第七話 決着
「みんなっ。今まで、本当に、本当に済まなかったっっ。どうしても許せなかったなら、俺のことを殺してもいいっ。だから、せめて、謝罪だけはさせてくれ。いや、くださいっ!!!」
彼は、みんなの前で、土下座した。
突然のことで、みんなが驚きを隠せない表情だった。
すると一人、女の子が、目の前に立って言う。
「…………私の妹が、殺されたっ。私の友人が、殺されたっ。あんたにっ!」
「…………」
「………許したくないっ。許せるわけないけど…………。あなたを見て、思ったの。あなたも、何か、深い理由があるんでしょう?」
「―――っっ」
「もう、私の妹も、友人も、戻ってこない。でも、あなたを殺したら、あなたも戻ってこない。そうしたら、私も、本当の強さを持てない人になっちゃう……。だから、償って…………。私たちに、みんなに!これから今までしたことを償って」
きっと彼女だって、辛いはずなのに……。
「偉い。偉いよっ」
私は、彼女を抱き締めたのだった。
「バカだねぇ。使えない奴と、おろかな奴は、殺しちまえばいいのさっ!」
シュンッ!!!
矢が飛んできた。
狙いは土下座中の男の子。
「ライ!てめぇ、うらぎりやがったな!?」
「……………もう、俺たちはお前の言う通りになんかしないぞっ。みんなで幸せを掴むんだ」
彼はもう、私たちの味方になったようだ。
もう誰にも、支配なんかされない。
みんなの目が、そう強く物語っていた。
ライと呼ばれた、さっき土下座していた男の子は言う。
「みんなはもう、お前なんかには負けないっ!力づくででも、俺たちはここから出てやるっ!」
「おーおー。強い強い。いきがっちゃって、かっこいいね。英雄気取りかよ。恋してた女一人も守れなかったクズが」
「っ!!」
「クズがどんなにいきがっても、俺には勝てねえよ……」
クズだと、男はライに言う。
いったいどっちがクズなのだ。
自分よりも力がない人間をクズだと罵り、あげくのはてには、命まで奪い取ろうとするなど、人間として非道に走りすぎだ。
「………ライとあんたでは、全然違うっ。ライは反省した。謝って、正しい方向に進もうとしてるのよ。あんたと同じなわけないでしょっ!」
「……………なんだ、お前?ライのことを庇って一体どういうつもりだ?」
「彼を侮辱する資格なんて、あんたなんかにはないっっ!!」
「………なんだぁ?お前には関係ないだろう……。お前もくさった偽善でも並べるのか?ん?」
偽善だって?
それこそいったい、どっちのことだよ……。
「まぁいいや。とにかくライと、お前は殺すわ。この新しい剣でな」
男は鞘から、剣を引き抜いた。
しかしそれは……
「ホーリーゴールデンブレイド!?」
「なんだ?この剣の名前知ってるのかよ。珍しい金でできた刀身の剣だぜ。いったいこの金を売るだけでいくらになるんだろうな〜?」
私の剣は、どうやらあの男に回ってしまったらしい。
私は丸腰だから、正直なところ、ピンチなわけだ……。
「…………どうしようか……」
「いきがってはみたが、武器もなくちゃ、どうしようもないよなぁ〜!?クズはクズらしく、ここで切り刻んでやるよっ!はははははっ!」
「っ!」
切りつけてくるのを、体をそらして避けるしか方法がない。
武器がなくては、やはりこちらの劣勢なのは変わらないのだ。
「ライっ!鞭貸してっ!」
ライが鞭を持っていたのを思い出して、鞭を貸してもらうことにした。
ライから鞭をもらう。
「たぁっ!」
鞭を使って、男に攻撃をしてみた。
のだが…、
「はっ!」
ズバッ!
鞭がスパンと切られてしまった……。
男はかなりの剣の使い手のようだ……。
「―――っ!」
「もう終わりかよ。あっけなかったなぁ!?」
余裕の表情で、男は笑みを浮かべる。
それも、黒い笑みだった……。
「死ねっ!クズがっ!!」
「〜〜〜〜〜っ!!!」
もう終わりだと思って、私は目を瞑った……。
リムおじさん、ルイ、ごめんね……っ。
「させるかぁぁぁっ!!」
「ぐわっ!」
しかし、私は死んでいなかった……。
恐る恐る目を開けると……、
「ぐぐぐっ!」
ライが炎魔法を使い、男を攻撃していたのだ。
男はなんとか盾を使って攻撃を防いでいる。
「今だっ!あの魔法で、こいつを倒してくれっ!」
「…………うんっ!」
私の全身から、魔力を高める……。
魔法を右手に収縮させ、拳くらいの球体状の光魔法を作り上げた。
「おりゃあっ!」
それを男に向かって投げつけたのだ。
光魔法によってできたエネルギーのため、相当な破壊力がある。
男はエネルギーに弾き飛ばされ、意識を失ったのだった―――――
私たちは、男、子供たちを無差別に拐い、奴隷のような過酷な労働を強要させていた商人を倒した。
これにて、子供たちは救われた。
ようやく子供たちは自由になったのだ。
しかし、子供たちのなかには、帰るべき場所も分からないという子もいる。
いったいどうしようか。
みんなで考えているとき、ライが言ったのだ。
「俺は、今までした罪を償わなくてはならない。そのために、みんなは俺が守る」
と、宣言したのだ。
街外れの森。
そこに小さな小屋を建てた。
そこで帰る場所を失った子供たち、およそ10人くらいを養うことにしたのだ。
しかし、子供10人を養うなんて、簡単にできることじゃないはずだ。
「本当に……大丈夫なの…?」
心配そうに声をかける私。
しかし、
「大丈夫さ。こいつらは元々商売もしてたし。なんとか暮らせるよ。俺的には、ここで宿屋でもやろうかと思ってるけどな」
と、これからの暮らしを、楽しみに語ってくれたのだった……。
思ったよりもあっさりと決着がつきましたね…




