第四十話 扉
「……あのすごく怪しい建物は何だろう?」
よく冒険物の物語で見られるような、真っ黒で闇のような城が建っていた。
周囲も堀が囲んでいて、なぜか上空には真っ黒な雲が雷を落としている……。
上空には竜や蝙蝠などが飛び交っている……。
誰がどう見ても、普通の城じゃない。
『………あそこから、強い魔力を感じる………』
「えっ!?」
『それも、とてつもなく強大な……』
とてつもなく強大。
それを聞くと、
「やっぱり魔王なのかな?」
『……そこまでは分からないが、恐ろしく強い何かがあそこにいるのは間違いないな……』
魔界は強い生き物があちこちにうろうろしているらしい。
たまたまここにくるまで、そんな恐ろしい生き物には会わなかったが、あの中にはまさしくそんな生き物がいるらしい。
「……行こう」
『……あぁ。行くしかなさそうだな』
私たちは、その城に入ることに決めたのだった……。
城の周囲には、堀が張り巡らされていた。
そしてその堀には、マグマが煮えたぎっていた。
ゴボゴボという激しい音がなり、大気がかなり高い温度に変わる。
城の周囲は、想像を絶するほど暑かった。
そして、城の扉まで来た。
しかし、
「…………っ!堅いっ!」
『……開かんな』
やはり相当な何かがこの城を守っているのだろう。
扉はとても堅く、一人と一体ではとても開きそうにない。
「………悪いけど、強行突破するしかないね」
『………おぅっ!』
私は剣を抜き、魔力を高める。
ドルクも同じように、角に集中を高める。
そして、
「『っはぁっ!!』」
私の剣とドルクの角が、扉にぶち当たり、強烈な音を生み出す。
ズドォォォォォン!!!!!
それと共に、扉は物理的に崩れる。
破壊されることにより、中に入ることができるようになった。
と、思ったのだが……
ヴゥゥオォォン………
「………えっ?」
『戻る……だと!?』
扉はまるで、壊されたことなどなかったかのように、すっかりと元の状態に戻っていたのだ…。
『……こんなことが、あるのかっ!?』
「びっくりした……」
急に元に戻ったのだ。
私が攻撃した直後。
「……なかに入れないんだったら……どうやって魔王を倒せっていうのよ……」
この扉の意図していることが分からない。
いったい何をさせたいのかが分からない。
「………もう一回っ!」
ドガァァ……ヴオン……ドガァァ……ヴオン……。
何回やっても、同じように復活する。
こんなところで無駄な魔力を消費したくないのに、何回やっても扉は開かない。
「………どういった仕掛けなの?これって?」
『魔法がらみだということだけは分かるが、属性すら奇妙に隠されて分からない……』
「………属性………」
私の魔法が光であるのと同様に、この扉もなにかの魔法、または魔方陣がかけられているということだ。
と、いうことは……。
「……光なら、魔法ごと打ち返せるかな?」
『あ!その手があったな。光魔法をぶつけて、そのまま光魔法で打ち消えれば良しだし、跳ね返らなければ、闇魔法なわけだしな』
「……。その闇魔法だったら、今度こそ終わりっていうわけだね……」
『闇魔法だったときは……。それこそ、全力全快の光魔法で相殺させるしかないよな』
最初の扉を開くだけで、魔力が全部消費するなんてそんな馬鹿げた話があってはならないな。
そう思い、魔力を込め、光魔法を放った。
すると、
ヒュウゥゥゥゥゥゥン
バリィィン
と、魔方陣が現れ、そこから亀裂が生まれ、まるでガラスのように割れたのだ………。
『………この魔方陣は、時魔法だな』
時魔法、つまり時間を操る魔法だ。
『なるほど。物理的に破壊して扉を潜ろうとした場合、時魔法が発動して、扉が壊される前の時間に戻るのか……』
なんどやっても、破壊される前に時間が戻るのだから、まるで元に戻ったかのように無傷の扉が再び現れる。
そういう原理らしかった……。
「………扉は開いたから、入れるんだね……」
『……あぁ、気合いをいれて行くぞっ!!』
いよいよ、私の使命を果たすときなのだ。
私は気合いを込め、中に入っていったのだ……。
扉に苦戦する勇者ちゃんでした




