表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/75

第四十四話 処刑執行!?

なんだか久々にゆっくり書く時間があったのにこのクオリティ……

次の日の朝。


朝起きたときには、両手首を十字架にかけられている状態で、村の広場に放り出されていた。


いきなりの状態に私は驚き、パニックになりかけたが、必死に落ち着かせていた……。



「…………(大丈夫。まだ大丈夫。ドルクが助けてくれる……)」



ドルクは私の視界の中にいないが、たぶんどこかで様子を伺っているのだろう。


そんななか、魔族の男の一人、髭を長く生やしたおじいさんのような人が話をしだした。



「人間よ。何か、最期に言いたいことはないか?」



このあと私は、間違いなく殺されるのだろう。


公開処刑のようで、ここの村人であろう魔族が、何十人と私の周囲に集まっていた。


男性も、女性も、少年も、少女も……、おぞましいものを見るように私を見ていた。



「……どうして、私を、殺そうとするんですか?」



「村人に剣を向けた報いだ。人間は野蛮だ……。殺すに限る……」



おじいさんは淡々と、恐ろしいことを語っていた。


私だって、攻撃してきた魔獣を殺してはきていた。


蝙蝠みたいな魔獣とか、巨大な鷹とか、翼の生えた虎とか。


自分も確かに残酷なことをしてるのは理解できる。


この世界にやって来て半年。


降りかかる火の粉は振り払えるくらいの実力を持っていなくては、幸せも自由も手に入らない。


それがこの世界の常識だってことは、ずいぶん身に染みている。


でも、いざその刃が自分に向けられると、相当怖い。



「……それは、本当にごめんなさい……。でも、こっちも身を守るのに必死で」



「言い訳を聞きたいわけじゃない…。貴様のような野蛮な生き物、殺すしかない」



「ちょっと待ってください。どうして、そんなこと言うんですか……。なんで、私が野蛮なんて言うんですか……」



元の世界なら、剣を持っているだけで十分野蛮だ。


でも、この世界なら、剣を持っていたって別に変ではない。


むしろ、剣を持っていないと危ない。


ここは魔界だ。


例の翼の生えた虎だってここ魔界の出身だし、なんたって神獣の一種、バイコーンだっていたのだ……。


こんな魔界に、武装無しでいる方が危険すぎる。



「人間なんて、みんな野蛮だ。魔族を忌み嫌い、差別するような連中だ。お前だって、魔族だと分かったから斬ろうと思ったのだろう…?」



確かに、魔族だったから警戒したのは事実だ。


だが、私の知っている魔族は、血をなめて喜んで、他人が苦しむ様を嘲笑うような人だったため、魔族全員がこんなものだと勘違いしていたのだ。



「……それは、ごめんなさい。魔族の人がどんな人なんて知らなかったから……。あなただって、私のこと、知らないでしょ?」



「人間のことなど、知ろうとは思わないな。人間は勇者を使って、すぐに魔王様を殺そうと企むような連中だ。かつて魔族を魔界に押し込めたのも、人間の連中だっ!」



「……でも…っ、魔族の人だって、人間の町や国を攻撃してたっ。完全に破壊されてる町だって、私は見たよ。そんな町の人は、みんな魔族を恨んでた……。『魔族のせいで、町はめちゃくちゃだ』って……。人間も魔族も、みんなやってること、同じなんじゃないの?」



互いに恨みあって、互いを攻撃しあう。


それのトップが、魔王と勇者なのだ。


魔王も勇者も、互いにやってることは変わらない……。


お互いに迷惑をかけているだけ。


なんだかそんな気がしていた。



「…………やっぱり、魔族の人たちは、人間が嫌いなの?」



「当然だ。魔族を嫌い、倒そうと企むような連中を好きになれるはずなんてないだろ」



「…………お互いに………分かり会える、なんて思えないの?」



「……………………お前は、分かりあえるって思うのか?」



難しい質問な気がした。


私が今まで見た限り、人間のなかで魔族に好感を持っている人は今のところいない。


逆にこのなかで、人間に好感を持っている魔族もいなさそうだ……。


別種族や違う一族が分かり合うのは難しい。


でも……。



「……私が、証明して見せる……」



「………どうやってだ?」



私は勇者だ。


いわば、人間の代表。


だったら、私が人間の株をあげる大切な存在になるわけだ。



「……もう一日、チャンスをください。私が、人間の代表として、人間のすごさを教えます」



「……………………」



「私もさっきまで、魔族は野蛮で怖いって思ってた…。初めてあった魔族が、人間をすごく嫌っていたから、私も殺されかけた……。それで今回も捕まったから、魔族は怖いって思った。だけど……、あなたは、ただ純粋に、村人を守ろうとしただけだった…。そんな人が、野蛮なわけないよ……」



守りたいものがある人は、それに向かって全力で戦う。


私にも、その経験があるから。



「……だから、今度は私に、人間の代表として、野蛮じゃないことを証明させてほしいの」



「…………………」



おじいさんは、黙り込んでしまった。



「いいんじゃねーか?1日くらいよ」



一人の男の人がそう呟く。



「でも……殺されかけたのがいるとなるとね」


「でもこんなに頼み込んでいるわけだし……」


「殺されたくねーよぉ」



次々に言葉をかわし始める村人たち……。


わかっている。


この村での私の認識は、どうせ殺人鬼同然。


でも、このまま殺されるのは、私のイメージにも、人間という種族のイメージにも、プラスにはならない。



「お願いしますっ。両手縛って使えない状態とかでもいいんですっ!お願いしますっ!!!」



手なんて使えなくたってどうにかなる。


とにかく私は、人間として、野蛮じゃないことを証明したいのだ……。



「………………手を後ろで縛り付けておけ。その状態でなら、今日一日、村で過ごすことを認めてやろう」



そして、私は、十字架から自由の身になれたのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