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星屑の少女はリングに立つ ―才能ゼロから始める女子プロレスラー・星屑さやか―  作者: バックドロップ
第一章 スターダスト・オーディション編 ――星屑の子、リングの門を叩く――
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第5話 本部道場練習生、はじめまして

前回は、二次審査のリングでの受け身とロープワーク、

そして「受かった者」と「今回は届かなかった者」が分かれる二次審査の結果発表までを書きました。


さやかはギリギリ合格ラインでPWS本部道場の練習生候補に。

朝比奈こはるは今回は不合格となり、「また来ます」と約束を交わして別れました。


第5話では、

・家族への正式な合格報告

・まなとの直接の喜び共有&TOトップオタ宣言

・本部道場での合格者4人の顔合わせオリエンテーション

・「ここからが本番」という空気の中での、さやかの一歩目

を描いていきます。


よければ今回もお付き合いください。


 家の玄関をくぐると、ほんのりとした味噌汁の匂いがした。


「ただいま」


 声をかけると、キッチンの方から母の足音が聞こえてくる。


「おかえり。……どうだった?」


 エプロン姿のまま顔を出した母の表情は、期待と不安が入り混じっていた。


「その前に、手洗ってくる」


 さやかは靴を脱ぎ、洗面所で手を洗った。

 冷たい水が、まだ現実感のない頭の中を少しだけクリアにする。


 タオルで手を拭きながらリビングに戻ると、父もソファから立ち上がっていた。


「……で?」


 二人の視線が、さやかに集まる。

 喉がからからに乾くのを感じながら、さやかは胸に抱えていた封筒をぎゅっと握りしめた。


「受かった。

 二次審査……合格、した」


 一拍の静寂。


 次の瞬間、母が小さく息を呑んだ。


「本当に……?」


「うん。

 これ、合格者向けの案内」


 封筒から紙を取り出してテーブルに広げる。

 「PWS本部道場 新人練習生オリエンテーションのご案内」と書かれた見出しが目に飛び込んできた。


 父が紙を手に取り、ゆっくりと目を通す。


「……ふう」


 ひととおり読み終えたあと、深く息を吐き出した。


「まずは、おめでとう」


 不器用な言い方だった。

 でも、それは間違いなく「おめでとう」だった。


「ありがとう」


 胸の奥がじんと熱くなる。


「ここに、“本部道場練習生候補として合格”って書いてあるわね。

 オリエンテーションの日程は……来週の土曜日?」


 母が紙を指でなぞりながら言う。


「うん。

 その日に、合格者全員集めて説明するんだって。

 健康診断とか、メディカルチェックの案内も入ってた」


 別の紙には、健康診断の日時と持ち物が詳しく書かれている。

 それから、「団体の基本ルール」「保護者同意書」の文面。


「学校のことはどうするつもりだ?」


 父の問いに、さやかは一瞬言葉に詰まった。


「いきなり退学とかは無しだからね」


 母が先に釘を刺す。


「うん、それは……分かってる。

 まずは、学校と両立しながら様子見て……

 本当にどうしても両立できないってなったら、そのときにちゃんと話し合いたい」


 自分でも、いきなり全部を投げ捨てて飛び込むほどの覚悟はまだない。

 でも、その一歩手前まで来ているのも事実だった。


 父はしばらく黙っていたが、やがて小さく頷いた。


「当面は、それでいいだろう。

 練習がどれくらいのペースなのか、どれだけ体力を持っていかれるのか。

 それも分からないうちに、退学だ進路変更だと騒いでも仕方ない」


「うん」


「ただし──」


 父は紙から目を離し、さやかをまっすぐ見た。


「合格したからと言って、それで終わりじゃない。

 ここから先は、“落ちない”んじゃなく、“落ちないようにもがき続ける”場所だ」


 その言葉の重さに、さやかは思わず息を飲んだ。


「分かった?」


「……うん。分かってる。つもり」


「その“つもり”を、本当にしていくのが、これからだ」


 言い方は厳しいけれど、それが父なりの応援だということは分かった。


「とにかく、今日はよく頑張ったわ」


 母が、ほっとしたように笑う。


「今夜はちょっとだけ豪勢にしよっか。

 さやかの好きな唐揚げ、揚げちゃおうかな」


「えっ、やった」


 唐揚げのひと言で、緊張がふっと解ける。


(まだ実感、全部はわかないけど……ちゃんと、“受かった”って認められたんだ)


