第二十三話 家系図
「は、はい。かまいませんけど……」
「よかった。では、まずは食事をいただきましょう。それから、父上に会っていただきたい」
と、バイルさんは言い、食事を急ぐように食べていた。
どうやら余程の用事らしい。
「さ、では。まいりましょうか」
お付きの人たちによって食事が片付けられたあと、私たちは、バイルさんのお父さん、リーシィのお祖父さんに会いにいくことになった。
「……お父さんは、一体どんな方なんですか?」
「父上は……。この江戸城の城主であり、この江戸の中で一番偉い人でしょうな」
と、彼は言った。
しかし、バイルさんの年齢から考えると、そのお父さんはかなりの高齢ではないのだろうか…。
「さ、着きましたよ」
場所は、食事を食べた場所の二階上の場所。
障子の奥に、光と人影が見えるため、恐らく彼がバイルさんの父親なのだ。
「しばし、お待ちくだされ」
と、バイルさんは言うと、先にこの中に入っていった。
さすがに、いきなり知らない人を入れるわけにもいかない。
きちんと事情を説明しないと。
「どうぞ、入りなされ……」
という老人の声が聞こえた。
どうやら彼が、お父さんなのだろう。
「失礼します……」
私は、障子を開いた。
すると、中に広がっていたのは……、
「……和室?」
見事なくらいの和室であった。
綺麗な畳に、小さな机がある。
床の間には違い棚など、純日本の美しい和室ができていたのだった。
「…………君が……。君が……、異世界から来た、という娘かい?」
と、お爺さんが尋ねてきた。
目は見開いて、私を見つめている。
手も震えている。
「……はい。そうですけど……」
「………そう、ですか…っ。……よかった…っ!よかった…っ!」
と、私の手を握りしめたのだ……。
私も驚いたが、彼の方が、手をどける。
「おぉっと……。すみませぬ。驚かせてしまいましたかな……。ま、座りなされ……」
そういえば、私はまだ立ちっぱなしだったのだ…。
お爺さんは、私に座布団をしいてくれ、私はその上に正座をして座った…。
「……あなたが異世界の人間だと言うことを話していただき、感謝します。実はあなたは、我々の希望なのです」
「希望って、どういうことですか?」
「それには少し、我々の歴史をお教えしなくては。少し話が逸れるんですが………」
と、おじいさんは言うと、立ち上がり、何かを取りに別の部屋に入っていった。
「これをみてください……」
おじいさんが持ってきたのは、何やら長い巻物のようなものだった。
「なんですか?これ?」
「我が一族の人間の名前が代々記された家系図です。漢字で名前を記して、一族がどのように現代にいたっているのかが、事細かに記されています」
おじいさんが言った家系図には、とても昔の人から、今の代までの人が記されている。
一番最近のところを見ると、
「これ、もしかして、バイルさんのことですか?」
「そうですね。一族の習わしで、漢字で書いてあるから、羽煎となるわけです。まぁ、それは今はいいのです。それよりも、もっと前をみてください」
もっと前?
バイルさんの前は、おじいさんの名前が。
その前には、さらにおじいさんが、もっともっと遡っていくと、どんどんと昔の人になっていくみたいだった。
ところが、私は少し前の、とある人の名前で止まったのだ……。
「この人が、一番最初の人ですよね?」
「そうですね……」
そこには、徳川家継と記されていたのだ―――――




