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第二十八話 マモル

とりあえず、家継編完みたいな感じで!

「あぁ………す、すごい……」



さっきまで、白い虎に追いかけられていたその少女は、目の前の光景にあっけにとられていた。


自分と大差ない、下手すれば自分よりも年下かも知れない少年が、自分を殺そうとしている虎を打ち負かしているのだから……。



「………お主。大丈夫じゃったか……?」



「え……ぅ、うん……」






家継は、目の前の少女の様子をうかがった。


すると、その少女は明らかに自分の知る格好とは違うものをしていた。


ワンピースをしていただけなのだが、当時の日本は和服が普通のため、その姿は異形以外の何物でもなかった。


そして極めつけは髪の毛だった。


紫の髪の毛をし、青い目をしていたその少女は、家継にしてみれば、変わっている以外のなんでもない。


しかし、家継は気にしなかった。


ここがいったいどこであるか。


江戸がどこにあるか。


それの方が大切だった。



「のぅ、娘よ」



「なに……?」



まだ少女は腰が抜けてしまっているのか、あっけにとられているのか、動くことができないようで、その場で言った。



「江戸はどこにあるか知っておるか?」



「……江戸……?知らない……」



少女は知らないと首を振る。


すると家継は、がっくりと項垂れた。


江戸に帰る手がかりが掴めないのでは、ここにいるしかないのだ。


これでも一国の王なのに…。



「………ここは?なんというところなのじゃ?」



「ここは、リーユ帝国領のユレイム草原ってところだよ」



リーユ帝国なんて国も聞いたことなかったし、ユレイム草原という場所も聞いたことなかった。



「………どこかの異国なのじゃろうか?」



「知らない……でも、江戸なんて国聞いたことないよ……」



少女は正直に答える。



「お主は旅などしたことはあるのか?」



「私たち一族は遊牧民族なの。それなのに、突然さっきの虎に襲われて。一族みんなバラバラなの。しかもかなりの人が死んじゃった……。私のお父さんも、お母さんも、妹も、弟も……、食べられちゃった……」



彼女は泣いていた……。


恐怖や悔しさや、いろんなものが込み上げてきて泣いていた……。


家継も悲しくなっていた……。


一国の王とはいえ、ただの感受性の強い子供だ。


ある意味当たり前の反応といってもいい。



「だったら……お主は、一人なのか…?」



「…………うん………どうしよう………!どうしよう―――――」



少女は当然あわてふためく。


今までの暮らしが突如消えた。


今まで大切にしていた家族が遠くに行ってしまった。


なんだか家継によく似た境遇だった。



「………お主も、わしと一緒だな……。どうだ?わしと一緒に、暮らさんか…?」



江戸がどこにあるかなんてわからない。


旅をしてみたらわかるのかも知れない。


だが、旅をすることよりも、目の前の少女を守ることの方が大切だ。


家継の「男」の部分が燃え始めた瞬間だった。


俺は、この少女を守る。


どんなことがあっても、命をかけて……。


そこには、家臣に支えられていた幼い国王の姿はなく………、一人の男が、侍が、いたのだった……。



「お主、名を何と言うんじゃ?わしの名は、徳川家継じゃ」



「イエツグ?私の名前は、ルリィ・アセルク……」



これから、家継とルリィの二人の生活が始まる……。











「やがて二人は大きく成長して、実力もついていきました。そして、ここに立派な城を建てたのです。妻のルリィに、自分の故郷、江戸をみせたい、と。幼き時の記憶を頼りに作ったのが、この江戸だったのでし。最初は、ただの侍の村でした。しかし村の長を将軍として、リーユ帝国にも一目置かれるくらいの自治区でした。やがて時が流れると共に人口は増え、今のこの江戸がある……。この街の住人には、異世界人の血が流れているのです……。そして死ぬ間際、家継は子供たちを集めて言ったらしいのです。『これから先、もしもわしのように、異世界から来る人間がおるかも知れん。そのときは、同じ苦労を分かつ者として、精一杯のおもてなしをし、この町を、第二の故郷と思ってもらえるようにしなさい』と。あなたのような異世界の人をもてなすことが我々の生き甲斐なのですよ」



そう言われ、私は、感謝と共に、とても居心地のいいこの街の謎が明らかになり、安らかな気分になった気がした。


とにかく今は、七代将軍徳川家継公に感謝しなくてはならない。


そう思ったのだった。


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