第一話 記憶がない!?
まだ文章が稚拙ですが、楽しんでいただいたら幸せです。
私は、どこにでもいる女子高生。
名前なんて関係ない。
なぜなら、私はもう、女子高生には戻れないんだから―――――
朝、心地よい夢を見ていた最中、騒がしい目覚まし時計の音がなる。
その音を手探りで止め、眠たい目を擦りながら、リビングへと向かう。
「もう、××!学校に遅刻するわよ〜!」
「……はぁい……」
朝の食事は、普通によくある、パンやベーコンエッグである。
顔、歯を洗って、食事を済ませ、着替えを済ませ、鞄を持ち、学校へと向かって行った。
私は、少し遠くの高校のため、電車に乗らないといけない。
このように、私はどこにでも存在する普通の女子高校生である。
特に変わった出来事も存在しないこの私の人生ではあるが、私は満足している。
しかし、そんな私に、恐ろしい事件が起きる―――――
駅のホームでしばらく待っていると、
「……………じゃあな」
ドンッ
突然体が宙に浮いた。
背後から、男の声が聞こえた瞬間、背中から押され、宙を待った。
「…………!!?」
ファァァァン!
電車の音、やばい、電車が来るのに、線路に!
周囲の慌ただしい声が聞こえる。
そして、
視界は赤く、何も痛みは感じず、意識は遠退いていった。
「………ぅ」
しかし、目が覚めた。
眠たい目を擦り、両腕を伸ばす。
「えっ!?ここは!!?」
一気に眠気は消し飛ぶ。
ここはどこなんだ?
私は電車に轢かれたはずだ。
間違いない。
あんなのが夢であるはずがない。
感覚があまりにも鮮明すぎる。
意識が失ったあと、私はどうかしてしまったのだろうか。
「……………わからない」
全く意味が分からない。
某小説サイトの小説に出てくる主人公みたいなこの状況……。
私は、あまりに意味が分からなさすぎて、怖くなってしまった。
悪い夢なのかとも思った。
こんな悪い夢、さっさと覚めてほしい。
しかし、どうやっても、この状況から脱出できはしなかった。
さて、若干落ち着いて来たため、状況説明だ。
場所は、室内。
薄い布がかかっている場所で私は寝ていた。
見た感じは簡単に言えば、モンゴルの移動式住宅である、ゲルのような形だった。
屋根が三角錐の形になり、壁は円柱型だった。
入り口はつけられていて、そこから眩しい光が指していた……。
「おぅ。起きたか〜」
なんだか、すごく訛った言葉が、その入り口から聞こえたと思ったら、そこには、一人の男性がいた。
茶色いつなぎ、手袋、ブーツを着た、牧場とか農家とか、そういう仕事をしてそうなおじさんだった。
「………あのっ、わ、私、は……?」
「あぁ。なんだか牛たちが急に一つの場所に集まってるもんだから、いったいなんだと思ったらよぉ、おめぇさん、落とし穴に填まったみたいに地面に埋まってたもんだから」
「地面に……埋まってた?」
もちろん、心当たりなんてあるわけがない。
「…………記憶喪失とかか?お前、自分の名前は言えるか?」
「…………私の名前?そうだ、私は……」
……………。
…………………。
…………………………。
名前って度忘れするものだっけ?
「…………じゃあ、質問を変えるか。お前が住んでるところは?」
「……………」
やばい。
本当に本当に、浮かばないのだ。
「………………じゃあ、これが何だか分かるか?」
見せられたのは、林檎のような果物。
いや、間違いなく林檎だ。
「……林檎、ですか?」
「何で疑問系なんだよ」
「……もう、何が正しいのか分からなくて…」
名前も住所もいえないとか、いったいどういうことなんだ。
自分で自分のことが分からないのだ。
「……………ぅ……うぅぅ……」
なんだか私が、すごく情けない人のような気がしてきた。
私は、情けないのか。
自分のことも分からないなんて……情けない。
「うわぁぁぁぁぁぁんっ!!」
「うわぁ!?どうしただ!!?」
おじさんがいるというのに、わんわんと大声で泣き叫んでいた。
え?主人公が情緒不安定? そ、そんなことないですよ(震え声)