第五十七話 ボルケイロ再び
「ココ……。あとは俺に任せろ」
女王に向かっていったのは、まさかのルイだった。
ルイの目は本気だった。
ここはルイに任せればいいか。
「ふふ。残念でしたね。私にだって、味方はいますのよ?」
そこに現れたのは、いつぞやに戦った天魔法を使う人、雷魔法を使う人。
その他諸々、女王の配下っぽい人たちが現れた。
「…………ルイ。私の味方全員仲間として使ってくれ」
「魔王様がそういうなら。他の四天王の人たちも呼びますね!」
四天王、大剣使いと、大魔法使い、そして使い魔の三人が味方についた。
これだけいれば、十分な戦闘力になるだろう。
「……じゃあ、私は黒龍を追う。頑張って」
私は空を飛び、かつて通った場所を急ぐ。
黒龍の魔力が強く感じられるようになり始める。
ボルケイロ帝国に着くのもすぐだ。
彼らも戦いをしているのだろうか。
「グルグギャアアアアアアアアアアア!!!」
ボルケイロの都市を激しく壊していく。
「……黒龍……。静まれぇっ!!!」
黒龍を静めるための、第二ラウンドが始まろうとしていた―――――
「なんだ!?あいつはっ」
突如、ボルケイロの都市に現れた謎の黒い鱗に包まれた竜。
理知的な竜とはほど遠い、血走った目で炎を撒き散らし、辺りにある建造物を破壊していく。
「魔法師団!攻撃開始!」
ボルケイロ軍の将軍の指示で、魔法の軍勢が攻撃を開始していく。
強力な魔法といえる部類のそれだったが、今の黒龍にとってそのような攻撃は蚊に噛まれた程度でしかなかった。
逆に反撃をくらい、魔法師団は半壊する。
「……ぐっ!遠距離攻撃用の砲弾でいくぞっ!放てぇっ!!」
ドォォォオオオン!!
という激しい爆音と共に、大きな鉄の塊が飛び出す。
しかし、黒龍の圧倒的な火力を前にして、それはすぐにただの鉄屑と化した。
「魔力波!!!」
いつぞや、勇者との戦いで使った技を向けてみるものの、
「ギュルルルルアアアアアアア!!!!!」
「一切効いてないようだな……」
体の大きさもさることながら、全身に魔力体制があるのだろう。
ただ事ではないこの龍の姿に、ボルケイロ兵はなすすべもない状況だった。
「市民をさっさと避難させろ!!」
「さらに大砲を放て!!」
など、さまざまな攻撃をしていくものの、ボルケイロが壊滅するのも時間の問題になりつつあった。
「くそっ。誰だっ。こんなことをしやがった野郎は!」
将軍として、あまりにも無力な叫びだったが、どうしようもない状況が続いていたのだ。
幸い、兵士に攻撃の手がいかず、ただただ町が破壊されているだけだったのがよかったのだ。
これで兵を失うようなことでもあれば、ボルケイロ最大の危機だ。
「こうなれば仕方ない。この都は切り捨て。今すぐに退却の準備だ!」
「それはやめたほうがいい」
その声は突然現れた。
しかし、将軍には聞き覚えのある声だった。
「ゆ、勇者…!?」
そう、かつて暗殺を目論んで見事に返り討ちを食らった勇者が目の前にいる。
それも、そのときよりもはるかにパワーアップした様子で。
「この黒龍をこの場に呼び寄せたのはレオードン王国の女王だ。下手すれば、体制を立て直せるまえに兵を送り込んでくるかもしれない。今ここで黒龍を討つしか道はない」
「………女王か。やつならやりかねないな。だが、だとしても、この戦力差では……」
「お前は私と戦った経緯のある男だ。お前なら使える。それ以外の者は避難させておけ。今からここは、人間対竜の戦闘場になる」
「さて、ルイ。あなたには死んでもらうと大変困るのですが、どうしても戦う、と?」
「あなたがやっていることは、あまりにも非常識、かつ、許されるべきことじゃない」
「………そうですか。ですが、私を殺すということは、それ以上に許されるべきことではないということをわかっておいでですか?」
王を殺す―――国家犯罪の最たるものに決まっている。
国を転覆させるものは、国としてはことごとく排除したいものに決まっているのだ。
その第一目標は、ルイにあてられる。
「………知ってる。だが……、俺はお前を許せないっ!」
剣を持ち、ルイは斬りかかっていった。
次回、将軍と手を組みます。




