第十八話 マジックストーン
「言いたいことは、それだけかぁぁぁぁ!!」
私のなかで、何かが爆発した………。
許せなかった。
私の幸せを。
私のやろうとしていた行動を。
そして、「不幸にしてしまう」なんてことを認めなくなかった……。
「私が不幸にしてるなんて。そんなこと、あってたまるかっ!嫌だっ!そんなの、嫌だぁっ!!!」
「魔力が暴走するとは。さすが勇者といったところではあるな」
将軍にはまだ余裕があるようで、ニヤリと笑いながら、私の様子を観察する。
それがさらに私をイラつかせる。
もういい。本気でコイツらを潰しにかかってやる。
「ルメイド流魔法奥義 ムーンライトドラグーンっ!!!」
光の玉を右手に作る。
光の玉は、まるで電球のように白く光輝き、神聖な力を宿しているようだった。
それにさらに魔力を込めていく。
暴走して、強くなっている今の私の魔力なら、相当な量が込められているはずだ。
「うりゃあぁぁぁぁぁっ!!」
今は人の顔くらいにまで大きくなった光の玉を、私は将軍に向かって投げつける。
すると、その玉は姿形を変え、竜の形へと変化する。
この光で出来た竜は恐ろしいほど神々しい、強そうな竜だ。
「はぁっ!!」
将軍は波動の攻撃を繰り返す。
魔力そのものを波動として打つ攻撃は、相当強力であり、確かに家を丸々吹き飛ばすくらいの威力は生まれる。
だが、ムーンライトドラグーンの前に、そんなものは微風でしかない。
「ぐ、ぐぉぉっ!?」
竜に飲み込まれて、ダメージを負い、さらに光の攻撃によってダメージが蓄積される。
光の魔法は、全ての属性の頂点に君臨する、最高位魔法だ。
その攻撃力はすさまじい。
はずなのだが……。
「くっくっくっ。その程度では、ただのイリュージョンだぞ?」
「!!?」
確かにダメージは受けたはずだった……。
服には、魔力によって擦り切られた跡も少なからず見られる。
それなのに、この男の顔や腕といった、肉体部分に、一切傷が見られなかったのだ。
「いくら最高位魔法とはいえ、ただの魔法だ。魔力を吸収する武器さえ手にしていれば、そんなものただの見せかけのものに過ぎん」
「魔力を吸収する武器!?」
「俺のこの爪には、魔力を吸収する特別な宝石、魔石が使われているのさっ!」
なるほど。
魔法による攻撃は、爪の能力で封じ、武器による攻撃も、爪を使って上手にかわす。
攻防一体のすばらしい武具だ。
「そして、吸収した魔力はそのまま放つことも出来るっ!」
「うわあぁぁぁぁっ!!」
さらに波動が私に重なった。
そして、私は吹き飛ばされる。
壁に激突し、大きな穴が開いた。
「つぅぅ……」
頭を強く打ってしまった。
しかし、そんなものにリアクションをとっている場合じゃない。
今でも波動が現在進行形で私に飛んできている。
この波動をかわすことは、今の私には難しい。
「ぐっ、ぐぅぅぅっ!」
私ももう一度波動を押し返す。
目には目を、歯には歯を、波動には波動を、だ。
手から魔力を属性に変えず解き放つ。
だが……、やはり強さが違う。
小さな波は大きな波に欠き消されていく。
それと同様に、私の弱い力では、将軍の強力な波動に打ち勝てない。
徐々に私の攻撃が押されはじめているのが、感覚で分かった。
「ぐぅぅぅぅ―――」
「これで終わりにしてやる!」
将軍が波動を強くする。
私はより一層押される形になる。
絶対に負けたくない。
私を馬鹿にした。
私の「幸せ」を馬鹿にした、いや、侮辱した彼らに負けたくない。
「あぐゎぁぁぁぁぁっ!!」
いまは私も全魔力を込めて対抗する。
全てのエネルギーが両手に移動する。
全パワーを放出してるのに、圧倒的パワーが向こう側から放たれている。
勝てるわけがない。
と、一瞬頭に浮かぶが、それを無理矢理封印し、勝てると自分に言い聞かす。
勝てる、いや、勝つ。
「だぁぁぁぁぁっ!」
「な、ぬっ!?」
将軍の顔色に一瞬驚きが入る。
私の魔力のパワーが大きくなったからだ。
人間は無意識にパワーを抑える。
なぜなら、本気を出すことによって、肉体的負担があまりにも大きくなることを無意識に感じとるからだ。
それは、ただの肉体的なものだけでなく、魔力でも同じらしい。
本気を、いや、全魔力を使うことは、肉体的な負担があまりにも強すぎるらしく、なぜか二割くらいセーブしてしまう。
私はそれを解き放ったのだ。
私の身体などどうでもいい。
幸せのためなら、これくらいっ!
「これくらいっ!やらなきゃダメなんだぁぁぁぁっ!!!」
「な、にぃっ!?」
魔力の大爆発が起こった。
あ、あとづけじゃないし…全っ然あとづけじゃないし(震え声)




