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第二十四話 イエツグ

久々の更新なのに、ジャンルが変わっちゃった…。一応ファンタジーなので、頑張りたいですが、今回は歴史小説みたいですね。すみません。なお、これから出てくる人物は架空の人物であり、現実に存在していました人たちとは何の関係もありません。全部想像です。あしからず。

時は300年くらい前。


日本でいえば、江戸時代。


いや、この物語は、その日本で起きた物語だった……。



江戸という巨大な都市に、一人の少年がいた。


まだ8歳という、いたずらまっさかりで、成長が著しい彼だったが、彼は普通の少年とは違っていた。



「家継さまっ!またですかっ!」



「あっ、詮房あきふさっ!」



「ワガママもいい加減にしてくださいっ!あなたは一国の頂点にいる王なのですぞっ!自覚を持ってくださいっ!」



この少年は、この国の王とも呼べる人間だった。


征夷大将軍という位を司り、武士の頂点に君臨する人間だった。


しかし、まだ8歳の少年に政治や外交などができるはずもなく、このお付きである、間部詮房まなべあきふさにまかせっきりであった。


父親である、先代将軍徳川家宣のことは、家継の記憶にはないため、詮房は事実上の父親だった。



「だってぇっ!雪じゃぞ!?雪が外に降っておるっ!遊びたいのじゃっ!!」



「ダメです!もし風邪でも引かれたらどうするのですっ!」



この時代、まだ医療などろくなものがない時代、風邪は重病化しやすく、最悪の場合命を奪う…。



「ぶぅっ、詮房のケチじゃっ」



「なんとでも仰ってくださいっ。私はあなたの父上である家宣様の代からずっとあなた様をお守りするよう言い付けられておりましたからっ!あなた様が何と仰られようと、家宣様の忠義には背けませんっ!!」



ここまで言われてしまうと、家継にはどうすることもできない。


詮房の話を渋々受け入れ、雪を外から見ることしかできなかったのだった……。






まだ8歳という幼い年齢で、将軍の座についたことは、いろんな面で激しく対立を生んだ。


徳川家継の親戚に当たる、徳川御三家がその一つだった……。


家継の父、徳川家宣自体も、家継が将軍になるのには無理がある、とも判断はしていた。


しかし、家臣たちの権力争いも生まれてしまうだろう。


そう判断した詮房が、家継を将軍として即位させたという。


つまり、家継や詮房に対抗したり、恨みを持ったりしている人間も少なくない。


そのなかの一人が、徳川吉宗だった……。



「なぜあのようなただのガキが、将軍の座につけたのだっ!」



「そりゃあ。臣下の詮房が立派にもあの小さな将軍を支えて……」



「貴様、死にたいのか?詮房が立派だと?ただ自分の保身のために、先代の跡取りを選んだだけだっ!」



「証拠などどこにもないでしょう?しかも、あなたが騒ぐだけでは、将軍になれなかった腹いせと言われかねませぬ」



「ぐぬ…っ。だ、だがしかし……」



「詮房の政治は確かに将軍側に片寄りすぎではございますが、それは詮房自身、家継様の親代わりのような存在。そのようになるのも納得でき―――」



「…………そうか、もういい。下がれ」



吉宗は家臣の言葉に嫌気が指した。


確かに、家継はまだ幼い。


親代わりである老中間部詮房が可愛がってしまうのも納得できなくもない。


だが、将軍が若いということは、老いた吉宗にとって不利なことしか働かない。


当然将軍は長い間座を譲らないだろう。


どう考えても先に死ぬのは自分だ。


間違いなく吉宗は将軍になれない。


例え程よい年齢で身を引き、子供がいなかったとしよう。


もしも、吉宗に将軍の座が回って来たとき、家継が「大御所」扱いなどになれば……。


若い家継の言葉が優先される危険が高すぎる。


それでは全く意味がないではないか。


いや、そもそも、吉宗が将軍になれる可能性も低い。


末っ子の吉宗が、「偶然」にもこの紀伊藩主にまで上ってこられたのはいいとして……。


紀伊藩の地位は、御三家からすると、尾張藩よりも下なのだ。


しかも、その尾張藩の藩主、徳川吉通は吉宗よりも若い。


権力が高く、若い彼の言葉が優先されるのは、当然といえば当然なのだが……。



「……気に食わぬな……」



この世は権力が全て。


権力を持つことは、大変重要だと思っている。


武家に生まれ、徳川に生まれた宿命とも言えよう。



「……ババ…いや、天英院を味方に引き込むか。家継の生母の月光院をかなり嫌っている節を見られるようだしな……」



大奥の二大勢力。


現将軍家継の母親、月光院の勢力と、家宣の奥さんである天英院の勢力が今の大奥の頂点だ。


権力は常に将軍にあるが、何気に怖いのが大奥である。


女を敵に回すと恐ろしいのだ。



「…………天英院ならば、わしよりも上手くやるだろう……」



と、重箱に数十枚の大判を詰めながら呟いたのだった―――――


実際の歴史と矛盾があれば、フィクションだとしてご納得いただきたいです。

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