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ピラニアシャークVSゾンビVSデストロイモルモット  作者: 田上 祐司


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第3話

 時間は少し前に遡る。カリフォルニア州、ロサンゼルスにて。


「ヘイベイビー! カミング! フッフッフッフッ」


 マンションの一角に住むある夫婦はこの時、窓から見える夜景を眺めつつ全裸でプロレスごっこに興じていた。


「オーイエス! イエス! イエス! ん? ノォオオオオオオオオオオオ!!!」


 窓に手をついて頬を赤らめプロレスごっこをしていた妻だったが、突然部屋が暗くなったのを感じて前を見る。


 窓から見えるものを認識した途端、妻は下半身の下水管に棒を突っ込んだまま発狂した。


「ヘイ? なんだこれワッツァファック!?」


 つられて夫も窓を見た瞬間、夫も思わず叫んだ。彼らが見たのは、それはそれは巨大な毛むくじゃらの生物。体長は80mを優に越え、茶色い毛は1本1本がワイヤーのよう。可愛さなど欠片も感じさせないモルモットだ。


「クソデカモルモット!? 幻覚でも見てるのか? おいお前さっきのファッキンな晩飯になに混ぜた!?」


「ふざけないで頂戴! それに何も混ぜてないわよ!」


「混ぜないであんな雑巾の絞りカスみてぇな飯が作れるか! ああクソ逃げるぞ早く抜け!!」


 ここで誤算が生じた。

 

「早く抜いてよ!」


「うるせぇ抜けねぇんだよ!」


 妻の下水管が棒を突っ込んだまま詰まってしまったのだ。棒は抜くに抜けなくなってしまっていた。


「クソッタレ! こうなったらこのまま逃げるぞ! ムカデ人間みたいにな!」


 仕方なくこの夫婦は下水管に棒を接続したまま一糸まとわぬケンタウロスの如き姿でバタバタと玄関にむかっていくことになった。


 玄関から出て、階段を降りて、それから車に乗り込んで逃げるだけ。ここが7階であることは考慮しない。


「ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!」


 ケンタウロスのように動き始めた瞬間、窓越しにモルモットが咆哮した。尋常ではない大声量だった。ただの咆哮ひとつで窓ガラスは粉々に砕け散り、ケンタウロスになっていた2人は吹き飛ばされて壁に叩きつけられた。


「畜生! クソッタレのケダモノが! アスピリンの試し打ちでくたばっちまえ!」


「何もそんなに罵らなくてもいいじゃないの」


 ケンタウルス状態のまま唾を飛ばして怒り狂う夫に呆れつつ、妻はなんとか逃げようともがいた。


「……なんだ? いっちまうらしいぞ」


 モルモットは爆弾の炸裂音のような足音を響かせながら、徐々に徐々に明後日の方角へと向かっていく。


 それを見た夫は歓喜しながら口汚くモルモットを罵った。


「実験動物の癖に人様の家をぶち壊しやがって! ここがチャイナじゃなくて助かったな! アイツらならお前を焼いて唐辛子かけて食っちまってるぞ! 家の修理代払いやがれこの薄汚ねぇケダモンが!」


「何もそんなに罵らなくてもいいじゃないの……ああ神様感謝します。アーメンハレルヤピーナッツバター……」


 祈りは確かに届いた。モルモットに。


「は? おいおいおいおいシィィット! こっちに来る!!」


「いやああああああああ!!」


「ぎゃあああああああ!!!」


 夫婦のいる部屋は瓦礫の山と化した。


 モルモットは急に方向転換したあと、それまで見せたことがないほど凄まじい早さで走りだしたのだ。そして、走り抜けた後には瓦礫の山だけが存在した。


 政府はこの巨大モルモットをデストロイモルモットと命名、ゾンビと合わせて軍が対応することとなったのである。

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