 テーブルの上の封筒を見つめながら、さやかはそんなことを思った。


 


 ***


 


 数日後の放課後。

 星海高校の校門を出ると、門の前で手を振っている人影があった。


「こっちこっち!」


 水野まなだった。


「なんでいるの」


「決まってるでしょ。

 二次審査の詳しい話を聞きたくて、放課後ピンポイントで張ってたんだよ」


「ストーカー……?」


「推しの現場確認に全力な、健全なファンです」


 胸を張って言うその表情に、さやかは苦笑した。


「で、どこ行く? ファミレス? コンビニのイートイン?」


「コンビニでいいよ。そんな大げさな話じゃ──」


「合格してる時点で十分大げさな話だからね?」


 ぐいぐいと腕を引っ張られ、そのまま近くのコンビニに連行される。


 ドリンクを買って、イートインスペースの隅のテーブルに座った。


「はい、改めまして。

 二次審査お疲れ様でした。

 そして──」


 まなは、ペットボトルのお茶を軽く掲げる。


「合格、おめでとう!」


「……ありがと」


 真正面から言われると、やっぱり照れくさい。


「で? どうだったのどうだったの。

 番号呼ばれた瞬間とかさ、手震えた? 泣いた? 叫んだ?」


「そんな実況みたいに……」


 合格発表の場面を思い出しながら、さやかは少しずつ話し始めた。


 リングの感触。

 受け身の痛み。

 ロープワークで背中を打ったこと。

 黒岩の怖さと、白銀の冷静さ。

 合格者として封筒を受け取ったときのこと。


 そして──朝比奈こはるのこと。


「同い年くらいの子でさ。

 受け身の時に、怖くて身体が固まっちゃって……。

 でも、その子、最後に『また来ます』って言ってたんだ」


 ペットボトルのラベルを指先で弄びながら、さやかは続ける。


「『次のオーディション絶対受けに来ます。だから、その時まだPWSにいてくださいね』って。

 あたし、何も言えなくて……結局、『頑張る』ってことしか言えなかった」


「十分じゃん」


 まなは即答した。


「だってさ、その子は“また来る”側で、さやかは“迎える側になるかもしれない”方でしょ?

 その約束、めちゃくちゃ熱いよ」


「熱い、かな」


「熱いよ。

 あたしの目には、もう完全に“未来の後輩候補ちゃん”なんですけど」


 まなはストローをくるくる回しながら、楽しそうに言った。


「その子、きっとまた来るよ。

 で、その時さ──

 星屑ちゃんが“先輩面できるくらい”になってたら最高じゃない?」


「先輩面……」


「『よく来たね、今度は受かったね』って言ってさ。

 お互いに『あの時あそこにいたんですよね』みたいな話してさ。

 そういうの、絶対泣くからね。読む側」


「あたし、物語の登場人物になった覚えはないんだけど」


「もうなってるから安心して」


 さらっと断言されて、さやかは思わず笑ってしまった。


「というわけで、改めて宣言します」


 まなは、姿勢を正して咳払いをひとつした。


「星屑さやかファン一号──

 兼、現場最前管理担当TOトップオタ、水野まなです」


「肩書き長くない?」


「これでも削った方だよ?

