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最終話 三つの幸せ

最終回です。低速更新ながら、読んでいただいた方がいらっしゃれば、とてもうれしいです。

「……あの龍にでたらめに攻撃しても無駄に終わる。やはり一撃で蹴りをつけないとやられる。先程までは一人だったから上手くいかなかったが……。二人なら上手くいくだろう」



「どんな作戦だ?」



互いに、まさかコンビを組むはめになるとは思いもしなかったような二人だ。


お互いに敵として戦いあった二人だからこそ、互いにできることが何かを理解している。



「…よし。貴様のやれることは、私をも越える魔力波の攻撃なら。やることはただ一つ。あいつの気を引け」



「気を引く……?」



「そうだ。お前の方に敵意を抱かせたところで虚を突く。少しズルい攻撃ではあるが、これが一番効く作戦だろう」



「…つまり、囮ってことか」



「囮が弱かったら、囮にならんだろ。強いからこそ、囮になるんだ。期待してるぞ」



私は空中に飛ぶ。


虚を突く瞬間を探る必要性があったからだ。



「虚を突くとなると……柔らかい部分だよな」



となると、残された部分は、目か口しか残らない。


そこに攻撃するだけで、やつを倒すことなどできるものなのか……。



「……魔法を使えばいけるか?」



魔法と剣の混合技。


これであれば、ぶちのめすことも可能なのではないか。


しかし、剣と魔法を合わせた技って……。


いろんなことが頭によぎる。


だが、最善の方法が思い付かない……。


私は焦っていた。


恐らく次が最後の攻撃となるだろう。


自我を失っているとはいえ、虚を二度も突けるほど、やつも弱くはないはずだ―――――











「……囮……か」



将軍になって月日は長い。


元々得意だった、魔法に剣さえも学んだ私は、国の兵士の中でもっとも強くなった。


そんななか、多少奢りがあったのか、勇者にはあと一歩のところで負けた。


魔爆を起こすほどの戦いの末に負けたのだ。


俺はそのとき、勇者と戦ったことにいつの間にか誇りすらあることに気づいた。


一人の剣士として、魔爆すらをも招く戦いができたことに対する誇りだとおもう。


そんななか、また勇者と合間見えた。


しかし今度は、同じ敵を持っての戦いだ。


相手は巨大なドラゴン。


自分の役目は囮だ。


囮と言われ、喜ぶ人間などいない。


攻撃して、やられる、もしくはとどめなどさせないとわかったうえで使うのが囮であるはずだ。


しかし、勇者は言った。


「強いからこその、囮だ」と。


期待されている。


強さを認められている。


俺が認めたライバルに。


不思議と、囮をすることへの嫌悪は消えていた。


役割を全うする。


それが、黒龍を倒す力となる。



「いっくぞぉぉぉぉぉ!!!!!」



身体に残る、ありったけの魔力を解き放つ。


翳した両手が吹き飛びそうになるくらいの濃縮された魔力が飛び出た。


恐らく、人類の中でも三本の指に入るはず。



「グルァァァァァァァァァ!!!」



黒龍に命中すると、その鋭い眼光がこちらに向かう。


やつのお眼鏡にかなうレベルの攻撃だったらしい。



「あとはまかせたぞっ!勇者ぁ!!!」



「……あぁ!!!」











黒龍は完全に標的を将軍に定めた。


まっすぐに、将軍へ襲いかかる攻撃。


私は、剣に力を込める。


あとは全て、私に託されたのだ。



何ができる?私に?


やつに正確にとどめをさせるか?


やつを確実に倒せるのか?


私の攻撃に、そこまでの力があるのか?


魔王の魂ですら、不安を覚える。


一対一でジリ貧だっただろう。


私一人の力が、本当に黒龍と拮抗しているのかも怪しい。


だが……。


将軍は私に、役割を託してくれたのだ。


一国の将軍、使う側の立場にあったとしても、使われる立場に置かれるのは、対王のときくらいだろう。


そんなやつが、私に力を貸してくれているのだ。


囮として。


最強、最高の囮として。



「……私がこんなところで、悩んでなんかいられないよな!!」



剣をぎゅっと握りしめる。


この黄金に輝く、かつての勇者が使った剣を、私は強く握りしめる。


たぶん、魔王以外の強敵と戦った勇者はそういないだろう。



「……いくぞっ!!」



ありったけの力を、全て剣先に集中させる。


そして。



「目だっっっ!!!」



黒龍の左目に、それを突きつけた―――――











「ギャアァァァァァァ!!!!!」



「今だ!ムーンライトドラグーン!!!」



「ギャィアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」



黒龍の断末魔がボルケイロに響き渡った――――――――――






















やがて、レオードン王国はボルケイロ帝国の侵略に破れ、再びリーユ帝国が復活した。


私たちは将軍に力を認められ、旧レオードン領の統治を任されてしまった。


当然ながら、私はこれを断った。


それは当然のことだった。


私は、私は……。ルイとリムおじさんと、三人で幸せに暮らすことが目的だったのだから――――――――――




















「〇〇ちゃん。私のこと、誰かわかる?」



「……おばさん?」



「……そうね。あなたのお母さんの姉よ。……突然で悪いんだけど……あなたに大切な話をしなければならないの」



「……?」



「あなたのお母さんたちは、みんな……亡くなったわ。あなたを一人残してね。辛いでしょうけど、あなたは生きるの。家族のぶんまでね」



「みんなの……ぶん?」



「そう。だから、私たちの家族として、みんなのぶんまで、生きよう?」



「……あなたの、家族として?」



記憶がよみがえる。


そうだ、私はあの日から、おばさんの家族になったのだ。






私には、どうやら家族が三つあるらしい。


どれも幸せな一日を過ごせたのか、どうなのかわからない。


別れがあって、出会いがあって、今がある。


私は今異世界にいるけど、みんなのことは、今はしっかり覚えている。


私はみんなの分も、「幸せに生きる」。


今日も明日も、永遠に――――――――――


現世でのフラグを回収しきれたかな?と思います。

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