第四話 服を買おう!
「じゃあ。今日は街に行くか!」
「うんっ」
昼食を食べたあと、リムおじさんが言ったのが、それだった。
街ということは、それなりに多くの人がいるということだ。
もしかしたら、記憶が戻るかも知れないし、それに近い何かを思い出すかも知れない。
「私も行きたいっ」
「あぁ。そうだな。どうするか。ルイ、留守番頼むぞ」
「……あぁ」
ルイも納得してくれたようで、私とおじさんの二人で街に行くことが決定した。
「じゃあ。馬で行くよ。街まで歩いて行ったらかなり時間がかかるからね」
「へぇ〜。そうなんですか……」
馬に二人で跨がると、おじさんは馬を発進させた。
「うわぁ〜。おっきぃなぁ〜」
やって来たのは本当に大きな街だった。
都に近い街である。
人口は百万を越えるような街だ。
北町、西町、東町、南町の四つに町がわかれ、毎日どこかで市が開かれているらしい。
今日は南町で市が開かれているので、私たちは南町に向かって行った。
「へい!安いよ安いよ!ボルケイロ産のシルクっすよー!」
「ニーマイ産の薬草良く効きますよぉー!いかがっすかー!」
「国産の香辛料はどうですかー!」
商売をする商人たちが、大きな声で客を呼び込んでいる。
中には小さな女の子とかもいるようだ。
とにもかくにも、いろんな出店が出ていて、お祭りのように賑やかだ。
「おぉ!リム!久しぶりだなぁ」
「おぅ、そうだな」
リムおじさんは何やら知り合いの商人がいるようで、その人のところに行った。
私も迷子にはなりたくなかったため、それについていった。
「今回は何だ?牛肉か?最近肉の入りが悪くてよぉ。品薄でさ〜」
「だろうと思った。ほら、これくらいなら」
「おっ。いっぱいあるじゃねぇか。感謝するぜ。ほいっ、いつもの額だ」
と、かなり大量の金貨をもらっていた。
「ついでに今回はチーズとかも作ったんだが……。どうだ?」
「おぉ。いいじゃねぇかよ。こいつぁいい代物だな〜」
「いくらで買う?」
「3000ゴールドでどうよ?」
「よし。売った」
「買ったぜ」
どうやら交渉が成立したみたいだ。
「で?そういや隣の娘はだれ!?まさか愛人とかか?」
「馬鹿たれ!娘だ娘!」
「あれっ?息子はいたの知ってるけど、娘なんていたっけか?」
どうやら彼は、家族ぐるめで付き合いがあるらしい。
「いや。少し難しい事情でよぉ、預かってるんだ」
「そうか。お嬢ちゃん、俺、リョウってんだ。よろしくなっ」
「あっ、は、はい。よろしくおねがいしますっ」
と、彼は自分の持ってきたものは売り終え、今度は自分達の買い物をし始めた。
「この辺りなら、ルイのお下がりじゃない、いい服があるかも知れないぞ。800ゴールドやるから。なんかいい服買いなよ」
「うん。ありがとう」
800ゴールドが高いのか安いのかはよくわからないが、とにかく買ってくれてもいいといってくれたのだから。
かわいい服を買おうと思う。
「俺はちょっと向こう行くから。ここで待ってろよ」
と言い、少し離れた別の店に行ってしまった。
「どれにしよっかな〜」
ここには可愛い服も結構あった。
私はさまざまな服を選び、試着までして見た。
可愛い系の服。
大人っぽい服。
ボーイッシュな服。
出来る限り、さまざまな服を試着してみる。
しかし、やはりとても可愛かったりするものは高い。
10000ゴールドとか、あまりにも高すぎた。
そして私がふと目に付けたそれ。
あまり装飾が施されていない簡単なワンピースではあるが、その素朴な感じが、とてもよかった。
「…………安いなぁ。これにしよっかな〜」
値段を見ると、740ゴールドと書いてある。
デザインも悪くない。
値段もかなりいい。
もうこれにするしかないな。
「すみません。これいただけます―――――」
「動くなっ!!」
「!!?」
盗賊だ。
サーベルを持った男性が何人も店に入ってきた。
「きゃあぁぁぁぁ!」
「ぎゃあぎゃあさわぐんじゃねぇよ!!」
何人かいた店員や客にサーベルを向け、怒鳴り散らしている。
この盗賊たちは、どうやら他の店にも別の人によって脅しをかけに行っているようだ。
「今すぐこの店の金を全部よこしな!この市は俺たち、ダーグ盗賊団が占拠した!!逃げ場はねぇぜ!!」
「……ダーグ盗賊団!?」
その名を聞いた途端、全ての客たちが、絶望的な表情に変わった。
ぐだぐだな文章で本当にすみません