 でも本気だからね。

 デビューしたら、最初の物販でタオルとTシャツと写真セット全部買うから。

 チケットも自引きするから。

 あと、SNS解禁されたら毎回感想ツイ──」


「はいはい、分かった分かった」


 まなの勢いに、さやかは呆れたように笑う。


 けれど、その胸の奥はふわっと温かくなっていた。


「……ありがと」


「ん?」


「なんか、その……。

 あまねさんの試合、誘ってくれたのも。

 オーディションのとき、親に説明してくれたのも。

 今日こうやって話聞いてくれるのも。

 ぜんぶ、ありがと」


 自分でも驚くくらい真っ直ぐな言葉が、口から出た。


「頑張るね、あたし。

 ちゃんと胸張って、『この人推しててよかった』って思ってもらえるように」


 一瞬だけ、まながぽかんと口を開けた。


 それから、むず痒そうに頬をかいて、顔をそらす。


「……なに、それ。

 急にそういうこと言うの、反則なんだけど」


「え?」


「こっちが勝手に“推す側”だと思ってたのにさ……。

 そっちから『推しててよかったって思ってもらえるように』とか言われたら、

 もう退路なくなるじゃん」


 ぼそぼそ文句を言いながらも、口元はしっかり笑っている。


「じゃあ、改めてお願いしといてあげる」


 まなはペットボトルをもう一度掲げた。


「頑張ってよ、星屑さやか。

 あたしが“TO名乗って恥ずかしくないレスラー”になってもらわないと困るから」


「……了解」


 ペットボトルの底同士を、軽くコツンと合わせた。


 


 ***


 


 合格発表から一週間後。

 さやかは再び、PWS本部ビルのエントランスに立っていた。


 今日はオーディションではなく、「合格者オリエンテーション」の日だ。


 受付で名前を告げると、七階の会議室に案内された。


「こちらの会議室でお待ちください。

 他の合格者の方も順次いらっしゃいます」


「はい、ありがとうございます」


 ドアをノックして中に入ると、小さな会議室だった。


 四人分の椅子とテーブル。

 各席の前には、PWSのロゴが入った資料とボールペンが置かれている。


 すでにひとり、先客がいた。


 背筋を伸ばして、きちんと椅子に座っているショートカットの少女。

 顔を上げた瞬間、さやかはすぐに分かった。


(あの時の──)


 道場で、ゼッケンの付け方を教えてくれた子。

 二次審査で、きれいな受け身とロープワークを見せていた子。


「あの……この前、オーディションで」


「星屑さんですよね。三十九番の」


 ショートカットの少女が立ち上がり、軽く会釈する。


「星緋いぶきです。改めて、よろしくお願いします」


「星屑さやかです。

 こないだは、ゼッケンありがとう」


「いえ。

 あのとき、自分も緊張紛れに人と話したかっただけなので」


 いぶきは少しだけ口元を緩めた。


 しばらくすると、ドアが勢いよく開いた。


「ひぃ~、間に合ったぁっ」


 派手な巻き髪を揺らしながら、ひとりの少女が慌てて飛び込んでくる。


 道場の鏡の前で笑顔の練習をしていた、あの子だ。


「ご、ごめんなさい! 遅刻じゃないですよね!?

 電車一本乗り損ねちゃって!」


「まだ時間前だから、大丈夫ですよ」


 いぶきが冷静に答える。


「よ、よかったぁ~……。

 あ、えっと、改めましてっ」


 少女はくるりと振り返り、にかっと笑った。


「姫乃らんです!

 でもリング上では“ティアラ☆キャンディ”って呼ばれたいので、

 覚えてもらえるとうれしいですっ」


「あの時のアイドルっぽい子……」


 思わず口に出してしまい、さやかは慌てて口を押さえた。


「アイドル“っぽい”じゃなくて、元アイドルです!」


 らんは胸を張る。


「星海高校二年、星屑さやかです。

 よろしくお願いします」


「同い年!? やった!

