と弱い音をたててセルの頬を押さえた。

「私、頑張るから」

私に出来る事はエリオスの力を振り翳すことだけじゃない。

フィーの傍に座り込むと、騎士から借りた短剣を握りしめて周囲からアシルさん達が離れたのを確認した。


「ヒヨリ・・・?」

不安げなセルの手をぎゅ、と一度だけ握りしめて笑いかけた。

もう、私はこの少女を泣かせたくないんだ。



「私にだって、魔力はある」



それを教えてくれたのはトキで、この世界でそれを指摘したのはフィーだったっけ。

懐かしいなぁ、と目を細めながら勢いよく。

短剣を、振りかざして。



自分のお腹に突き立てた。




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