第十五話 夢オチ!?
「大切な家族か…。まぁいい。てめぇにとっては大切であろうが、俺にはただのクソ家族だ。いらんも同然。あの世で仲良く家族暮らししていればいいさ!」
「………うぅぅっ」
男は爪形の武器を私に向ける。
ナイフのような鋭い刃物がとりつけられていて、そこに赤い血がついている。
そうか、私がさっき受けた攻撃は、これによる攻撃だったのか。
「死ねっっ!!」
私の体を、その鋭い刃が貫こうとしたのだが……、
『させんっ!』
「おっ、と!」
男は瞬時に身をそらす。
そらさなければ恐らく、ドルクの角で一突きだったに違いないが、まさかあの状態からかわすことができるとは。
「邪魔するな。ユニコーンが。お前は勇者の仲間なのか…?」
『その通り。我はココのためならばどこまででも着いていく所存だ』
「ならばすぐに身を引け。じゃじゃ馬……。でないと……、また失うことになる……」
『―――――なっ!?』
「お前の息子のユニコーンが死んだのは知ってるぜ。見世物小屋の商人がぼやいてたからよ」
「……どう、いう……」
私には、彼らの話の内容は理解できない。
でも、ドルクが明らかに戸惑いの表情を浮かべている。
「息子を守ろうとしたくせに、息子は守れず、ついには失った…。そのくせ、新たにまた守るものを作ろうとするとは、愚かにもほどがある…」
『ココは我を人間への憎しみから解き放ってくれた。だったらその忠義に尽くすまで。それが我が信念だっ!』
「一度でも守りきれなかったザコが、また守るなんてことは出来ねえんだよ……」
『言わせておけば…っ!』
ドルクは怒り震えている。
どうやら、過去の傷にふれられたみたいだ。
『貴様のような人間に、我は二度も負けたりはせぬっ!』
「………おろかな」
ドルクの攻撃はどうしても、突く攻撃が主流になってしまう。
だが……、男はそれくらい見抜いている。
『ぐわっ!!!』
男は爪を使い、思いっきりドルクの角とぶつける。
すると、
『お、折れる、だと!?』
ユニコーンの角はもちろん硬い。
私の剣と互角にぶつかったが、壊れることはなかった。
だが、男の爪は私の剣よりも上なのだろうか。
「パワーを上手く使えば、こんな角くらい造作もない」
『な、に………っ』
ユニコーンにとって、角は全てのはずだ。
そんな角が、男の攻撃一つでぽっきりとへし折れてしまったのだ。
「さて。お前たちを殺す準備が整った。もう抵抗などする気はなくなっただろう?」
あまりにも力の差を見せつけられた。
死ぬなんて嫌だ。
でも現に私の体はもう言うことを聞けるような状態じゃない…。
意識がぼぅっとしてくる。
立っているのも正直言ってやっとだ。
「……はぁ……はぁ……はぁ……はぁ……」
「他のルメイドの居場所もすぐに分かるだろ。じゃあなっ!」
「ひぐぅぁぁぁっ!」
もう何もできない。
男が爪を使い、私の体を切り裂いた。
私の体からは血飛沫が飛び散り、男の嫌な笑顔が見えると、視界が黒色に染まったのだ―――――
「お姉ちゃんっ!!起きてよ!ねぇっ!」
「んぅ」
私は、まぶたを開ける。
そこには、私を少し小さくしたくらいの女の子が、私の上に乗っかっているのが見えた。
私はというと、暖かい布団に潜り込んでいる状態で、服も可愛らしいピンクのパジャマを身に付けていたのだ。
「私……、戻って…」
「お姉ちゃん、なに言ってんの?」
「あ、え、私いま、なんか言った?」
自分でも、どうして戻ったなんて言葉が出たのだろう……。
「もー。今日は家族で旅行に行くって言ってたじゃん。一番起きるのが遅いの、お姉ちゃんなんだからね?」
と、私に言う妹。
なんだかすごく平和で、私の心が安らかになっていく感覚を覚えた。
なんだかこの感覚、10年以上経験してる気がする……。
本当の幸せは、今の私だ。
めちゃくちゃ怖い経験をついさっきまで経験してた気がしたけど、あれは夢だったんだ。
そうに違いない。
「××〜!起きたの〜?早く支度して〜!?」
「はぁ〜い!」
私は、自分の部屋を出ていったのだった。




