第4話
デストロイモルモットが暴れている最中、マイケル達も動きがあった。
銃砲店に入ることに成功はしたのだが……
「ヘンリィィィィィィィィィィィィッ!」
「食われたあああああああああああああああ!」
押し寄せるゾンビの群れにヘンリーが食われてしまったのである。肩を貸していた同級生も一緒になって食われた。
「早く銃を!」
マイケルは銃砲店に置いてあったリボルバー式拳銃を手に取ると震えながら弾を装填していく。マイケル自身銃を扱ったことはある。カウボーイの真似事をしてコルトSAAで早打ちの練習までしていた。
……結果は太ももを撃ち抜いたが。
「そんなのでチマチマ撃っても仕方ないでしょう! これで仕留めるわ!」
同級生の女が店の奥からなにやら大きな箱のようなものを取り出してきた。
四つの穴が空いたそれはM202と呼ばれるロケットランチャーである。四つの穴からそれぞれ一発ずつ弾が出る。
「くたばりなさい! この化物!」
「バカやめろ! 説明書読め──」
マイケルの警告も聞かず女が引き金を引いた瞬間、ロケットランチャーから弾が発射された。
ゾンビではなく同級生達がいる後ろに向かって。
「ぎゃあああっ!! あ、ああ!? 皆!」
女はロケットランチャーの撃つ方向を間違えていたのだ。逆に持ってしまったがゆえに、弾は同級生に向かって飛び、炸裂。
店の内装を無茶苦茶にして吹き飛ばし、近くにいた同級生達はまるでポップコーンのように粉々の肉片へと姿を変えた。
「レンダ! カーラ! 嘘でしょ!?」
残されたのはたった1人、同級生の女であるそばかすのミリーだけ。そのミリーも今や頭を抱えて発狂している。
「ミリー! いいから銃を拾って! 撃つんだ!」
「いや! いやよ! マイケルなんか! だからアンタはいつまでたってもマイケルなのよ!」
「意味が分からないよ」
ゾンビの群れは未だマイケルとミリーを狙っている。その数は増え続ける一方。動きはさほど早くはないがそれでもマイケルの拳銃だけでは限りがある。
「ああ神様、どうせなら童貞捨てて死にたかったのに」
よく狙いを定めてゾンビの頭を撃ち抜いていく。
しかし残された弾は少ない。店のなかに在庫はあるだろうがロケットランチャーのせいでめちゃくちゃだった。
「ぐすっ、主よ、今貴方の御元に……げふっげふっ」
ミリーがなにやら唱え始めた、その時だった。
「キェェェェェェェェェェイェェェェェェッ!!」
まるで金属を擦り合わせたかのような不快な甲高い音が辺りに鳴り響いた。
ゾンビ達は音の発生源である店の外へと動いていく。
「な、なんだ……あれ」
崩れかけの店が揺れる、地震ではない。まるで小さな爆弾が炸裂したかと思うほどのそれはそれは大きな足音が原因である。
そしてその足音の主は、一目で分かった。
「ピラニアシャーク……」
マイケルが視線を向ける先に居たのは見上げるほどに大きなピラニアシャーク、先程見たものとは違い、なぜか人間の足がついていて二足歩行で歩いている。
ジュラシックパークのティラノサウルスの3倍ほどもある巨大な体躯だ。ゾンビ達はそれを攻撃し始めていた。
「キェェェェェェェェェェイェェェェェェッ!!」
ピラニアシャークに対しゾンビ達が勝っているのは数のみである。
しかしそれもピラニアシャークの前では無意味に近かった。尻尾でなぎ払い、足で踏み潰し、強靭な顎で噛み砕く。
「なんだか分からないけど逃げるよミリー! 急いで!」
「え、ええ!」
2人で手を取り合い、店から脱出する2人、マイケルがチラと後ろを振りかえれば、ピラニアシャークが何やら口を開いている。
「なんだ?」
嫌な予感がした。背筋に何か冷たいものを当てられているような予感がした。
「ミリー! そこの壁に隠れて!」
「な、何が起きてるのよ!?」
半ば突き飛ばすようにミリーを店の壁に隠れさせた次の瞬間。マイケルの視界が青い光に包まれ、次いで凄まじい爆風と熱波が襲ってきた。
「キェェェェェェェェェェイェェェェェェッ!!」
閃光と爆風の正体はピラニアシャークの巨大な口から放たれた青い熱線である。その熱線は街全体を覆い隠すかのごとく超広範囲を焼き払った。
あらゆるものが吹き飛ばされ、融解し、それがおわれば熱線の中心部には巨大なきのこ雲が空へと登っていく。
「げっほげっほ! なんでビームなんて撃てるんだよ!!」
瓦礫の山と化した街を見ながら、マイケルは叫んだ。




