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星屑の少女はリングに立つ ―才能ゼロから始める女子プロレスラー・星屑さやか―  作者: バックドロップ
第ニ章 本部道場一ヶ月テスト《残る者と去る者》
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幕間1 STR☆GIRLS特別コラム「PWS期待の新人4人をチェック!」

本編では、一ヶ月テストが終わり、星屑さやかたち4人が正式な新人練習生としてスタートラインに立ちました。

この幕間では、女子プロレス専門誌「STR☆GIRLS」の記者・岸田ひかり視点のコラムとして、PWS新人4人をおさらいしていきます。

本編のネタバレを多少含みますので、第12話まで読んでからの閲覧をおすすめします。

本日はご覧いただきありがとうございます。

 女子プロレス専門誌「STR☆GIRLS」担当ライター、岸田ひかりです。


 PWSプロレスリング・スターダスト本部道場で行われていた、一ヶ月間の“仮”練習生期間。

 その中間テストを突破し、正式な新人練習生となった4人の少女たちがいます。


 今回は、業界内でも密かに注目が集まりつつあるその4人を、現時点での印象ベースでざっくりご紹介していきましょう。


◇星屑さやか


 まず一人目は、この子から語らないわけにはいきません。


 地方のごく普通の高校2年生。

 プロレスとはほとんど縁のなかった彼女が、友人に誘われて観戦した地方大会で、王者・皇あまねの試合に“直撃”してしまったところから物語は始まります。


 リングの中央に立つ、不死鳥のような王者の姿に心を撃ち抜かれ、

 「自分もあの人みたいになりたい」と、一歩を踏み出した少女です。


 正直に言うと、運動能力やセンスだけで見れば、現時点では他の3人より一歩下がって見えます。

 シャトルランのタイムも合格ラインぎりぎり。

 受け身もまだまだ荒削りで、ロープワークもお世辞にも綺麗とは言えません。


 それでも、一ヶ月テストで「最後まで足を止めなかった」のは、この子でした。


 怖くても、苦しくても、「ここで止まりたくない」としがみつくしぶとさ。

 王者・皇あまねに対しても、ただの「推し」ではなく、


 ――いつか隣に並びたい。

 ――いつか超えたい。


 と、はっきり願っているタイプです。


 才能という言葉は、まだこの段階で使うには早いでしょう。

 それでも、「才能ゼロから始める“折れない心”タイプのルーキー」として、今後一番“追いがい”のある存在だと、私は見ています。


◇星緋いぶき


 二人目は、関係者がこっそり“本命”と名前を挙げているこの子。


 実家は合気道や古武術系の道場。

 幼い頃から体の使い方を叩き込まれてきた、いわゆる武芸者タイプです。


 重心の移し方、崩し方、間合いの詰め方。

 そういったものがすでに「完成されている」と、一部のコーチから評されています。


 一ヶ月テストの受け身では、フォームの綺麗さが頭ひとつ抜けていました。

 シャトルランでもペース配分と呼吸管理が安定しており、危なげなく走り切っています。


 ただし、この子の一番面白いところは、「壊す角度」を知っているのに、それを自分で抑えられる冷静さを兼ね備えている点でしょう。


 プロレスは、相手を本当に壊してはいけない競技です。

 武道で培った技術を、リング上でどう“見せ技”に変換していくのか。

 今後、技巧派ユニット「AQUARIUS」の面々と絡んでいく中で、


 ――静かに切っ先を光らせる、“冷静な刃”