 じゃあ、さやって呼んでいい?」


「え、さや──」


「さやー。よろしくね!」


 一方的にあだ名を決められてしまった。


 そんな慌ただしいやりとりの最中、コンコン、と控えめなノックが響いた。


「失礼します」


 静かな声とともに、ドアから顔を出したのは、色素の薄い髪の少女だった。


 整えられた前髪。

 少し長めのスカート。

 姿勢はまっすぐで、手にはノートが一冊抱えられている。


「ノエル・シエルと申します。

 この前のオーディションでご一緒していました」


「ノエルちゃん!」


 らんが即座に駆け寄る。


「うわぁ、やっぱり顔ちっちゃ……。

 えっと、座って座って。一緒に練習生仲間だね!」


「え、あ、ありがとうございます」


 ノエルは少し戸惑いながらも席に着いた。


 四つの椅子が埋まり、会議室の中にわずかな緊張と期待が満ちる。


「じゃあ、これで全員そろいましたね」


 聞き慣れた声がして、ドアの方を振り向く。


 そこには、ラフなジャケット姿の天城社長が立っていた。


「改めまして、オーディション合格おめでとうございます」


 社長はテーブルの前まで歩いてきて、四人を順に見渡した。


「今日から君たちは、“PWS本部道場の練習生候補”です。

 まだデビューが約束されたわけではありませんが──

 少なくとも、リングへの道の入り口には立ちました」


 その言葉に、四人とも自然と背筋が伸びる。


「まずは、練習のスケジュールの話からしましょう」


 社長は資料の一枚目を指でとんとんと叩いた。


「高校在学中の三人──星屑さん、姫乃さん、ノエルさんは、基本的に“放課後組”になります。

 平日の夕方から夜にかけての練習が中心ですね。

 星緋さんは、高校を卒業しているとのことなので、

 午前中からの基礎トレーニングにも参加してもらう予定です」


「はい」


 いぶきが真っ直ぐ答える。


「学校は、原則として優先してください。

 無断欠席や課題の放棄などが続くようなら、こちらの練習にも影響が出てしまいます。

 プロレスラーとしてリングに立つ前に、一人の人間としての土台は大事ですから」


「……はい」


 さやかは、小さく返事をした。


(学校、ちゃんと行かなきゃ)


 頭の中で、自分に言い聞かせる。


「団体の規律についても、いくつかお話ししておきます」


 社長は、次のページをめくった。


「SNSの使い方。

 団体に関わることをむやみに外に出さないこと。

 危険行為や違法行為に関わらないこと。

 練習生のうちは特に、トラブルを避けるよう心がけてください」


 四人とも、真剣な顔でメモを取る。


「それから──寮の話ですね」


 社長は、少し柔らかく微笑んだ。


「うちには“スターダスト寮”という、若手選手と練習生のための寮があります。

 学校との兼ね合いやご家族との相談もありますので、

 すぐに入寮するかどうかは、それぞれの家庭と話し合いながら決めてください」


「寮……」


 さやかの胸が、少しだけ高鳴る。


(いつか、そこに入る日が来るのかな)


「今日のところは、練習生としての基本的な約束事をお渡しします。

 ご家族と一緒に読んで、改めて同意書にサインをお願いしますね」


 社長は最後にもう一度、四人を見つめた。


「ここから先は、努力したからといって、全員が同じ場所にたどり着ける世界ではありません。

 ただし、努力しなければ確実に置いていかれる世界です。

 それでもここに立つ覚悟があるなら──

 どうか最後まで、自分の足で立ち続けてください」


 その言葉は、怖くもあり、同時にどこか優しくもあった。


 


 ***


 


 オリエンテーションのあと、社長に導かれて四人は再び本部道場へ向かった。


 扉の前に立つと、あの日と同じように、リングのきしむ音と、誰かの掛け声が聞こえてくる。


 扉が開くと、先輩レスラーたちが軽くウォームアップをしている姿が目に入った。


「あ……」


 思わず声が漏れそうになる。


 テレビで見たことのある顔が、普通に道場で汗を流している。

 ロープに身体を預けてストレッチをしている者。

 サンドバッグに蹴りを叩き込んでいる者。


(本当に、同じ場所にいるんだ)


