第六話 本当に強く…
若干訂正を加えました…。
光魔法は、最高位魔法だ。
闇と並ぶ、超強力な魔法として知られている。
では、いったい何が超強力なのだろうか。
それは、光魔法の能力であった。
魔法の属性は、それぞれの能力で決められている。
例えば炎魔法は、無から炎を作り上げたり、炎を操ったりすることができる。
このような能力により、炎や水など属性が決められる。
しかし、光魔法は、光を操る能力の他に、もう一つ能力がある。
それは、魔法を打ち返すという能力だ。
他の魔法は一切受け付けないのだ。
「炎が…………!」
男の子に放たれた、炎魔法。
それが光魔法に弾かれ、男の子は炎から助けられた。
「どういうことだっ!くそっ!」
「光魔法よ……。光魔法に勝てる魔法なんて、存在しないよ……。もう私は、あなたを許さない……っ!」
「くっ! クソがあぁぁ!」
私に向かってくる。
その手に持っているのは、鞭から木の棒へと変わっている。
「はぁっ!」
木の棒は私に真っ直ぐ振り下ろされてくる。
私は振り下ろされる前に、棒を持つ手を蹴り飛ばす。
手を思わず離してしまったため、床に落ちてしまい、さらにそれを蹴り飛ばして手の届かない場所までやった。
「ぐぐっ!早いっ!!」
「どう?まだ私に勝とうなんて思うの…?」
できる限りの怒りを示す。
私にできるのはこれくらいだ。
まだ力量もそんなに高いものじゃないから。
「……くそっ!死にたくない……」
「あなたを許しはしない、とは言ったけど……、何も、殺しはしないよ……」
私が殺人鬼にでも見えたのだろうか。
そんなに私は怖い顔でもしてたのだろうか…。
「……ち、ちち、違うっ。お前じゃなく…っ、親分に…っ!」
「親分……?誰よ、それ……」
「俺たちを、む、無理矢理、従わせてる、商人だ……っ。もしも、あの人に逆らったら…っ、こ、ここ、殺されるんだ…っ。死にたくない!死にたくねえよっ!」
「あなたはさっき……、人を一人殺そうとしたじゃない……」
「俺より………格下のやつになら…っ、何してもいいって、親分に言われてたんだ……」
「……………弱い者いじめじゃない。それじゃあ……っ」
「弱い者いじめなら、俺だけじゃない…!この街のやつは、みんな、みんな、みんな。弱い者をいじめてるんだっ。弱い奴は弱いだけで悪なんだ!弱い奴はダメなやつで、何をしても、文句を言えないっ。言わせてもらえないっ。言えないなら、何やってもいいっ。弱い奴が、弱い奴が、全部悪――ー!!」
バッチィィィンッ!
私は自分でも気づかないうちに、彼の頬をビンタしていた……。
彼も驚いたように私を見る…。
頬をさすりながら、その目を大きく見開いて、私を見た。
「それじゃあ……っ。それじゃあ……っ。永久に、絶対に、弱い人は、幸せになれないじゃないっ!子供だって………。どんなに小さな子供だって、幸せになる権利がある。幸せになる義務があるっ………!皆だって、未来を夢見て、幸せに生きていきたいのに…っ!あなたみたいなっ!あなたみたいな人がいるせいで…っ!幸せになれない人がいるんだっ!絶望しか感じられない人がいるんだっ!!あんたみたいな…っ!あんたみたいな、自分勝手な人がいるせいでっ!!」
私は、彼の頬を何度もビンタしていた。
叩く度に、その力が強くなっている気がする。
彼はときどき、「うっ!」とか、「ぎっ!」とか呻いている。
「………………幸せなんか、なれっこねぇんだよ………」
「―――っ!?」
「…………弱い人間が、幸せになんかなれねぇんだよっ!愛する人だって守れねぇっ!大切な物だって救えねぇっ!いつだって恐怖におびえてなきゃ暮らせないっ!そんなんじゃ、意味ないだろっ!守りたけりゃ、救いたけりゃ、強くなきゃいけないんだっ!!!」
私の手は、いつの間にか止まっていた……。
そういえば、今まで、私は守ってもらってばかりだった……。
でも………。
「生きたいなら、強く、強く、強くならなきゃいけないっ。弱い奴なんか知るもんか。それじゃあ、いつか本当に『なくして』しまうんだからっ!」
でも、私は知っているんだ。
それは、強いってことじゃないことを。
「……………だったら、守ってあげなさいよっ!本当に強くなって、弱い人をっ!!」
「―――――っ!」
「あなたは強くなんかないよっ!傷つけてるだけ!痛め付けてるだけ!そんなの、ただの自分勝手だ!本当に、本当に強くなって、その力を、守るのに使ってあげてよっ!ここにいる、小さな子供たちのためにっ!」
「―――――っっっ!!!」
もう彼は、何もできなかった……。
泣いているようだった。
もう彼には戦意はない……。
「そういえば……」
あの火だるまになった男の子はどうなったんだろう?
「う、うぅぅ……」
「!! 大丈夫!?」
「………………うん、生きてるみたい……だよ……」
彼は何とか無事だったのだ……。
全身にやけどはあるが、幸いなことに、皮膚がやけこげたりはしていなかった。
奇跡だった。
「よかった………っ!本当に……っ。本当に……っ!!」
私は安心して泣きながら、彼を抱き締める。
男の子は、私の耳元で、ありがとうと言ってくれたのだった―――――。
光魔法にチート能力追加。
あと、思ったよりガチシリアスな内容が出来たと思います。