 のような選手に育っていく予感があります。


◇ノエル・シエル


 三人目は、日仏ハーフの通信制高校生。

 成績優秀で、勉強に関しては「ほとんどしなくてもテストは余裕」というタイプです。


 しかし、リングの上ではそう簡単にはいきませんでした。


 彼女には、過去に別団体での挫折経験があります。

 怖くなって、リングを降りてしまったことがある。

 その記憶を抱えたまま、「もう一度プロレスと向き合いたい」とPWSの門を叩いた少女です。


 一ヶ月テストの受け身で、ノエルの動きは決して派手ではありませんでした。

 音も特別大きいわけではなく、まだ体の強張りも残っています。


 それでも、ひとつだけはっきりしていたのは、


 ――途中で止まらなかったこと。


 恐怖が顔を出した瞬間に、「やめる」を選んでしまったあの日の自分と違い、

 今のノエルは、「怖いけれど倒れる」「怖いけれど走る」ことを選べるようになっています。


 白銀レフェリーの「それでいい」という言葉を、

 誰よりも噛みしめていたのは、きっと彼女でしょう。


 怖さと一緒にリングに立つレスラーは、

 試合の中で、表情や一つ一つの動きに大きな物語性が宿ることがあります。


 ノエル・シエルが、どんな「傷を抱えた翼」として羽ばたいていくのか。

 今後の成長をじっくり見守りたい選手です。


◇ティアラ☆キャンディ(姫乃らん)


 最後の一人は、元アイドル。元センター。

 そして、見るからに「スター」です。


 リングネームは「ティアラ☆キャンディ」。

 普段は本名の「姫乃らん」として行動していますが、ファンの前では徹底して“ティアラ☆キャンディ”として振る舞う、プロ意識の塊のような子でもあります。


 フォームや動きの美しさ、表情の作り方、客席への見せ方。

 そういった「見せる技術」はすでにプロの域に達していると言っていいでしょう。


 一方で、体力と基礎の部分では誰よりも苦しんでいます。

 一ヶ月テストのシャトルランでも、序盤飛ばしすぎて中盤でバテる、という“らしい”姿を見せていました。


 それでも、彼女は立ち止まりませんでした。

 「ファンの前でへたれた姿は見せたくない」というプライドが、最後の一歩を踏み出させています。


 可愛いだけ、華があるだけのアイドルレスラーで終わるのか。

 それとも、「可愛い」と「強い」を両立させる、新しいタイプのスターになるのか。


 近い将来、PWSのアイドルレスラーユニット「Stella☆Glare」とどう絡んでいくのかも含めて、

 その動向から目が離せない一人です。


◇去っていった二人のことを、少しだけ


 一ヶ月テストの結果、道場を去ることになった坂本と森。

 ここで、その名前を少しだけ残しておきたいと思います。


 坂本は、陸上のトラックとプロレスのリングの間で揺れていた選手です。

 走力だけ見れば、間違いなくトップクラス。

 しかし、「陸上に戻る道も捨てきれていない」という中途半端さを、団体側に見透かされてしまいました。


 それは決して、彼女の弱さだけを責める話ではありません。

 自分が一番走りたい場所を選ぶこともまた、一つの覚悟です。


 どこかの競技場で、スターティングブロックに足をかけている彼女の背中も、

 きっと、とても格好いいはずだと私は思います。


 森は、“推しのリングに近づきたくて”ここに来た子でした。

 リングの上に立つ自分より、「推しのそばにいたい自分」を選んだ彼女は、

 きっとこれからも客席から、あるいはいつか別の形で、プロレスという世界に関わっていくのかもしれません。


 スタッフとしてなのか、マネージャーとしてなのか、それとも記者としてなのか。

 それはまだ分かりませんが、「好きでいること」をやめない限り、

 彼女の物語もまた、どこかで続いていくのでしょう。


 PWS本部道場で、一ヶ月を生き残った4人の新人。

 彼女たちの物語は、ようやくスタートラインに立ったばかりです。


 誰が最初にデビューのゴングを鳴らすのか。

 誰が最初にタイトル戦線に絡むのか。

 誰が誰のタッグパートナーとなり、誰が誰のライバルとして立ちふさがるのか。


 その全部を、リングサイドから。

 時には控室の隅から、こっそり、でもしっかりと追いかけていきたいと思います。


 以上、STR☆GIRLS担当ライター・岸田ひかりでした。

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

この幕間では、読者の皆さんと一緒に、現時点での新人4人をおさらいする形で紹介してみました。


本編では、ここから「正式練習生としての強化期間」「夏合宿編」へと進んでいきます。

今回のキャラクター紹介を頭の片隅に置きながら、

それぞれがどう成長していくのか、見守っていただけたらうれしいです。

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