 胸の奥がざわざわと騒ぎ出す。


「おー、社長。

 今日からの子たち、もう来たんですか?」


 リングサイドでタオルを首にかけていた黒岩が、歩いてきた。


「四人とも、二次審査を通った合格者だ。

 今日から本部道場の空気に慣れてもらう」


「……お前ら」


 黒岩は四人の前に立ち、腕を組んだ。


「改めて言う。

 今日までが“オーディション”。

 今日からが、“地獄の始まり”だ」


 らんが、ぴくっと肩を跳ねさせる。


「げ、地獄って言い切った……」


「怖がる暇があったら、ストレッチしろ。

 最初のうちは、“お試しメニュー”だけだ。

 それでも、ナメてると明日動けなくなるから覚悟しとけ」


 黒岩は顎でマットを指し示した。


「まずは受け身の復習からだ。

 この前教えたこと、全部忘れてたら即説教だからな」


「は、はいっ」


 さやかたちは慌ててジャージに着替え、マットの上に並んだ。


 この日のメニューは、確かに「お試し」だった。


 簡単なストレッチ。

 軽いランニング。

 後ろ受け身と前回り受け身の復習。

 少しだけロープに触って走る。


 それだけなのに、終わる頃には全員汗だくになっていた。


「ひぃ……。でも、なんか楽しいかも……」


 らんがその場にへたり込みそうになりながら笑う。


「アイドル時代のダンスレッスンより、全然きついですけど」


「ダンスと違って、床が味方じゃないからな」


 ノエルは額の汗をハンカチで拭きながら、真面目にメモを取っていた。


「受け身、前よりちょっとだけマシになりましたね」


 いぶきは自分の膝をさすりながら呟く。


「道場に通っていた頃を思い出します」


 さやかも、背中をさすりながら笑った。


「痛いけど……この痛さは、ちょっとだけ好きかも」


「変わったこと言うな」


 黒岩が呆れたように鼻を鳴らす。


「いいか。

 “頑張ります”なんて言葉は、ここじゃタダみてえなもんだ。

 頑張るのは当たり前。

その“頑張り”が、客から見えるかどうかで評価は変わる」


 リングのロープを軽く叩きながら、黒岩は言った。


「覚悟があるなら、それをリングの上で見せてみろ。

 口で言うんじゃなく、動きでな」


「……はい!」


 四人の声が、重なった。


 


 ***


 


 その日の帰り道。


 本部ビルを出ると、空はすでにオレンジ色に染まり始めていた。


 さやかは一人で駅までの道を歩きながら、今日一日のことを何度も反芻した。


 いぶきの落ち着いた声。

 らんの明るさ。

 ノエルの丁寧な話し方。


 黒岩の厳しい言葉。

 社長の静かな目。


(この三人と一緒に、あの道場で練習していくんだ)


 怖さもある。

 でも、それ以上に、胸の奥がわずかに高揚しているのを感じた。


 帰宅後、自室の机にノートを広げる。


 新しいページの上に、ボールペンで名前を書いていった。


 星緋いぶき。

 ノエル・シエル。

 姫乃らん(ティアラ☆キャンディ)。


 そして、その下に、自分の名前。


 星屑さやか。


 並んだ名前を眺めていると、不思議と胸がいっぱいになった。


(あのリングに立てるのは、きっと簡単じゃない。

 でも──)


 ノートを閉じて、ベッドの上に仰向けに倒れ込む。


(あの三人と一緒なら。

 怖いけど、楽しみ。

 ちゃんと、“星屑の子はリングに立つ”って言えるようになりたい)


 小さく笑って、目を閉じた。


 こうして星屑さやかは、

 PWS本部道場の練習生としての一歩目を、ようやく踏み出そうとしていた。

ここまで読んでくださり、ありがとうございます。


第5話では、

・家での正式な合格報告と、「おめでとう」と同時に釘を刺す両親

・まなのTOトップオタ宣言と、それに対して照れながらも「ありがとう、頑張るね」と返すさやか

・本部ビルでの合格者オリエンテーション

・さやか/いぶき/ノエル/らんの初めての顔合わせと、それぞれの第一印象

・本部道場での“お試し”練習と、「今日からが地獄の始まりだ」という黒岩の宣言

を描きました。


これで一旦「オーディション編」が区切りとなり、

次回以降はいよいよ、本格的な本部道場での練習生生活編に入っていきます。


鬼トレーナー・黒岩の本気のメニュー、先輩レスラーたちとの本格的な関わり、

そして4人がぶつかり合いながらも、それぞれの「星」を見つけていく姿を描いていけたらと思っています。


少しでも続きが読みたいと思っていただけましたら、

ブックマークや感想など頂けると、とても励みになります。

ここまで読んでくださって、本当にありがとうございました。

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