第五十一話 黒龍vs魔王〈2〉
ネットにつながらないというアクシデントが一時期ありまして…。大変遅くなりました。
「ふっ!!」
魔王が魔法で攻撃する。
黒い塊が辺り一面に飛び出し、黒龍に襲いかかる。
ココのときは小さな玉のようなものを投げつけただけだったが、今回は本気というわけか……。
『〈………くくっ、闇魔法なら、確かに儂にはどうすることもできぬ……、と思ったか!?〉』
「!?」
黒龍の口に魔力が高まる。
魔王と同格のそれは、力になっている。
しかもその魔法は……
「天魔法!!?」
『〈現代のものなら、使うものはおらんだろうが、あいにく儂は、魔族も人間もいない時代から生きておる。天魔法など造作もないことよ〉』
欠陥魔法として、人間、魔族の魔法文明として消えた、天魔法。
理由は簡単。
力の制御、膨大な魔力。
人間の並みの力では、到底できない。
レオードン王国が一度蘇らせたそれとは違い、これは、現役時代からのもの……。
『〈天魔法には、上位も最上位も関係ない。強ければ効く。そんな魔法だ。くたばれっ!魔王!!〉』
「…………!!」
黒龍の天魔法が、一筋の光エネルギーとなって襲いかかる。
魔王はぎりぎりで避けると、ルイに小さく言葉を発する。
「……ルイ。お前を連れてきた理由、わかっているだろうな……?」
「……………あぁ」
ココも驚いていた、どうして俺がここにいるのか。
ココの前で魔王は、「人質」として呼んだと答えていた。
しかし……。
「…………俺とお前で、黒龍を倒そうって計画を立てた。だから俺はここにいるんだ。ココは、異世界人だ。お前を倒すために、どこかの世界から無理に連れてこられたんだ……。だから、あいつにこれ以上……、迷惑をかけたくないっ!」
これが、俺の本心だった……。
ココは、この世界に来て、記憶も吹き飛んでいた。
異世界に飛ばされ、これまでの常識が全く通用しない場所に連れて来られたのだ。
迷惑以外のなにものでもない。
俺でも怒る。
不安になる。
だが、ココは、それでもこの世界で、魔王と倒そうと決意していた。
魔王を倒して、三人で幸せに暮らす……。
彼女の夢らしい。
だが……。
俺はそれに協力できそうにはない。
魔王と、手を組んだのだ……。
魔王が戦うのは、世界最大の悪。
かつて、魔族に封印され、力を失いながらも、ずっと泉の奥深くに、竜の長として、そして、魔界の象徴として君臨する、「黒龍」だった。
「……人間の手を借りるなど、本来魔王がすべきことではないっ。しかし、余の力だけではどうにもならんのだ」
魔王城に無理矢理ワープさせられ、魔王に会ったときに言われた言葉だ。
魔王は俺が、先代勇者の息子であることを知っているはずだ。
だからそれについても聞いたのだ。
なぜ、俺なのだ、と。
魔王は答えた。
「………勇者の血筋だからこそ、お前に力を借りたいのだ。勇者にある血筋、それが、我が魔族とも深い関わりを持つのだから!」
強く押しきられてしまった。
勇者の血筋が、魔族と深い関わりを持つということの意味は、魔王は教えてくれなかった。
黒龍と戦っている後に、自然とわかると言われたのだ。
「なら、光魔法だ。ルイよ。鍵は貴様の光魔法と、余の闇魔法にある」
魔法に鍵があるのか?
意味がわからない。
『〈次はさっきのようにはいかぬっ!くたばり損ないめ!!儂に歯向かったこと、地獄で後悔せよっ!!〉』
黒龍の口ががばりと開く。
すると、そこに天魔法が収縮しているのがわかった。
『〈儂の力を使えば、山は一瞬で平地になり、湖は一瞬で干上がる!そんな儂の力、受け止められるかな!!?〉』
「ぐぐっ!」
俺は光魔法を手に込め、魔王の闇魔法と混合していく。
「合わされっ!!気魔法!!!」
「気魔法!?」
古代の魔法のひとつで、あまりに欠陥魔法だったために滅んだとされる魔法だ。
「光と闇が合わされば、矛盾が起こり、エネルギーの膨張が起こる。それが気魔法!!気魔法も属性は関係ない!強ければ、より巨大な力となる」
『〈ぐ、ぐ……〉』
気魔法と天魔法が互いにぶつかり合い、押し合いを始める。
巨大なパワーのぶつかり合いは、衝撃を生み出す。
「……ぐっ」
三人とも、棒立ちするほど巨大なエネルギーに膨らみ、爆発を起こす。
ドゴォォォォオオオオオッ!!!!!
エネルギー対決で勝利したのは、天魔法だった。
魔王と俺はあっけなく空中に飛ばされた。
『〈隙だらけだ〉』
「……なっ!!?」
黒龍は、魔王に詰め寄ると……。
『〈くたばれ……〉』
グギャアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!
引きちぎったのだ。
魔王は肉塊へと変わり、地面に落ちていった。
『〈次は貴様だな、人間〉』
「…………っっ!?」
俺の死期を感じた。




