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第十二話 将軍

「平民の家に入りよったな……」



黒い装束を身に纏った男は、そのまま『勇者と思わしき女』を追いかけていた。


こいつが勇者なのかどうかは置いておき、この女は平民と接触した。


その平民としばし会話をかわすと、家へと案内される。






「………女は平民の家に入りました」



「平民の家だと?」



さっそく将軍に報告をする。



「となると、恐らくそこを宿とするのだろうな……」



「はい。どうやらそのようで……」



「とりあえず、将軍の権力でやつらのことを聞き出すか……」



将軍は立ち上がると、マントをつけ、馬をとめている場所へ向かう。


将軍直々に向かうということのようだ…。



「将軍様っ!将軍様が直々に向かわれるのですか!?」



「あぁ。勇者かも知れぬからな。勇者ならば、その因子を一刻も早く撲滅させねばならんからな」



「…………御意」



しぶしぶ、といった感じではあったが、男は下がる。



「待っていろ…勇者っ!」






「ありがとうございます。食事、おいしかったですね!」



「そうかい?そう言ってもらえるとありがたいねぇ」



「お手伝いすることありますか?」



「いいよいいよ。あなたはお客さんなんだから。その辺りで適当に寛いでいなよ」



と言われた。


私は、せっかくのご厚意に甘えることにしたのだった。


しかし、特にすることもなかった私は、ぼうっと物思いに耽っていた。






民家にあげてもらったココ。


しかし、神獣である我が入るには、あまりにも小さな家だった。


小さなサイズでいればいいことだが、あまり人間の住処にいる気にもなれなかった我は、外での見張りをしていた。


だが、我がいれば、この家にユニコーンを飼うことができるほどの力量を持った誰かがいるとバレてしまう。


我は姿を隠す魔法により、姿を消して、外の様子を見ることにした―――――



「ここかっ!」



突然、マントを身に纏った男が、家のすぐ近くに現れた。


その男は、マントだけでなく、フードを深くかぶり、顔が見えないようにしていた。



「………勇者がいるのか。こんな安っぽい平民の家などに……」



この言葉のなかに危険なワードが含まれていた。


ココは勇者である。


ということは、間違いなくこの男はココの正体を知っている。


勇者を狙うやつなんて、とんでもない輩しかいない。



「勇者が女だというのは何かひっかかるが……。勇者の血を根絶やしにするためなら。何でもいい……」



根絶やしだと…?


あまり歓迎すべき状況じゃないというのは察知できた。



「家ごと吹き飛ばしてやろう!」



男はフードを取り、目標を定め、魔力を高めていった……。


その魔力はおおよそ強く、この程度の家なら吹き飛ぶだろう。


だが…………。



『き……っ!貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!』



見覚えがある。


いや、ありすぎた。


本来異種族の顔など覚えるなどできない。


だが……、こいつの顔だけは死んでも忘れぬと誓った顔だ。


愛する息子を失った恨みを失えるわけがない。



「なんだこいつ。ユニコーンか!?」



だが、この男は余裕があるのか、あまり驚いたような様子を示さない。



「そういえば、一度俺に歯向かったバカなユニコーンが一匹いたなぁ。お前、まだ死んでなかったのかよ……」



『だまれっ!だまれぇぇっ!!貴様のような人間がいるせいで息子がっ!息子が死んだんだ!その恨みを今ここで晴らしてやるっっ!』



ココに一度咎められた。


だが、そんなものは今ここではどうだっていい。



『くたばれ人間っ!!』



角を男に目掛けて突っ切っていった。


のだが、



「ふふっ。やはり獣だな。血の気が多い。この家と共に消え去れ…」



男は急速に魔力を高めていく。


あのときにも感じた、人間とは思えぬ大魔力。


だが、我はここで怖じ気づくわけにはいかなかった。



『おらあぁぁぁぁぁ!!』



「死ねっ!」



何も属性を放出していない。


ただ魔力を手から解き放っただけ。


それなのに、



『ぐ…っ!ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』


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