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第八話 恨みの一突き

子供たちと別れを告げ、リブルスの街からしばらく歩いた。


何もない平面の土地を歩き続けていると、遠くから、爆音のようなものが聞こえたのだ……。



「な、なに…?この音……」



この辺りは、ボルケイロ帝国とレオードン王国の国境に近いため、非常に危険なのだ。


なぜ危険なのかというと、ボルケイロ帝国が、名前の通り軍事国家であるからだ。


帝王が王座につき、とてつもない軍隊を持っている。


帝王は軍事的にも政治的にも、全てを掌握済みのため、独裁的な政治が行われている。


気に入らぬものは全て殺し、民の犠牲もいとわない。


そんな、かなり危険な国家である。


身分制もあり、帝王が一番高く、王族、騎士、兵士、僧侶、平民の順に低くなる。


こんな国だから、他の国では違法でも、違法でないことが多々あるのだ。


例として、帝王直属の兵士は、重大犯罪以外の犯罪では捕らえることができない。という法律だ。


重大犯罪は、国家転覆とか、そういう地位を揺るがしかねない犯罪だ。


つまり、兵士が一般市民を殺しても、泣き寝入りするしかないという、半分無法国家のようなものなのだ……。


しかし、この国の勢力はバカにならず、大陸を半分牛耳るほどの巨大国家でもある。


そのため、魔界へ行くには、この国を絶対に通らなくてはいけないのだ……。


さて、関所を通りかかる。


関所のなかには役人がいるはずなのだが、



「…………どういうこと…?」



関所が破壊されていた…。


赤いレンガ造りの門のような形の建物。


それが粉々に粉砕され、土煙が舞っていた。


いったいどういうことだろう…。



「ブルルル……」



と、鳴き声のようなものが聞こえる……。


鳴き声というか、咆哮だ。


叫び声と言ってもいい…。


土煙で姿が見えないのだが、大きな声が聞こえた。


当然人間のものではない。


動物だ。


それも、ウサギのような可愛らしい類いじゃなく、明らかに怖い獣だ。



『そこにいるのは、人間か…?』



声が聞こえる。


男性の声だった。



「誰…?」



『ほぅ。娘であったか…。我が名は………いや、姿を見せた方が早いだろう…』



と、その声の主が喋る。


姿を見せた方が早いというのはどういうことだろう?


砂煙が徐々に消えていき、シルエットが現れてきた。


その姿は、四本足だった。


体毛も生えて、蹄もついている。


その姿はまるで、いや、正真正銘の馬……。



「馬……?」



『失礼な…。あんな人間に屈した弱い生き物と一緒にするな……』



その姿は、確かに少しずつ違っていた…。


馬の毛並みなどとは比較にならないほど綺麗な毛だ。


その毛は一本一本が綺麗な白色だ。


頭の方には、なぜか鋭く突き抜けた何かがあった…。



「…………これは、もしかして………」



馬に鋭いものが突き出ている生き物。


これを見たことがあった。


正確に言うと、聞いたことがあった。


魔物や動物には属さない、神々しい力が備わっている獣、その名も、『神獣』。


そのなかの数々の一種。


馬のような姿をしているが、頭上に大きく突き出ている『角』が、馬にはない強い力を持っている。


その名は……、



「ユニコーン…」



『そう。我はユニコーンだ』



そこには、一角獣とも呼ばれる神獣、ユニコーンがいたのだ…。




「いったいどうしてユニコーンが……」



『人間を嫌う生き物は数多い。我もその一つよ。人間によって家族を殺された…。せっかく生まれた息子が、人間に殺されたのだ…っ!』



「だから……、だから、ここにいる人間を、殺したの?」



『そうだ』



どうやらこのユニコーンは、子供を殺された恨みで、関所に攻撃してきたみたい。



「でも……、人間にだって家族いたのよ……。それ、なのに…っ」



『人間と我ら神獣の命では、釣り合うわけがないだろう……』



「何言ってるの……。命はみんな大切なのっ!神獣だろうと何だろうと、命を奪うなんて…っ」



『だから我は人間が許せなかった。大切な、我が息子を奪った、人間をっ!その癖に、みんな綺麗事を並べ、正当化しようとする。お前も同じ人間なら、我の角で貫くまでだっ!』



ユニコーンは私に、突っ込んできたのだ。


角は鋭く尖っているため、少しでも触れれば死んでしまうかもしれない。



「ぐっ!」



剣を使って、間合いを取る。


だが、人間とは間合いも何もかもが違う…。


しかも神獣と呼ばれるだけあり、恐ろしく力が強い。


単純に力負けしてしまいそうだった…。



「やっ!」



光魔法をぶつけて距離を取る。



『ぐぬっ!光魔法の使い手とは。恐れ入ったぞ、人間よっ』



「はぁ……はぁ……」



さらに突進をくりかえしてくるユニコーン。


そのたびに、角と剣がぶつかる。


私は少しずつ後退していった……。



「これが………神獣の力、なの…っ!」



『そうだ…。神獣の力は人間一匹に止められるものではない』



「でも…っ。これ以上、人を傷つけてほしくはないのっ!」



『なるほど。所詮は人間の味方というわけか』



一角獣は再び私に角を構えたのだった…。


ユニコーンはテレパシーで喋ってます

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