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第四十五話 狩り

さて………。


人間が野蛮じゃないと証明するためにはどうしたらいいのだろう。


すっかりそれが悩みどころとなっていた。


日もいい感じに上ってきて、そろそろお昼になりそうな時間。


私はというと、この村を見ていた。


どうやら人間の村とは少し違った感じだ。


人間の村は、煉瓦で作られた家が多く、何となくだが、元の世界の西洋のような形のものが多かった。


それに比べてこっちは、家と呼ぶには少し質素な、骨組みに布を被せたキャンプ用のテントのような感じだ。


まるで、放牧民族のような家の作りは、リムおじさんの家のようだった。



「………なにか、お手伝いできることないですか?」



「手が使えないくせに、何ができるってんだい」



魔族の女性、恐らくここの奥さんであろう人が私に言う。


やはり人間を警戒しているのか、少し威圧しながらの言葉だった。



「……えっと……。なんでもいいですよ。雑用でもなんでも!」



「………そうかい。だったら…私たち家族に近寄らないで」



冷たい言葉が返ってくる。


精神的に辛い言葉だが、仕方がない。



「そうですか。ごめんなさい…」



私は仕方なく立ち去る。


ずっと怖い顔をして睨んでくる彼女を見て、私は泣きそうになるがぐっと堪える…。


なんせ今は、人間のイメージアップがなによりも大切だから。



「……すみません、なにかお手伝いできることありますか?」



「あぁ!?ねぇよ。どっか行け!人間が!」



次に向かったのは、別の家。


しかし、反応は冷たく、物まで投げつけてくる。



「ご、ごめんなさいっ」



逃げるように立ち去ったが、イメージダウンしていないだろうか。


少し心配になる。



「……どうしよう。全部断られた………」



さっきの家で、村中全ての村を回ったことになる。


村長らしきおじいさんの家を含め、全ての家で断られた。


特に私が誤って剣を向けたあの村人なんかにいたっては、私に向かって剣まで振るってきたのだ。


あれは本当に怖かった……。


なんにせよ、村人から全員のお断りを受けた私。


もう完全に終わったかに見えたが……。



「………まだ…。まだ終わってないし……」



次の方法に、私は出ることにした……。






この村は、どうやら狩猟や採取を収入源として生活しているらしい。


つまり、村人の男性たちは、常に狩りに出向き、女性たちは家を守る、というライフスタイルが定着している。


男性は遠くに狩りに行く。


私はそれをお手伝いしたいと名乗り出た。


突然の申し出に全員が驚いたが、彼らにしてみれば、私は正直なところ早くいなくなってほしい存在には違いない。


あわよくば私が魔獣にやられればそれに越したことはない、くらいに思っているはずだ。



「じゃあ、行くぞ」



リーダー格であろう、筋骨隆々の男性が、最初に大きく気合いを入れた声を出す。


それに呼応して、全員が気合いの声を上げた。




「「「おぉぉっ!!!」」」




「おぉ〜〜…」



私は気迫に圧倒されていた。


なんとなく怖い。


そして、村から離れてどこかに向かうことになった。



「……どこに向かってるの……?」



「魔獣がよくいる場所さ……。人間界にはあまり魔獣はいないんだろ?驚きすぎて、泣きべそかくなよ?」



からかうように男が言う。


魔界では、人間界の国を滅ぼすレベルの魔獣だっている。


この前のウィングタイガーだって、かなりの数が集まれば国を滅ぼす。


ニーマイ共和国はそうやって滅んだのだから。


しかし、そんな魔界の魔獣を狩りに行くというのだから、この村の集団はかなり強いのだ。



「いたぞっ!」



「!!」



さっきの強そうな男の声。


どうやら魔獣を見つけたらしい。



「……あれは?」



「ワイバーンっていう、竜の仲間だな。竜のなかでも、どちらかと言えば魔獣に近くて、肉もうまいんだ」



ワイバーン、みた感じでは、鱗がついていて巨大な口や足がある、恐竜のように見える。


肉が旨いと言われても、個人的にはあまり食べようという気にはならない…。



「……矢を放てっ!」



リーダーの人が指示すると、数人が弓を引き、矢を放った。



シュッ!



「ギュゥアアアアアアアア!!!」



見事ワイバーンにヒットする。


すると、ワイバーンが怒り狂った様子に変わる。



「グゥオアアアアアアアア!!」



「危ないっ!避けろォッ!」



ワイバーンの口に赤い光が見えたと同時に、膨大な火炎が振り撒かれる。



「……ちぃっ。無駄に刺激しちまったか……」



本来なら、もっと違った倒し方をしていたのかも知れないが、どうやらワイバーンの本能に火をつけてしまったようだ。



「グルゥアアアアアアアアアアアア!!!」



「っっ!!!」



また炎を振り撒こうとするワイバーン。


しかも、今度のはさっきよりも強力だった。


何人もが炎に飲み込まれた。



「ぐわああっ!」

「あついぃっ!」



「ギャオォオオオァァ!!!」



しかし、ワイバーンはやめる気がない。


むしろ、さらに生き生きと攻撃をしようとしている。


これはマズい。



「…………っ!」



私は生身のまま、ワイバーンの前に飛び出していく。


そして……、



「はぁっ!!」



魔力を解き放った―――――


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