第五十話 黒龍vs魔王
短いです。
「…………っっ」
俺は、ココが魔王に手も足も出ないのを、黙って見ていた……。
魔王に止めてもらおうと願おうともしたが、どうしようもないことは理解していた。
ココには悪いが、魔王にやられてもらおう。
殺しはしないと約束させた。
もし殺したら、今度は俺が代わりに倒すと言ってしまった。
まぁ、倒せるかどうかはわからないが……。
「……悪いが、この闇空間でしばらく眠っていてくれ」
ココは、眠っていた。
黒く禍々しい布のようなものが全身に纏わりついていて、眠りについていた。
そして、隣にいた、ユニコーンも同じように眠らせていた。
なんとこれは魔王にしか解けない、封印の魔法らしい。
「どうだ?これなら文句あるまい?」
「あぁ。まぁこれなら……」
「悪いな、ルイよ。本当はもっと遊んでいたかったからな。少し遊びが過ぎてしまった。
さて、黒龍。次はお前と話をしなければならない」
魔王は、ココを背もたれになりそうな岩に座らせるように置くと、次は黒龍を見た……。
『〈どういう意味だ?儂に何か話があると言っていたが……〉』
黒龍は動じずに魔王と言葉を交わす。
しかし、魔王はじりじりと追い詰めるように言葉を繋いだ。
「先程も言ったな。お前の体から出ている、人間の魔力はいったいなんだと。その出所を教えろ。お前もあの少女のようになりたくなければな!」
『〈儂が脅しに屈するとでも?第一、一度見た技ならば儂には通用はせぬっ!〉』
「なら、もっとキツい方法で締め上げてもいいんだぞ?さっさと答えろっ!!」
魔王がイラつくように強く言い放つ。
現に魔王は苛々してきているのだろう……。
『〈余が何か隠し事をしている、そう言いたいのだな?〉』
「あぁ」
『〈………隠しても無駄なようだな。まぁいい。今さら知ったところでどうすることもできまい……。
お前が危惧していることは恐らく、儂の魔力が増えていくことで、自分を越える存在にならないか、それを心配しているのだろう?……………正解だ。儂は、貴様を越えようとしている。いや、越えた。儂は貴様を越えたのだ。人間の魔力によってなぁ!!〉」
「人間の魔力?いったいどうやって…?」
『〈……仕方がない、貴様らには教えてやろう。
儂は人間と契約を結んだのだ!この世の魔族、人間、さまざまな生き物を狩り尽くすために!〉』
黒龍はそういって笑う。
まさか人間の魔力なんて、そんなものを吸収できるのか。
「……人間の魔力を吸収するなんて、生け贄としての儀式でしかできないはずだ……。やはり、お前、レオードン王国と手を組んでいるのか?」
『〈……正解だ。レオードン王国とやらの女王がな。手を組めと言ってきた。儂も堕ちたものよ!人間などの手を借りなくてはならなくなるとはな!しかし、悪くはない。この世界の生き物を滅ぼすのならな!〉』
黒龍の言葉に、魔王が強く反応を示した。
「………なら、貴様を殺さなくてはならなくなるが、別にいいのか?」
『〈さっきも言ったろう。魔族も人間も、全て滅ぼす!魔王だって勇者だって、儂の敵であることに違いない!かかってこい、魔王!貴様の最期は勇者ではなく、儂によって迎えるのだ!!〉』
魔王と黒龍の争いが始まる……。




