第十一話 女王
二話連続で短めですみません。どうしても分けたかったんです。
感想ありがとうございました!
「ようこそ。勇者様、そしてその、家族の皆様」
宮殿に入ると、一番奥の間、「王座の間」に連れていかれた。
王座というくらいならば、きっと王様がいる。
扉を開かれ、中に入る。
するとそこには、輝かしいオーラを放っている女性がいたのだ。
「………こちらにおられるお方こそ、国王ナーラ様であられる」
と、将軍が説明した。
ナーラ国王、いや、女王は、私たち三人を見比べていた。
「リム。あなたのことを大変首を長くして待っておりましたよ?」
「俺はできれば来たくありませんでしたね」
「で、そちらの方が、リムの息子ね。若い頃のリムにそっくりだわ」
ルイのことを見て、そう話す。
だが、
「あら。あなた、リムの娘さん?リムにはあまり似ていないようね?まさかお母様に似られたのかしら?それも、二人目の……」
「………っ」
一瞬。
おじさんが強く反応を示していた。
だがしかし、すぐに冷静になろうとする。
「………国王陛下。慎んで申し上げます。彼女、ココ・ルメイドは、俺の娘でありますが、彼女は記憶を無くしてしまっておりますて俺が娘として預かっているのであります。そのため彼女と俺には、血の繋がりはありません。彼女だけでも、我が家に帰していただきたいと思っております」
と、おじさんは私たちの関係を伝え、ついでに帰してほしいとまでお願いした。
私も一緒に、
「お願いします」
と伝える。
「…………そうですか。と、いうことは、勇者ルメイドの血を受け継ぐ勇者は、リムとその息子しかないというわけですね…」
少しだけだが、困った様子の王様。
しかし、
「ですが変ですねぇ。そこのココという少女と接触したはずの、私の使者は、ココも光魔法を使ったと言っているのですが…?」
「…………」
「どうです?違いますか?もしもそうなのだとしたら、ココを返すわけにはいきませんよ。ココはルメイドの血筋を途絶えさせぬよう、子孫繁栄に勤しんでもらわなくてはなりませんし…」
リムおじさんも黙ってしまった。
光魔法というのが、いったい何か分からない私は、どうしようもなかったのだ。
「…………そういえば、もう一つ、可能性がありますね…」
女王は思い出したように突然言った。
「私たちも、ルメイドの一族の他にも、勇者の素質を持つ者の可能性を考えたのですよ。勇者になるには、やはり光魔法のような最高位魔法を使える人でないといけないと思いましたから。しかし、そんな人間はなかなかいないのです。光を持つものは、やはりかなりの才能なのですよ。で、そんななか私たちはとある書を発見したのです」
そこで話を一旦区切り、近くにいたものに何かを持ってくるように伝えた。
しばらくすると、一つの本を持ってきた。
「これです。古代に伝わる魔法を記してある魔法書です。現代とは違い、古代は魔方陣を使った魔法があるのです。そのなかで一つ、気になる魔法があったんですよ」
そしてページをめくり、とあるページを開く。
「異世界転移と書いてあります。つまり、異世界への移動、異世界からの移動をするための魔法です。この魔法によれば、生物、無生物問わず、あらゆるものを異世界から持ってきたり、異世界へ送ったりすることができるというのですよ」
そして、私を指差す。
「この世界の人間、いや、生き物ならばすべてに魔方陣が体内にあります。それによって、自分が何の属性かが決まるのですが、異世界は別です。異世界の住人には、この世界の魔方陣は刻まれていないのですよ。それを利用し、私たちは異世界の人間を一人こちらへ移し、さらに光の魔方陣を打ち込んだのです。その衝撃で何らかの影響もあるかと考えました。私たちは、てっきり死んでしまったかとも思っていたのですが………。もしかしたら、それがあなたなのかも知れませんね」