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第二十話 しりとり

簡単なバトルシーン有

「うぐ……っ。いつつ……」



『大丈夫か?無理はするな』



「ありがと。大丈夫だよ」






ドルクが私を背負って、人のいない森のような場所まで来て、背中から下ろしてくれたのが分かった。


やがて目が覚め、身体に鋭く強い激痛が走る。



「う……ぐぁ。い、だいぃ……」



『大丈夫か!?痛みに効きそうな薬草を取ってくる!』



といって、ドルクが森のさまざまな場所を走り回って、薬草を取ってきてくれた。


私に薬草を食べさせ、ずっと看病をしていてくれた。



「ドルク。ありがとう」



『気にするな』



と、いつも同じ言葉を繰り返していた。



そんなある日、雨が降ってきた。



『風邪を引いてしまうな……』



と、ドルクが私の体を暖めるように側に寄り添ってくれた。


ドルクは私の上にいつも荷物として持ち歩いている寝巻きを被せてくれた。


ドルクの体が、とても暖かい。


私の体は、ドルクの看病もあってか、みるみるうちに回復していったのだった。






そして私は、私たちに食事をわけてくれたあの家族にお礼を言って、謝罪もした。



「巻き込んでしまって、すみませんでした!」



「良いんだよ。私たちが好きでやったことなんだから」



と、そんなに謝るなと言われてしまった。


しばらくは友人の家に匿ってもらうらしい。


本当に申し訳ない。


だが、あまりこの国に長居するのは危ない。


私は一刻も早くこの国を立ち去ることにしたのだった。






この国、ボルケイロ帝国の道をずっと歩き続けた。


しかし、一向にニーマイ共和国との国境につかない。


ボルケイロ帝国は確かに大きい。


3つの大都市、10を越える街、30を越える村を領地とした巨大国家だ。


しかし、なかには永遠と原っぱが続く道があったりと、かなり村や街の場所が片寄っていることが多かった。



『まぁ当然といえば当然だ。農業をするにしても、商売をするにしても、人が多く集まる場所の方がしやすいのは確かだ。特に農業ともなれば水だって欠かせぬ。この辺りに水源はなさそうだ』



と、ドルクも言っていた。


私もなんとなくは分かる。


しかしこうもなにもない道が続くと、とても暇だった。


そういえば、あまり関係ない話だが、とある進展が私のなかに起こっていた。



「じゃあさ、『しりとり』でもする?」



『……しりとり?なんだそれは?』



「私の前に住んでいた世界にあった言葉遊びの一種なんだけどね…」



そう。


帝王に時魔法で記憶をいじられたせいか、最近、向こうの世界のことを思い出すようになっていたのだ。


自分や家族のことは相変わらず思い出せないが、常識的な知識や、学校で習った知識くらいならば思い出せるようになっていた。


今言ったしりとりもそうだ。


私たちの世界で、暇で暇で仕方がなかったときに行われる、あれだ。



「え〜っとね、言葉を言って、一番後ろの文字から始まる言葉を次の人が言うの。それでずっと続けていくゲームだよ。でも、最後に『ん』がついたら負け。例えば、『みかん』とか」



『なぜだ?「ん」から始まる言葉だってなくはないだろう?』



「……私たちの国では、『ん』から始まる言葉が少なかったからだけど、それくらいの縛りがないと自由すぎるでしょ?」



『……なるほどな。人間の作るものはどの世界でも奇妙だな』



しりとりを奇妙という人を初めて見た瞬間だった。


まぁ、人じゃなくユニコーンだけど。




しばらくしりとりをして遊んでいると、急に地響きがした。



ズドォォォ



「なにっ?」



『……何かいるな。魔獣の臭いがする』



魔獣。


前に戦ったのは、小さなコウモリのようなやつだったが、こんな地響きを鳴らすような魔獣だ。



「……相当強いやつかもね……」



『あぁ。それも、すぐ前に……』



しばらく地平線が続いていた原っぱだったが、小さな点が徐々に大きくなり、こっちへ近づいてくるのが見えた。


そこにいたのは、巨大な鳥だった。


鷲を大きくしたようなその動物は、嘴を地面に突き刺たり、離したりしてこっちに向かって飛んでくる。


そしてその地面をよく見ると…………、



「…………人間!!人間が狙われてるっ!」



『助けるか!?』



「当たり前っ!」



私は魔力を高め、あの巨大な鷲に狙いを定める。



「はぁっ!!」



手に巨大な光球を作り出し、投げつける。



ドガァァァァァン!



「ギィィアァァァァァ!!!」



と、巨大な鷲が悲鳴をあげる。


あれで恐らく、確実に私に敵意を向けたはず。



「ギィィィィィィッ!!」



「よし。それでいいよ。こっちに来なさいっ!」



『いけるか?ココ!』



「うんっ!」



鷲がとんでもなく速いスピードでこっちに向かってくる。


間違いなく敵意むき出しだ。



「はっ!!」



私は手の平を広げ、下に向ける。


魔力を高め、魔力そのものを地面に放出した。



『……なっ!!?飛んだ!!』



そのまま、魔力が手から飛び出し、その勢いで私が空中を舞う。


某少年漫画の主人公がかめ○め波を使って飛ぶみたいな感じだ。


まぁ飛ぶというよりは飛び上がるといった方が近いだろう。


鷲よりも若干高くなったところで私は剣を抜いた。



「いっけぇぇぇっ!」



ブッシュアァァァァ!!!



私は剣を抜くと、勢い余って通りすぎる鷲の背中に剣を差し込んだのだった。


鷲からは血が飛び出る。



「ギュアァァァァァァァァァァ!!!!!」



と、鷲からの悲鳴もよりいっそう強くなる。


鷲はゆっくりと下降して、地面に落ちた。



「ギュエェ……」



と、力無い声を出して倒れてしまった。






『………………………………えげつなっ!』



というドルクの声が聞こえた気がする。


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