第7話
ヘリに乗っているマイケルとミリーの目に、異様な光景が映る。
「ああ神様……貴方は何をお造りになったのか」
「あんなものが主の造形物なわけないでしょう!?」
ロサンゼルスを巨大な怪物達が蹂躙している。
無数のピラニアシャークとデストロイモルモット、そして巨大なゾンビが街中でぶつかり合う光景など誰も信じたくない。
ビルはまるでウエハースのように半ばでへし折れ、車がトミカのように吹き飛んでいく。
街からはおおよそ3kmは離れているであろうが、それでもヘリのモーター音以上に彼ら怪物達の咆哮の方がうるさい。
「ん? 通信が復旧したぞ……離れろ?」
ヘリのパイロットがそう呟いた瞬間。街の方で凄まじい爆音が響いた。
「何か爆発したぞ! 離れろ!」
マイケルが街を見れば、そこには青い閃光と共に立ち上るきのこ雲があった。
「ピラニアシャークの攻撃だ! 爆風に巻き込まれる!」
「退避! 退避ィッ!!」
言っている間に、ヘリは衝撃波によって激しく揺れる。缶詰めにぶちこまれてバットでフルスイングされたかのような衝撃。マイケル達は近くにあるものを死にものぐるいで掴むしかなかった。
「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「テッドぉおおおおおおおおおおッ!!」
ドアガンナーとして乗っていた兵士が1人、暗闇の中へと消えていった。
「うわっ! 前からビームが!」
「退避!」
ピラニアシャークがヘリの存在に気がついたのだろう。こちらに向かって、ピラニアシャークのビームが放たれた。
「急げ急げ急げ急げ急げ!!」
ヘリは回頭し、その場から全速力で退避していく。
ロサンゼルスは火の海と化していた。
「キェェェェェェェェェェイェェェェェェッ!!」
「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!」
「ゴガアァァァァァッ!!」
ピラニアシャーク達は目に映るもの全てが敵と言わんばかりにビームを放ち、デストロイモルモットとゾンビは咆哮をあげながらひたすらピラニアシャークに噛みついて地面に叩きつける。
ロサンゼルスに住む人間達は急いで逃げようとしたが、当然間に合うわけもなかった。
「ああ、神様……」
1人の男は瓦礫の山となった街の中で目を覚ました。辺りをキョロキョロと見回せばビルの二階から上が消し飛んでいる。
「これが俺を守ってくれたのか。ありがてぇ」
だがもう生きる望みは薄い。かの怪物達は未だ街中を暴れまわっている。
「お?」
そんな中だ。男は倒れた移動式スタンドを目にした。ホットドッグを売っていたところだ。
「女房は身体に悪いからやめろだの抜かしやがったっけな」
200kgを超える彼。見ればパンにソーセージ、その他マスタードなどがまだスタンドに残っている。男は吸い寄せられるように近づいた。
「こんなものを今まで身体に悪いなんて言ってたのか。アホらしい」
パンを開き、ソーセージを入れ、チリと刻んだタマネギを散らす。あとはそばに落ちていた缶のコーラを開ければ、アメリカのご機嫌な夜食だ。
「これぞアメリカ」
ホットドッグを口一杯に頬張り口の回りをケチャップまみれにしながら、それをコーラで流し込む。
「まさに天にも昇る味ってヤツだ。そうだろ?」
男が振り向くと、青い閃光が迫ってきていた。方眉を上げニヒルな笑みを浮かべコーラを飲みながら彼は閃光と共に消えていった。




