第5話
「大丈夫だって! 月豊って頭いいし、もしやりたいことが見つかったらそれを叶えられる可能性も高いはず! ……そりゃあ早く見つけられたら一番いいだろうけどさ、夢を見つけて、それを叶えるスピードなんて人それぞれだろ?」
「でも……」
それでも不安が抜けない。
そんな月豊に、夕夜は呆れたようだった。
「あのな、焦って決めた夢なんて後悔するかもだろ!? ゆっくり考えて、考えて考えて考えまくって見つけた夢が一番じゃねえの? 少なくとも俺は自分のペースで見つけりゃいいって思うね」
「…………自分のペースで、ね」
月豊は一つ頷いて微笑んだ。
「――――うん、そうだね」
「だろ?」
月豊は再び頷いた。
夕夜の言葉で少し心が軽くなった気がした。
「うん。焦って見つけても本当の夢じゃなかったら嫌だもんね」
「そうそう」
夕夜は笑った。
「盛大に悩め悩め。人生なんてこれからだ!」
「あはははは!」
「あ、月豊。何だよその笑い方は!? せっかく相談にのってやったのに!」
「ははは……ごめんごめん。機嫌なおしてよ」
「むぅ……」
ふてくされる友に、月豊は微笑みを浮かべてみせた。
それにつられるように夕夜も笑った。
大きく笑いながら、二人は夕日の中を歩んだのだった。